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『完敗』だった? 日米首脳会談

 安部首相とブッシュ大統領の日米首脳会談は、日本のマスコミでそれほど大きくは取り上げられず、その中身も、とくにどうということもなく、ただ、無難に日米同盟の重要性を再確認しただけに終わった。

 『産経』『読売』はそれぞれ社説で、無理に成果を強調しようとしているが、具体的な裏付けとなる内容に乏しいために、決まり文句以上のことを書けなかった。

 『読売』は、「安倍首相は、イラク復興支援のため、航空自衛隊の派遣期間を2年間延長する法案の早期成立を図る考えを表明した」「ミサイル防衛(MD)システムの配備を着実に推進することや、米海兵隊普天間飛行場移設など在日米軍再編にも積極的に取り組む考えを示した」「さらに、「安全保障の法的基盤を再構築する」として、集団的自衛権行使に関する個別事例を研究する有識者会議を設置したことも伝えた」と米国への土産品リストをあげ、「いずれも、日本の安全保障や日米同盟強化のために、推進していかなければならない課題である」と評価した。

 そして、日系人マイケル・ホンダ民主党議員が議会に提出している「従軍慰安婦問題に関する対日決議案」について、「首相は、元慰安婦に対する同情と謝罪の意を表したが、決議案の内容は、全くの事実誤認にもとづいている。この誤解は解いていかなければならない」と書いている。ここで事実誤認というのは、いわゆる慰安婦について、軍の強制はなかったという『読売』の事実認識のことである。が、軍の強制があったことを強く示唆する資料が新たに発掘されるなど、『読売』の言う事実の根拠はあやしさを増している。

 『産経』の方は、「米国は決して拉致問題を置き去りにしない、という意味だと信じたい」「自由と民主主義という共通の価値観に基づき、中国に対する中長期戦略などを話し合ったものだとすれば、極めて有意義だっただろう」「大統領としても、これ以上、日米関係に悪影響を及ぼす要因にしてはならないという態度を鮮明にしたものといえよう」というように、断定を避けたえん曲な表現が多く、安部・ブッシュ会談の評価に迷いがあるように見える。

 阿修羅掲示板の政治版にある冷泉彰彦氏の『from 911/USAレポート』第300回「一方的に終わった日米首脳会談」は、『産経』『読売』とは違って、「どのように取り繕おうと、全ての案件でアメリカ側の主張を呑まされた、いわば日本外交としては「一方的」に終わった首脳会談と言えるのではないでしょうか」とこの日米首脳会談を評価している。

 氏は、「記者会見の印象としては、まず全体としてアメリカからのメッセージとして「日本
はこれ以上右へ行くな」という警告が発せられた、これが基軸になっています」と印象を述べている。氏がそういう印象を持ったのは、拉致問題に言及した箇所の表現であり、ニュアンスである。これは英語に堪能で、アメリカに長年暮らす氏ならではのことである。

 ホワイトハウスが発表している議事録ではこうなっています。"And I will never
forget her visit and I will work with my friend and the Japanese government
to get this issue resolved in a way that touches the human heart, in a way
that -- it's got more than just a, kind of a diplomatic ring to it, as far
as I'm concerned. It's a human issue now to me; it's a tangible, emotional
issue."(私は横田早紀江さんの訪問のことを決して忘れないでしょう。そして私は
私の友人や日本政府と、この問題を単に外交的に処理するのではなく、少なくとも私にはそれ以上の、ハートの琴線に触れるような解決を目指す問題として対応していきたいと思います。この問題は、私には人間の問題なんです。目に見える、そして情の部分に訴えてくる問題なのです)

 人間的とか感情的という字面だけを読むと、怒りに端を発した強硬姿勢へ理解を示したという風にも取れる、そんな声も聞こえてきそうです。現に、今の時点でのネット上の新聞記事などにはそうした表現が目立ちます。「ブッシュ大統領、拉致に理解を示す」とか「追加制裁で合意」という類の記事がそれです。ですが、この
"touches the human heart" という表現は攻撃的な文脈では使われない言葉なのです。ですから「生存を信じ、再会を信じ、それを実現する」という意味にはなっても、「許せないから制裁し、追いつめて解決を迫る」というニュアンスにはならないのです。

 日頃、アメリカ人は、はっきりと考えを表現するとわかったようなことを言うマスコミが、英語の慣用的な表現のニュアンスを考慮しないで、ただ、日米同盟強化という自分たちの願望にあわせて、ブッシュ大統領が「制裁強化」を口にしたとか言う誤訳つまりは誤報を流したのは、恥ずかしいことだ。『読売』は、脱税で今大変だろうが、だからといって、でたらめ記事を書いていいものではない。

 安部総理が、訪米の手みやげとして、米軍再編を進めている証拠として、米軍再編推進法案をあわてて、衆議院を強行採決で通過させ、国民投票法案を強引に参議院に急いで送り、前日に、アメリカが求めてきた集団的自衛権を行使できるように見直す方向で検討する有識者懇談会設置を公表し、沖縄普天間基地の移転先として、沖縄県が反対している辺野古沿岸案実現に向けた環境影響調査を強行し、米産牛肉輸入自由化を進めることを表明し、従軍慰安婦問題で、急に態度を変えてアメリカに向かって謝罪した。

 それにしても、すでに議会が民主党に握られ、支持率30%程度という共和党ブッシュ大統領と支持率が急落し、40%程度で、松岡農相をはじめスキャンダル閣僚を抱え、地方自民党組織が瓦解しつつある安部総理との首脳会談が、どれだけの重みを持つというのだろう。冷泉氏の先の文章では、日米首脳会談の様子は、まったく放映されず、アメリカのメディアは、イラク撤退期限付き予算案の可決、大統領選挙に向けた候補者たちのテレビ討論の話題で持ちきりだったという。

 座り込み3年人の鎖/辺野古移設(『沖縄タイムス』070429)

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する地元住民や市民団体が辺野古漁港近くで始めた座り込み行動が三周年を迎えたことを受け、ヘリ基地反対協議会は二十八日午後、移設予定地の同市キャンプ・シュワブで包囲行動を行った。二十四日から那覇防衛施設局が着手したV字形滑走路案の現況調査(事前調査)に反対し、移設撤回を強く求めた。

 包囲行動には地元住民のほか、平和、環境、労働団体員ら千人(主催者発表)が参加。降りしきる雨の中、シュワブのフェンス沿いに並んで手を取り合い、「違法な事前調査はやめろ」「辺野古の海を守るぞ」などと気勢を上げた。

 反対協の安次富浩代表委員は「闘いを続けていけば必ず勝利できる」と訴えた。

 夫と子ども三人と参加した二見以北十区の会の渡具知智佳子共同代表は「子どもたちの未来に基地は必要ない。子どもたちが誇りを持てる故郷を残そう」と呼び掛けた。

 

 

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