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「きっこの日記」記事の自主削除問題をめぐって

 人気ブログの「きっこの日記」の記述をめぐって、記事の自主削除問題があった。ことは、3月28日付「きっこの日記」に、石原晋太郎東京都知事が、在日の女性と弟裕次郎の結婚にさいして、石原家の血が汚れるから、子供だけはつくるなと言ったなどと石原東京都知事を批判した記事を載せたことから起きた。

 この記事を見たJーCAST http://www.j-cast.com/2007/03/28006465.htmlの人間が、石原選挙事務所にチクッたところ、事務所関係者が、「事実無根だ!選挙が終わってからまとめてヤル」と激怒したと伝えたなどと記事にした(3月28日)。それがきっかけかどうか、とにかく、きっこ氏のもとにたくさんのメールが送られてきて、それらを見て、きっこ氏は、記事の内容が、公職選挙法違反にあたるからという理由で、記事削除したと書いた上で、お詫びの言葉を述べている。

 公職選挙法を読んでみたが、ブログを対象とした規制についての明文規定はない。ただインターネットによる選挙運動は禁止されている。しかし、ブログの場合はどうなるのかについては明確ではなく、議論されている段階である。ちなみにこの事例に関連すると思われる公職選挙法の規定は、第148条で、以下の通りである。

 (新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由)第148条

 この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定(第138条の3(人気投票の公表の禁止)の規定を除く。)は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。

2 新聞紙又は雑誌の販売を業とする者は、前項に規定する新聞紙又は雑誌を、通常の方法(選挙運動の期間中及び選挙の当日において、定期購読者以外の者に対して頒布する新聞紙又は雑誌については、有償でする場合に限る。)で頒布し又は都道府県の選挙管理委員会の指定する場所に掲示することができる。

3 前2項の規定の適用について新聞紙又は雑誌とは、選挙運動の期間中及び選挙の当日に限り、次に掲げるものをいう。ただし、点字新聞紙については、第1号ロの規定(同号ハ及び第2号中第1号ロに係る部分を含む。)は、適用しない。

1.次の条件を具備する新聞紙又は雑誌イ 新聞紙にあつては毎月3回以上、雑誌にあつては毎月1回以上、号を逐つて定期に有償頒布するものであること。ロ 第3種郵便物の承認のあるものであること。ハ 当該選挙の選挙期日の公示又は告示の日前1年(時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙にあつては、6月)以来、イ及びロに該当し、引き続き発行するものであること。

2.前号に該当する新聞紙又は雑誌を発行する者が発行する新聞紙又は雑誌で同号イ及びロの条件を具備するもの《改正》平14法098 (新聞紙、雑誌の不法利用等の制限)第148条の2 何人も、当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者に対し金銭、物品その他の財産上の利益の供与、その供与の申込若しくは約束をし又は饗応接待、その申込若しくは約束をして、これに選挙に関する報道及び評論を掲載させることができない。

2 新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者は、前項の供与、饗応接待を受け若しくは要求し又は前項の申込を承諾して、これに選挙に関する報道及び評論を掲載することができない。

3 何人も、当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、これに選挙に関する報道及び評論を掲載し又は掲載させることができない。

 木村剛氏は、自らのブログ「週刊木村剛」http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2005/09/post_1906.htmlで、ブログをこの第148条の対象である「新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌」に当たるとして、「報道及び評論を掲載するの自由」が適用されているとする解釈を主張している。

 「雑談日記 徒然なるままに、。」 http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2007/03/post_b641.htmlの「萎縮効果としてのきっこさんの「お知らせです。」問題と公選法、そしてケーススタディとしてのマスコミ・ウォッチング。」では、「きっこの日記の人気ぶりから見て、後者の「公職選挙法とマスコミ以外・ブログなど市民メディアとの関係の問題についてブロガーに与えるその萎縮効果は絶大なものがあります」と表現の自由に対する侵害に警戒している。

 騒動のきっかけをつくったのは、JーCASTである。JーCASTは、以前に指摘したように、元々右派的なメディアで、しかも恣意的な数字をあげて情報操作記事を書いてきたところであり、今度の件も、「きっこの日記」の人気が高く、その記事の影響力が大きいことから、反石原記事が都知事選挙で、石原陣営にマイナスに働くと思って、チクリに行ったのだろう。JーCASTの記事を見る限り、「きっこの日記」の記事が公職選挙法違反にあたるとは思えない。ただ、そんな印象を表現で作り上げているだけだ。公職選挙法の規定を引っ張り出して、この部分がこう違反していると指摘しているわけでもない。第一、法律違反にあたると指摘してもいない。

 石原事務所の「事実無根だ!選挙が終わってからまとめてヤル」の意味も具体的ではない。ここから出てくるのは、法的には、選挙が終わってから、名誉毀損で訴えるというようなことぐらいである。公職選挙法違反を判断するのは、司法であって、石原事務所ではない。

  それにしても、きっこ氏は、記事が公職選挙法違反にあたるという指摘をしたメールの送り手に感謝しているのだけれども、その前に、公職選挙法自体を読むなり、木村剛氏のブログを読むなり、弁護士などの法律に詳しい人に聞くなりした方がよかったのではないだろうか? 木村剛氏によれば、ブログと公職選挙法の関係については、議論中だそうだから、あわてる必要はなかったのである。

 なお、この問題について、弁護士などの法律専門家の見解を聞いてみたいものである。JーCASTは、石原事務所にチクリにいくまえに、法律専門家の意見を聞いた方がよかったのではないかと思う。ただ、同記事は、別に特定の判断を下しているわけではなく、トラブルが起きたということを伝えるという形になっているだけだ。そんなに気にする必要もないし、あわてることもなかったと思う。

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