偏狭なナショナリズムの墓標
爆笑問題太田さんに抗議文 右翼幹部、虚偽の事実基に
漫才コンビ「爆笑問題」の所属事務所(東京都杉並区)に4月、長崎市の右翼団体「正気塾」幹部(57)が訪れ、太田光さん(41)あての抗議文を届けていたことが26日までに、分かった。太田さんは警備員を付け、連絡を受けた警視庁杉並署は、事務所周辺のパトロールを強化した。
「ラジオ番組で、太田さんが反日発言をしたことを非難する」との内容だったが、実際にはそうした発言はしておらず、何者かがインターネット掲示板に偽って書き込んだ内容と同じだった。幹部は掲示板を見て抗議文を届けたとみられる。
同署によると、幹部は4月24日、事務員にA4判1枚の縦書きの抗議文を手渡した。事務所側は調査したがそうした事実はなく、正気塾に「発言していない」とファクスで回答した。正気塾側からその後、連絡はないという。
(共同通信) - 5月26日
この記事は、ネットで作られ、ネット内で流通しているうわさが作り出しているバーチャル・リアリティに、現実がふりまわされた一例を示している。
それが、『嫌韓流』ブームの正体である。というのは、このブームもネット内の一部の連中が、運動としてあらかじめ計画したのであり、それが一部にブームを引き起こしたのである。しかし、それは、一時的部分的なものに止まった。
昔から、こういうトンデモ情報は、いろいろなところで流されてきた。しかしそれは発行部数の少ない小雑誌や読み手の限られた媒体で流されていたので、こういうブームまではなかなかならなかったのである。ところが、インターネットの発展によって、こうしたトンデモ情報が、広がりやすくなっているのである。
しかし、トンデモ情報はトンデモ情報であって、やはり時間がたつと、それが明らかになってしまい、今度は逆に、トンデモ情報を広めた方にブーメランのごとく戻っていって、打撃を与える。情報発信者は、嘘つきとして、信用を失う。だまされたと気づいた方からは、怨念をいだく者も出る。
今や、泥仕合の様相を呈してきた「新しい歴史教科書をつくる会」の内紛・分裂騒ぎは、現執行部を支持しない支部の動きも明らかになるなど、いよいよ自滅の時を迎えつつあるようだが、やはりその根には、藤岡信勝の勝つためにはなんでもするデタラメ体質を許容したことがあったことに、西尾幹二も気づかざるをえなかったようだ。藤岡の上司から、彼とは組まない方がいいと最初に助言を受けていながら、それをきかず、逆に藤岡を利用しようとした己の浅はかさに、若干の後悔の念を書いている。
大体が口ばかり達者な者が多い保守言論人の中で、日本共産党系の組織・運動を経験している藤岡信勝は異質であり、その組織力を利用した「つくる会」の運動は、それ自身の矛盾を全面展開させ、藤岡の毒が藤岡自身にまわって、終焉の時を迎えつつある。
ネットで流されるうわさやデタラメを本気にして、錯乱した行動を起こす者は、世間の笑い者になり、恥をかいて、信用を失い、面目をなくす。偏狭なナショナリズムは死んだ。この記事はその墓標である。
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