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ついに30%を切った安部内閣支持率に思う

  最近は、いろいろな世の中の動きが流動的すぎて、様々な事件が次々と起きては、情勢が変わってしまうので、それを追いかけるだけでも大変である。

 日本では、まさかの大きな年金記録漏れが発覚し、次々と年金制度の不備やいい加減さや厚生省官僚のひどい年金観が暴露され、一気に、年金問題が参議院選挙の最大争点になりつつある。

 そして、介護大手のコムスンの介護報酬不正請求問題での一部業務停止処分をきっかけに、介護福祉現場のお寒い実態が次々と明らかになっている。親会社は、かつてバブル時代に一世を風靡したマハラジャなどのディスコ経営を成功させ、さらに人材派遣業に乗り出すなど、時代の最先端の事業で、成功を収めてきたグッドウィルである。この件で日本経団連は、折口会長の理事退任と同グループの無期限の活動自粛処分を公表した。この点について、「経団連の御手洗冨士夫会長は同日の記者会見で、「(介護事業という)仕事の性質上、普通の会社より厳しい法令順守や社会的責任に基づいて経営すべきだった。(コムスンの行為は)大変残念で許し難い」と指摘」(6月11日『日経新聞』)というのだが、御手洗会長のキャノンでも、偽装請負問題が発覚しており、「厳しい法令遵守や社会的責任」という点で、模範的とも言えない情況にある。官も民も腐っているわけである。

 アメリカでは、エンロン事件など企業不祥事が次々と発覚したため、いろいろと対策を取ってきたわけだが、しかし、イラクなどで軍事関係の様々な事業を請け負っているチェイニー副大統領の関係するハリバートンの不正が発覚している。

 しかし、日本では、年金・福祉に関する不祥事が次々と発覚して大問題になっているが、アメリカやイギリスの新聞の見出しを占めているのは、イラク・アフガニスタン問題であり、レバノンでの政府軍によるパレスチナ難民キャンプへの軍事攻撃であり、パレスチナ・イスラエル情勢、などである。そしてアメリカの新聞では、もちろん、大統領選挙レースについてである。

 イラクでは、連日、アメリカ兵や住民が次々と殺害されており、先月の米兵死者数は、一月で、100人を超え、今月に入っても、すでに二桁の死者が出ている。イスラエル軍は、パレスチナへの攻撃を再び活発化しており、パレスチナでは、イスラム組織のハマスとファタハ(PLO)の間での戦闘が激化し、先日には、ガザ地区をハマスがほぼ制圧したという。それに対して、ファタハのアッバス議長が、ハマス内閣を解散させ、ファタハ系の内閣の組閣を開始し、それにハマスが強く反発しているという。パレスチナのハマス・ファタハの連立政権は、ついに崩壊の危機にあるという。このようなパレスチナの混乱に乗じて、強く介入するのがこれまでのイスラエルの常套手段だから、パレスチナ情勢は、極めて難しい局面にきたということが言える。事実上の政権崩壊、政権の空白、様々な武装勢力の闊歩、それに介入するイスラエル軍の攻撃、等々、の危険性が増大していると見るべきだ。だから、欧米の新聞は、パレスチナ情勢を連日報道しているのである。

 アメリカ政府は、レバノンの事態では、反シリア的なレバノン政府を支持し、パレスチナの事態では、もちろんイスラエルとファタハを支持している。このようなパレスチナ情勢に対して、イランが核武装することで、影響力を強めることをアメリカ・ブッシュ政権が強く警戒していることは、ドイツでのG8の総括文書にもあからさまに出ている。ただ、環境問題を主要テーマとうたっていたので、こうした点にはあまり注目が集まらなかったのである。だが、中東情勢は、今、極めて危険で深刻な状態にあり、アメリカとしては、当面、この事態に対処するために力を注がねばならず、他のことにはあまり手が回らないという状態にある。

 『時事通信』の世論調査では、安部内閣の支持率はついに危険水域と言われる20%台に入った。参議院選を闘えないという地方組織の悲鳴が党中央に上がってきているようだ。公明党からは副幹事長が、公認を得られなかったことなどに反発して、離党し、野党からの参院選出馬を目指すという動きが起きた。沈みかかった船からネズミが逃げ出すというのは、こういうことを言うのだろう。公明党自身、当初、公認候補全員当選と言っていたのが、最近では、全員当選は難しい、反自民の風に巻き込まれて、議席を減らすかもしれないと弱気を見せている。自民党自身については、橋本内閣が退陣に追い込まれた参院選の惨敗並に議席を減らすかもしれないという読みをする者もいる。この時、ある時点で峠を越えたら、一気に雪崩を打って、自民党は大敗北を喫した。それは、誰かが、狙ったからといって、成功するというものではなく、様々な力が一つに集中し、人々を方向付ける流れによるものとしか言いようがない。自民党はこの支持率低下をできるだけ回復させたいのだが、そのために、自民党内では、国会会期の延長が取りざたされている。低支持率の間に選挙を早くやりたい野党と人気回復のために時間をできるだけ使った上で選挙に持ち込みたい自民党との綱引きが活発になっているのである。しかし、投票をのばしたために、その間に、自民党にとって不利になる事態が発生しないとも限らないわけで、かえって、不利になる可能性だってあるのだから、会期延長が、参議院選挙で自民党に有利に働くとは限らない。

 なんだか、憲法問題まで吹っ飛びそうな感じなのだが、いずれ、国民投票法にしたがって憲法審査会が国会に設置されれば、改憲案の審議が始まるわけである。しかし、ごくおおざっぱな意味での護憲派が参議院で、3分の1を占める可能性がないわけでもない。自民党内にも、改憲消極派がいるからである。例えば、いわゆる旧鴻池会系や山崎派などの議員である。ただ、近年の自民党は、党議拘束を強くかけることが多いので、どれだけの力になるかはわからない。しかし、与野党逆転した場合には、執行部は、郵政法案での参議院議員の造反組処分の時のような厳しい対応はしにくいだろう。

 それにしても、自民党をこういう状態に追い込んだのは、「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉前首相である。自民党参議院議員には、職域組織出身の議員が多く、その職域組織を「ぶっ壊し」、さらに地方組織を分裂させたりしてそれも「ぶっ壊し」たので、足腰が弱っているのである。沖縄ではまだ利益誘導がある程度可能だったが、それ以外の多くの地方では、自分たちの利益にならないとなると特に土木・建設関係の企業が動かなくなってしまったのである。それで、福島・山口等の地方選挙で自民党は大敗したのである。

 年金未記録問題は、自民党支持が高かった女性支持者を減らしてしまった。これではどうにもならないのではないだろうか。7割台という高支持率で出発した安部政権が、わずか10ヶ月ほどで、こんなぼろぼろの状態になってしまうとは、誰も予測できなかったのではないだろうか。世の中一寸先は闇である。

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