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国会会期延長問題『読売』社説はわけがわからない

 この『読売』社説は、なにを言わんとしているのかを理解できない。できもしないことを主張して、どうするのだという感じだ。

 まず、重要法案を処理するためには、国会会期を延長するのは、政治の責任だという。ついで、積み残しになっている法案として、社会保険庁改革関連法案、年金時効特例法案、国家公務員法改正案などをあげている。

 社保庁改革法案には、賛成のようである。社保庁廃止・解体・非公務員化で、「お役所体質」をなくそうというのである。それというのも、年金記録漏れ問題の原因は、「一般常識とかけ離れた長年の労働慣行にあると言いたげである。

 日本テレビ系の「太田総理」のなんとかという番組で、石破元防衛庁長官は、労使慣行の一つであるパソコンのタッチ数を5000から最高1万に制限していたことについて、5000タッチだと10分か20分で終わると言った。以前、テレビ朝日系の「テレビタックル」で、屋山太郎は、1時間ぐらいだと言った。どちらも根拠もなく、ただいい加減に、そんなもんだろうという感じで言ったのだと思う。一般常識では、何タッチが適切なのだろう。パソコン説明書などでは、やりすぎは体に負担になるとか注意が書いてあるのだが。たしか、一時間毎に休憩や軽いストレッチのようなことをするように注意書きがあったりしたと思うが・・・。

 この社説は、それのどこがどうおかしいかということを具体的に指摘していないし、労働慣行と年金記録漏れや不祥事との因果関係をまったく証明も説明もしていない。これでは、『読売』の主張を検証することができない。ゆっくりでも、正確に年金記録作業が行われていれば、記録漏れなど起きるわけがない。

 この間、うっすらとわかってきたのは、急激な制度改革による混乱が背景にあったのではないかということである。組織的対応をきっちりと整える間もなく、改革・改革と煽られて、慌てて、作業に取りかかったのではないかということだ。

 要するに、それは民間でもよくあることで、例えば、銀行で、合併後にATMの不調が起きたりしたような事態との共通性があるのではないかということだ。

 だから、被害を拡大しないためには、急ぐことではなく、適切なスピードをもって、確実に作業をこなすことである。これ以上、慌てて、改革だの解体だのと、より混乱を加速させるようなことをすれば、さらなるミスが起きる可能性が増えるのである。

 民間だって、環境の激変の際には、大きなミスを犯す。

 『読売』は、そうは考えないようだ。「民主党は、国税庁と社保庁を一体化した「歳入庁」構想を主張しているが、事実上、公務員労組を温存しようとするものだ。これでは、問題の根本的な解決にはなるまい」と言うように、問題の根本は、公務員労組にあるという考えだからである。もちろん、これは完全に問題の的を外している。だから、別に急ぐ必要はない。新組織にあわてて移行して、混乱を持ち込むよりも、社保庁をまずきれいにしてから、スムースに新組織に移行した方が、混乱を避けられるだろう。

 年金時効特例法案は、民主党によれば、運用で、ある程度は対応できるという。

 社説は、「年金問題は、国民生活の基本にかかわる。いたずらに政争の具にするのではなく、問題解決のための建設的な議論が必要だ」「この間、与野党の応酬は、年金記録漏れに集中した。肝心の年金制度改革の論議はどこへ行ったのか。政治の本来の責務を忘れたものと言わざるを得ない」と国会論議を批判する。

 まだ人々が、自分の年金記録の確認に追われている段階で、国会だけが、年金制度改革などという長期プランの議論に移れるものではない。おそらく、議員たちは、今、人々から、不安・不満・怒りの声をたたきつけられている状況にあるだろう。参議院選挙後、年金国会を召集したっていいわけである。なんなら、年金解散して、衆議院選挙をやるのもいい。今、あわてて、生煮えの法案を次々と無理矢理通したところで、後から、そのツケが回ってくるだけである。

 建設的な議論のためには、それを可能にする環境をつくらねばならない。そういう条件のないところで、いくらこんなきれい事を並べても、実現できっこない。

 『読売』が、「大事なのは、参院選に向け、重要政策の選択肢を示す論戦だ。いたずらに混乱劇を演じてはならない」と主張するだけでは、事態はそのとおりには動かないのである。そのことは、これまで、同じ事を言い続けてきたにもかかわらず、けっしてそうはならなかったという事実が証明している。それなのに、無効な主張を繰り返すのは、現実が見えていないという自分の欠陥によることに、いいかげんに気づくべきなのであるが、特定の変なイデオロギーに染まりきっている頭では、それも難しいのである。

 国会会期延長 年金記録漏れだけが争点なのか(6月23日付・読売社説)

 重要な課題があれば、会期を延長してでも処理するのは、政治の責任である。

 国会の会期が7月5日まで12日間延長された。この結果、参院選は7月29日投票となる。

 与野党対立のあおりで、国会には、社会保険庁改革関連法案、年金時効撤廃特例法案、国家公務員法改正案などが、積み残しとなっている。

 社保庁改革法案は、社保庁の廃止・解体、非公務員化によって、“お役所”体質の払拭(ふっしょく)と転換を図るものだ。

 一般常識とかけ離れた長年の労働慣行の下で、5000万件余もの年金記録漏れの問題や、職員の不祥事などが相次いで起きたことを考えれば、速やかに成立させ、改革を急がねばならない。

 民主党は、国税庁と社保庁を一体化した「歳入庁」構想を主張しているが、事実上、公務員労組を温存しようとするものだ。これでは、問題の根本的な解決にはなるまい。

 年金時効撤廃特例法案も、年金記録漏れの点検と、正確な納付記録に基づく年金支給の作業を進めるための基本的な前提条件を整えるものだ。これも、早期成立が必要だ。

 民主党など野党は、参院選に向けて、年金問題を争点に政府・与党を追い込もうとしている。安倍首相の側にも、年金問題で内閣支持率が急落しているため、社保庁改革法案などの成立で巻き返す意図がうかがえる。

 だが、年金問題は、国民生活の基本にかかわる。いたずらに政争の具にするのではなく、問題解決のための建設的な議論が必要だ。

 この間、与野党の応酬は、年金記録漏れに集中した。肝心の年金制度改革の論議はどこへ行ったのか。政治の本来の責務を忘れたものと言わざるを得ない。

 ただ、安倍首相が今国会中の成立に執心し、会期延長を決意したとされる国家公務員法改正案には、やはり疑問がぬぐえない。

 天下りを根絶するために官民人材交流センター(新・人材バンク)を作るという。だが、早期勧奨退職の慣行の見直しや、スタッフ制の創設、定年延長などがないままで、新・人材バンクが円滑に機能するとは思えない。

 野党は、「延長してもなお審議時間は足りない」とし、法案の時間切れ、廃案に追い込む姿勢だ。内閣不信任決議案提出のタイミングもうかがっている。延長国会では与野党対決が強まるだろう。

 大事なのは、参院選に向け、重要政策の選択肢を示す論戦だ。いたずらに混乱劇を演じてはならない。

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