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2006年3月

電力需要を低く予想しながら、核燃サイクルに固執するのは解せない話だ

 30日の『日経新聞』によると、2006年度の電力10社の設備投資計画は、総額1兆7134億円で、05年度よりは、11%増だが、ピークだった1993年度に比べると3分の1の水準に止まっている。投資抑制で浮いた分を、電力料金引き下げに回す予定だという。それによって、「2000年以降の自由化で参入した新規事業者は一段の苦戦が予想される」。

 05年度の実績見込み額は前年度比2%増の1兆5380億円。12年ぶりに前年を上回ったが、当初計画を1割近く割り込んでおり、発電所の新増設や改修などを先送りした面もある。

 投資内容も、老朽化した設備の更新や省力化や風力発電などが主で、効率化投資が多い。また、「福島第一など4基の原子力発電所の建設計画は運転開始を2012年以降にそれぞれ1年先送りする」。

 このように、電力会社は、少子化や節電が進むことなどから、電力需要を従来より低く予想しており(『朝日新聞』記事によると2015年度までの年平均増加率0.9%)、新規の大規模発電事業への投資を控えている。

 それなのに、「青森県六ケ所村の日本原燃・再処理工場で、地元との安全協定締結を受け装置の機能や安全性を確認するアクティブ試験が月内に始まる」(3月30日『産経新聞』社説)「プルトニウムを含む核燃料を使うプルサーマル計画は、九州電力の玄海原子力発電所での実施に地元の同意が二十六日に得られたところである。四国電力伊方原子力発電所でも国の許可が二十八日に下りた」(同)というのは腑に落ちない話だ。

 この社説は、「資源小国の日本は、核燃料サイクルを国のエネルギー政策の基本に据えている。使用済み燃料の中には97%もの再利用可能な資源が残っているからだ。それを使い捨てにするのはあまりにも、もったいない」(同)と、一見もっともらしいことを述べているが、「日本原燃は国内の電力会社などが出資した株式会社である。原子力への逆風の中で二兆二千億円を投じ、民間初の再処理工場を建設した。年間八百トンの処理能力を備えている。各地の原子力発電所が抱えている使用済み燃料を減らすためにも、来年中の操業開始を実現してもらいたい」というのは、電力需要が低下する可能性が高いのに、無謀な主張ではないだろうか。

 電力を巡っては、長い送電線による電力ロスの問題とか、地域や季節・気候による一時的な電力需要の差の問題とか新しい発電方法の普及であるとか、いろいろと総合的に考えて、計画をつくる必要があることは明らかだ。なぜ、核燃サイクルなどという古い考えと計画に固執するのか。

 高速増殖炉もんじゅの大事故をはじめ、技術的な困難性と事故による経済的損害の大きさのリスク、その他もろもろを総合的に考えると、このような計画は危険性が高く、割に合わないと思う。

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また「つくる会」をめぐるゴタゴタが

 28日の『産経新聞』は、前日の新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)の理事会について報道した。それによると、先日、会長を解任された八木秀次元会長を副会長にし、7月の総会までに会長に復帰するとみられるという。

 「同会の内紛は事実上の原状回復で収束に向かうことになった」と記事は述べている。地方支部や支援団体からの声を受けたもので、八木会長ー宮崎事務局長体制復活が検討されているという。また、西尾幹二元名誉会長の影響力排除が確認されたという。

 『産経新聞』は、「種子島会長は「会員の意見を聴いたところ、八木待望論が圧倒的だ。内紛はピンチだったが、『創業者の時代』から第2ステージに飛躍するチャンスにしたい」と話している」と書いた。 

 それに対して、「つくる会」はwebニュースで、29日、第88回理事会報告を掲載している。それには、八木元会長を副会長とし、新体制の決定にともなう藤岡信勝、福地理事の緊急の会長補佐を解任したとある。7月2日の総会で、新人事を決定するなどのスケジュールも発表している。

 また、「『産経新聞』(3月29日付朝刊)で報道された理事会の内容は、憶測を多く含んでおり、「つくる会」本部として産経新聞社に対して正式に抗議しました。とくに、「西尾元会長の影響力排除を確認」「宮崎正治前事務局長の事務局復帰も検討」は明らかに理事会の協議・決定内容ではありませんので、会員各位におかれましては、誤解することの無いようにお願い致します」という文章を載せている。

 この背後にあるのは、西尾幹二などの「つくる会」系教科書の旧版をおす一派と新版をおす一派と八木などの中間派がいることや影響力を強めることを狙っている日本会議の圧力、そして、経済的な重い負担に不満を強めているといわれるフジ・サンケイ・グループ・扶桑社の動きなどが絡んでいるようである。

 このごたごたの中で、『産経新聞』が、日本会議との関係を重視する八木会長体制を望んでおり、旧版にこだわり、とにかく採択率アップのために主張を控えた新版を批判する西尾元名誉会長の影響力排除を望んでいることは、明らかになった。

 「西尾幹二のインターネット日録」には、この『産経新聞』の記事に対して、社長宛に、抗議文を送ったとある。彼は、理事会からのリークがあったと推測し、さらに理事会メンバーに確かめたこととして、八木会長解任が、彼の職務怠慢と指導力不足に理由があったことを理事会として確認したことが明らかになったと書いている。

 いずれにせよ、「つくる会」が、教科書づくりにふさわしくない組織であることは明らかだ。種子島新会長は、新興宗教団体の「キリストの幕屋」と深い関係があり、また事務局員の多くもこの団体のメンバーだと言われているが、その他、「俵のホームページ」http://www.linkclub.or.jp/~teppei-y/tawara%20HP/index.html   に詳しい。

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グローバル化と大衆運動のシンクロニシティー

 どの新聞も、28日のフランスの初期雇用対策(CPE)に反対する労働者と学生のストライキとデモについて伝えている。全国で300万人という歴史的規模の抗議行動が行われたのである。

 まず、ストは、27日の国鉄から始まり、地下鉄、バス、航空、郵便、教育、医療、金融、通信、メディアなどの労組に拡大していった。CPEは、26歳未満の若者を雇用した企業は、2年間の試用期間内ならば、解雇理由を告げずに自由に解雇できるというものである。

 同時に、ドイツでは公務員のストライキが行われ、イギリスでは、年金改革に反対する公務員労働者の1936年以来という150万人の参加する24時間ストがあり、さらに、アメリカでは、ロサンゼルスの50万人のブッシュ政権の新移民対策に反対するヒスパニックなどの移民の歴史的規模の大デモがあった。

 ポリスというバンドの「シンクロニシティー」という曲があるが、これは、共時性ということである。シンクロナイズド・スイミングのシンクロナイズの同期するという概念と近い概念であるが、一連のニュースをみて、この言葉が思い浮かんだ。

 どうも、これらの動きには、共時性を生み出すような世界的な共通構造があるような気がしてならない。

 それが、グローバル化とかグローバリゼーションという構造的な力なのだろう。それが、労働者や移民や失業者や若者たちの運動を同期させているものなのだろう。

 そのグローバル化の力は、日本にも働いているのだが、運動のシンクロナイズは、まだ弱いように思われる。しかし、遅かれ早かれ、世界的共時性はあらわれるだろうと思う。

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今さら市場神秘主義とはいかがなものか?

  『毎日新聞』に、論説室の玉置和宏氏の「酔いも辛いも」というコラムがある。

 氏は、一貫して、サッチャリズムの立場から、ケインズ主義的な経済政策を批判し続け、財政規律の確立を訴えてきた。それは、1980年代後期のバブルの発生(過剰信用)を最大の過失と見ているからである。

 26日、このコラムが紙版から電子版に移行するに際してのあいさつというべき文章が載っている。

  そこで、氏は、日本バブルを総括の基礎を、ノーベル賞経済学者ハイエクが社民主義を批判した言葉、「人間の理性の過信に基づいている」というテーゼにおいて、「もし彼の思想のひそみに倣うなら日本のバブルとは「人間が物事を計画する極めて優れた理性能力を持っていることを前提にしてきた」日本官僚主義の敗北にほかならない。それをバブルの発生と崩壊が証明したのではないか。市場の再発見の意味はここにもある」と述べている。

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消費税増税への世論誘導が始まった

 3月26日の『読売新聞』に、「財政健全化・・・増税なしなら歳出削減27兆必要」という記事がある。

 これは、財務大臣の諮問機関の財政制度等審議会がまとめた「財政の長期試算」の内容が明らかになったというものだ。

 それによると、2015年度に、財政健全化を増税なしで達成するには、27兆円の歳出削減が必要である。それによって、防災、福祉、教育などに重大な支障が出るだろうという。

 これを社会保障費と地方交付税を一定程度に抑え、他の支出の削減でまかなうと、公共事業の新規事業は不可能となり、自衛隊の災害出動もできなくなるという。

 増税をする場合は、11年度に15%、15年度に22%に引き上げる必要があるという。

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理不尽な表現の自由の抑圧は許されない

 法政大学で不当逮捕された29人の学生たちは、25日に釈放された。

 逮捕容疑とされた立て看撤去は行われず、そのような業務自体なかったことが明らかになった。容疑事実そのものがない逮捕という完全なでっち上げでだったのである。

 3月18日には法政大学当局の見解が発表されているが、そこでは、法政当局が、全学連なる学外団体が不当に立て看を学内に設置したり、立て看・ビラまきの当局による管理に反対する示威行動を行って業務妨害したとか、いろいろおかしなことを述べている。

 この文章は、全学連について知らないような書き方をしているが、全学連は、全国学生自治会総連合の略であり、60年安保闘争では、国会突入を行ったことで有名であり、その後、党派系列化して、今では三つの全学連があるが、いずれにしても、もともとは学生の利益をはかるための学生自治会の連合体である。

 それを法大当局が知らないということはありえない。法大学生自治会は、中核派系全学連に加盟している。

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嫌韓流はバーチャルリアリティ

 『嫌韓流』という漫画が、アマゾン・コムで今年一番売れているという。しかし、近年、本が売れているといっても、たかがしれている。それに、この漫画は、一般書店のランクでは、ベストテンにも出てこない。しかも、地方書店ではさっぱりだし、身近なところでも話題にもなっていない。買ったからといって、それが全部、その内容の支持者というわけではない。

 要するに、ネットの一部で盛り上がっているというバーチャルな流行現象の一つと見るのが妥当である。一時出せばベストセラー入りしていた小林よしのりの漫画も、今は売れていない。

 「新しい歴史教科書をつくる会」の内紛など、右派の分裂も進んでいる。

 ネット現象の一つである『嫌韓流』は、日韓のナショナリズムの歴史の違いを反映しているもので、若い成長期にある韓国のナショナリズムに対して、成熟しきった老大国の日本のナショナリズムの違いが映し出されているのである。

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23日の経済関係記事を読んで

 3月23日の経済関係の記事をいくつか抜粋して並べてみる。

 『暮らし向き「苦しくなった」過去最低の19・3%』(読売新聞)

 「電通が23日発表した2月の消費実感調査で、1年前と比べて自分の暮らし向きが「苦しくなった」と答えた人が19・3%にとどまり、1993年に調査を始めてから最も低くなった。電通では「景気回復で暮らし向きは急速に好転している。この傾向は今後も続く」と分析している。雇用不安を「感じていない」人は50・3%に達し、山一証券の破たんで金融不安が広がる前の1997年10月以来、8年半ぶりに過半数となった。今後の景気の見通しについても「良くなる」と答えた人は42・1%と11年半ぶりに4割を超えた。調査は東京周辺の18~69歳(学生を除く)の男女を対象に行い、648人が答えた。」

 『65歳以上の介護保険料、来月から24%増』(読売新聞)

 「65歳以上の人が支払う介護保険料が、4月から全国平均で1人月額4090円となり、現行(3293円)より24・2%も上昇することが、厚生労働省の集計で23日明らかになった。」
 「利用者の急増を受け、厚労省は、介護予防として軽度の要介護者向けの筋力トレーニングを4月から導入するなど、給付抑制に乗り出した。その効果を見込んで06~08年度の保険料を当初、3900円程度と想定していたが、各市町村が利用者増などをさらに厳しく見積もった結果、初めて4000円の大台を突破した。厚労省は、12年度には4900円に達すると推計している。」
 「毎年改定される40~64歳の保険料も、06年度は全国平均で今年度より5・6%高い1人月額3964円(本人負担は半分)となる。」

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これはヤバイ 法政の学生弾圧

 さる3月14日、法政大学で、中核派系全学連の学生29人が、逮捕されるという弾圧事件が発生した。

 その容疑は、威力業務妨害と建造物侵入というものである。ところが、そのニュース映像を見ると、どちらも言いがかりにすぎないことが誰も目にも明らかなのである。

 これは、このところの、早稲田大学でのビラまき弾圧事件や立川反戦ビラまき弾圧、「連帯」労組の武委員長と戸田ひさよし市議や鹿砦社の松岡社長の逮捕と長期拘留、等々、と同様の、あまりにも異常で不当な弾圧事件であり、民主主義破壊攻撃の一環だ。

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イラク戦争開戦3周年の反戦運動によせて

 3月20日のイラク戦争開戦3周年にあたって、世界各地で、イラク反戦集会が開かれている。18日のニューヨークタイムズがその一部を伝えている。

 ロンドンのタイムズスクウェアで、1,000人以上、トラファルガー広場の集会が約15,000人、アメリカのシカゴ集会が、7,000人、ワシントンのチェイニー副大統領宅に対するデモが約200人、ニューハンプシャー州の州都コンコード、約300人、ボストン、サンフランシスコなどは、19日に反戦集会が予定されている。トルコのイスタンブール、約3,000人、スウェーデンのストックホルム、約1,000人、デンマークのコペンハーゲン、2,000人以上、韓国ソウル、3,000人。

 さらに、別の新聞によると、オーストラリアでは、1,000人(警察発表500人)が、集会デモを行った。日本では、18日の東京でのワールド・ピース・ナウと労組系集会で、約2,000人、大阪、その他で、19日に反戦集会が予定されている。

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深刻化する水問題について

 3月17日、メキシコ市で第4回世界水フォーラムが開催された。世界の5人に1人(約12億人)が安全な飲み水がなく、5人に2人(約24億人)が下水道などの衛生施設がなく、毎日約6000人(年間約200万人)の子供が水関連の病気で死亡している(昨年の京都での第3回世界水フォーラムの資料より)。

 世界の人口増加によって、食糧増産が続けば、水問題がますます深刻化することは明らかで、国連も対策を訴えている。

 日本では、逆に、水道水の使用量の減少により、ダム建設などの水道供給事業負担が増え、水道料金の値上げが続いているという記事が18日の『朝日新聞』に載っている。

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危機をむかえたIMF

 3月17日『毎日新聞』の『発信箱』は、IMFの危機について書いている。

 それによると、90年代に経済破綻したアルゼンチンが、昨年暮れに、国際通貨基金(IMF)に98億1000万ドル(約1兆1500億円)の借金を完済した。大豆国際価格の高騰によって、経済が息を吹き返し、海外に逃避していた資本が戻り、03年から3年連続で9%の高成長を続けている。もともと肥沃なパンパが広がる農業に適した国である。農業部門の好調が、経済再建の牽引力となったようだ。また、地方自治体が支援する工場・職場の自主管理も行われたという。

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「つくる会」の内紛騒ぎ

 「新しい歴史教科書をつくる会」で内紛が起きている。すでに、名誉会長を辞めた西尾幹二がいろいろとこの件について書いている。

 それによると、事務局長解任劇をめぐって、解任に反対する4人の理事の横暴な振る舞いが、内紛の発端になったという。八木前会長は、分裂を避けることを優先して、かれらに融和的な態度を取ったという。この理事4人の内、3人が、事務局長とかつての保守学生団体の仲間であり、その背後に、日本会議がいると彼は考えている。八木元会長は、日本会議との決裂を恐れていたというのである。さらに、扶桑社の歴史教科書の旧版で西尾が執筆した部分を岡崎久彦が勝手に書き直したこともあったという。この辺のところは、実際のところはどうなのかはわからない。ただ、日本会議と「つくる会」がこの間、結びついて動いてきたことは確かである。

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国旗・国歌の公的強制を止めよ!

 卒業式・入学式のシーズンである。

 この頃になると、「日の丸」「君が代」の公的強制のニュースがきこえてくる。今年も、とりわけ東京都での教育行政の異常な強制ぶりが目立っている。都立定時制高校で、君が代斉唱時に十数人の生徒が起立しなかったことを受けて、東京都教育委員会は、都立校校長に、職務命令にあたる「通達」を出し、生徒への指導を強化するように指令した。

 しかし、今年は、新しく起立・斉唱を拒否する教師が続出している模様で、都教委の「日の丸」「君が代」強制は、失敗に終わりつつあるようだ。そもそも、愛国心という心の問題を官僚的に強制すること自体が異常で、無理がある。

 小泉首相は、靖国参拝は、心の問題だから他からとやかく言われる問題ではないと言って、韓国政府・中国政府からの批判に反論しているが、そのお膝元の首都東京では、教職員・生徒・親達の心の問題に行政が強制的に介入しているのである。

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岩国住民投票への5大紙の反応

 岩国市での米軍移転をめぐる住民投票は、大きな波紋を広げている。いわゆる中央五大紙は、それぞれ、社説で、この問題を論じている。

 その中で、『産経新聞』は、14日の社説で、「国の安全はどうするのか」と国益優先の立場を前面に出している。相変わらず、安保事案は住民投票の対象にすべきではない、地方自治体の越権行為だと住民投票を批判している。しかし、この住民投票は、当該地域の住民意志の表明であって、安保政策を左右する権限を行使したわけではない。国民投票制度がなく、しかも、直近の国政選挙のない状態で、この問題に対する住民投票で当事者としての意志を表明し、国政に反映させようとするのは当然の権利である。

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米軍移転を拒否した岩国市の住民投票

  3月12日、米軍神奈川県厚木基地の空母艦載機の山口県岩国市の米軍岩国基地への移転の賛否を問う住民投票が行われた。賛成派が投票ボイコットを呼びかけたため、投票が成立する投票率50%を超えるかどうかが焦点となった。

 投票率58.68%で住民投票は成立し、約9割が反対という結果になった。『中国新聞』の13日社説は、「岩国基地住民投票 民意を重く受け止めよ」と住民投票の結果を尊重するように主張している。それに対して、投票前から、『読売新聞』『産経新聞』は、この住民投票に疑念を表明してきた。その最大の論拠は、3月11日の『産経新聞』社説のタイトルにある「安保は国民すべての責任」ということである。  

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近代原理称揚の『チャングムの誓い』

 今、NHKで放送されている韓国ドラマ『チャングムの誓い』は、近代主義と封建主義の対立を軸にしている。

 まず、チャングムの父母が、中世的制度を代表する宮中を追われた逃亡者であり、血縁的原理の背景を失った人間たちである。追っ手を逃れるために、中世身分制度の最下層である白丁の村に住むことになる。二人は、血縁的背景なしに、個人同士として、恋愛結婚をする。そして、チャングムが生まれ、父母と子の核家族をつくる。

 父母を亡くして完全に個人になったチャングムは、私利を追求しているが人の良い酒商人の夫婦の下で、仕事を手伝いながら暮らすが、母の遺言に従い、宮廷女官の見習いになる。血縁的背景のない彼女はいじめにあうが、努力を重ねて、料理の腕を磨く。

 宮廷女官の世界は、一族の血縁原理を最高価値として、最高尚官(チェゴサングン)の地位を代々独占してきた御用商人のチェ一族が牛耳っていた。中世的勢力が、個人を抑圧し、支配していたのである。それに対して、チャングムは、好奇心が旺盛で、他の人がやらないような実験を繰り返して、新しい発見を行い、実力を磨いていった。

 たまたま、チェ一族のチェゴサングン独占が不可能となったために、もっぱら詩歌に遊び、地位に拘泥しない風流で自由な生き方を楽しんでいたチョ・サングンが、操り人形として、チェゴサングンに抜擢された。ところが、彼女は、チェ一族の思惑に逆らって、実力主義と競争主義を導入することを宣言する。チェ一族のクミョンとチャングムは、良きライバルとして料理の実力を競い合う。そして、ついに、チェゴサングンの後継者を決めるのに、料理の腕比べが行われることになる。

 チェ一族は、公正な競争を妨害するために、ライバルのハン・サングンを誘拐したりするが、チャングムの活躍で、ついに競争を制して、ハン・サングンがチェゴサングンになる。等々。

 かくして、個人、核家族、血縁主義の否定、好奇心(驚き)、実験、科学的態度、実力主義、競争主義、等々の近代的価値観と、中世的封建的価値観とが対立するドラマとなっているのである。ドラマは、健全な近代性の称揚であり、だからこそ、大昔のことを取り上げた歴史ドラマだが、現在の人々が観て、無理なくわかるのである。

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3・8国際女性デーによせて

 3月8日は、国際女性デーであった。この記念日は、1908年にニューヨークで、女性参政権運動が始まった日で、その後、1910年の国際社会主義者会議で、ドイツの女性社会主義者のクララ・ツェトキンが、「女性の政治的自由と平等のためにたたかうためにたたかう」記念日にするように提唱して決まったという(Wikipediaより)。

 その後、ロシアで、1917年の国際女性デーの女性を中心とするデモが、広範な人々を巻き込む革命に発展して、帝政を倒す二月革命のきっかけになった。その後も、今日まで、世界中で、この日を記念する集会や催しが続けられている。日本では、1923年の赤潤会の集会が最初だという。1975年には国連がこの日を「国際婦人デー」と定め、世界各国に、女性の社会参加を促す日になっている。

 日本では、少子高齢化、介護・福祉、セクハラ・DV、性暴力被害、非正規雇用、賃金格差、昇級差別、年金問題、等々、女性を巡る社会問題が山積しているが、政府は、口ばかりである。おまけに、右派は、江戸時代には、庶民には姓がなく、武士は夫婦別姓であり、明治になって、夫婦同姓が新しく導入されたというのに、それを日本の古い伝統のように言って、夫婦別姓制に反対したりして、事態を複雑にしている。

 少子高齢化の進行で、仕事と子育ての両立が言われる。共稼ぎの場合、パートで稼ぎすぎると公的負担が増えてしまう。制度が無政府的で官僚主義的なために、矛盾が起きている。基礎からしっかり直すには、ILO(国際労働機関)が勧告しているように、同一価値労働同一賃金を基本にして公的負担のあり方や社会保障のあり方を組み直すことである。等々。

 この記念日をきっかけに、こういう領域について、いろいろと考えてみるとよいだろう。

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今さらサッチャリズム神話?

  3月9日の『毎日新聞』の『発信箱』の欧州総局の記者の「百年のサッチャリズム」という記事は、サッチャー神話を蘇らせようという奇特な意図で書かれている。

 まず、先週に発表された英保守党のマニュフェストが、環境保護や貧困層対策を盛り込んでいることを伝えている。党の老幹部は、「まるで労働党のマニュフェスト(政権綱領)だ」と嘆いたという。

 サッチャリズムといえば、それを象徴する「社会は存在しない」という有名な言葉がある。それにたいして、 マニュフェストには、「社会というものは存在する。国家と違うものとして」というくだりがあり、これは、サッチャリズムにたいするアンチテーゼに見える。

 記者は、そうではないという。というのは、93年の『回想録』で、サッチャーは、「私が言いたかったのは社会とは抽象的概念ではなく、個人や家族、隣人が生活する基盤だということだ」と釈明しているからである。それは、むしろ、サッチャリズムを洗練したのであり、「サッチャー革命の正当な後継者争い」の宣戦布告をしたと見るのが正しいのではないかというのである。

 サッチャー政権下で、個人、家族、隣人が壊され、暴動が多発したのは、社会という基盤を破壊したからではなかったか? 貧困を個人の怠慢のせいにして見捨てたのは社会を基盤と考える者のすることか? ブレア政権は、サッチャーが破壊した社会を再建するのに長年取り組んでいるが、それでも破壊の傷はなかなか癒えていない。 

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大阪の野宿者強制排除問題

  1月末の大阪市での行政による野宿者強制排除の模様は、マスコミでも大きく報道された。ワイドショーが生中継するなど、大きな関心を呼んだが、その中では、野宿者にたいする偏見や差別、ステレオタイプな野宿者像も見られた。

 2月1日、大阪市「ゆとりとみどり振興局は「テント・小屋掛け等は景観を損なうのみならず、草木や草花に悪影響を及ぼしていることや、酒に酔って騒ぐなど、周辺住民に不快感や不安感を与えて」いるから撤去した、などと恥知らずにも開き直り、みずから野宿者に対する差別と偏見を振りまいている」(『靱公園・大阪城公園での行政代執行による野宿者強制排除に対する抗議声明』 「失業と野宿を考える実行委員会」「釜ヶ崎パトロール」、「釜ヶ崎医療連絡会議」気付)。

 しかし、例えば、高層ビルは、景観を損ない、環境負荷が大きく、草木や草花に悪影響を及ぼしているし、「世界バラ会議」で、大勢の人が公園を出入りすれば、それも騒音を増やす。ところが、大阪市行政は、これらの大悪は強制排除しないが、それらよりはるかに小さい小悪を強制排除する。法律は、こうした大悪には寛容で、野宿者の小悪には厳しい。行政は、何百人の命や生活を脅かすことに甘く、高層ビルなどの大きな環境破壊に甘い。行政やマスコミは、この価値転倒に気づかない。まるでそれが自然であるかのように。

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