« 屋山太郎さん、それで年金は本当に安心なんですか? | トップページ | 総連関連だと空想癖が強く出る『産経』『読売』。その他 »

従軍慰安婦決議問題で事実をねつ造する『読売』『産経』

 米下院外交委員会で、慰安婦問題で首相に公式謝罪を求める対日非難決議案が圧倒的多数で可決された。

 『産経新聞』はさっそく右派があっちこっちの断片を都合良く拾い集めて、それをつなぎ合わせて作り上げた「お話」を事実だとして、反論を企てている。

 慰安婦は主として民間の業者によって集められ、軍は性病予防対策などで関与しただけだというのである。まず、軍が、慰安所設置を決め、民間業者にやらせたという時点で、軍の関与が明白であり、さらに、憲兵による「強制連行」があったこともわかっている。

 『産経』が、それがなかったことを示す証拠というのは、日本政府が集めた約230点の資料であり、公式文書である。公式文書に載らないものは、証拠能力がないというのが、『産経』の主張である。言うまでもないことだが、公式文書に載らないことの方がはるかに多いのである。証言もまた重要な証拠であることは、裁判でも明らかである。

 右派は、元従軍慰安婦と名乗りを上げた人々の証言はあてにならないとして、なんとか無視しようとしている。その理由は、彼女らの証言の一部が二転三転したからである。かれらは、変わった部分のみを集めて、変わらない部分の証言を無視している。変わったところだけを抜き出して強調して、他の部分、全体の証言の信用度が低いという心証を作り上げているのである。なんとも見え透いたやり口だ。おそらく、こういうソフィスト的やり口は、ディベート術とか法律家の法廷戦術から取り入れているのだろう。

 どのような方法をとったのかを明らかにせず、結果だけを示すというのも、卑怯なやり口である。それでも、アメリカの機関誌である『産経』は、日米関係が揺らぐことを恐れ、あまりアメリカ側を刺激しないように、気をつかった書き方をしている。『産経』は、誤解を解けといっているだけだ。

 『読売』は、それに比べて、はるかに強い態度で、反論せよと主張する。「「軍や官憲による強制連行」を直接示す資料は、これまでの調査で何も見つかっていない」と『読売』は断言する。公式資料はないからだという。しかし、なぜないのかということを追求する中で、逆に隠された事実があったことを証明するというやり方がある。あって当然なはずの資料がないという場合に、資料破棄ということが証明されるということがある。

 西岡昌紀は、元従軍慰安婦の証言の信憑性を部分的な証言変更をひたすら強調して、心理的に、証言の信憑性への信用を崩すという方法を使っていて、真実をきちんと証明するという方法を取っていない。印象操作をやっているのだ。これは、本来、ジャーナリストや学者などは禁じ手とする倫理があってしかるべきなのだが、最近の学者やジャーナリストは、平気でこの手を使う。要するに、「あるある大事典」のねつ造と似た手口なのである。この事件の時、番組に利用されただけだと学者は言うのだが、なかには積極的に利用していたのではないかと思われる学者もいる。それに、この時、ねつ造に気が付いているのに、抗議もしないし、事実を公表しなかったことは、非難されてしかるべきだった。それを誰も言わなかったのは、甘かった。

 証言は部分的に取り上げるのではなく、全体を通して、信用できるかどうかを慎重に判断すべきで、そのような手続きを取らないで、部分の積み上げ、恣意的な強調等々を行っている文章は、それ自体、信用度が低いということを自己暴露していると見るべきである。こういう人を馬鹿にしたレトリックや詐術を使っていて、ばれたら、地獄を見ることは、関西テレビや牛肉コロッケ偽装のミートホープの運命を見れば明らかだ。

 この決議が、部分的に間違っていたとしても、全体としての正当性があれば、いいのである。だから、『産経』が言う事実というのは、事実もどきか部分的事実であって、そんなものをいくら繰り返しても、誤解を解くことはできないのである。左翼は死んだだの終わっただのとかいう念仏を百回唱えたら、それが真実だと思いこんでしまったあわれな幽霊信者の右派と同じなのだ。ただ、『産経』の方が、『読売』ほどは、幽霊を信じ込んでいない分だけ冷めている。『読売』は、願望と現実を完全に取り違えている哀れな幽霊信者になっている。この間、現実を読み違えて、はずしてばかりいるのである。

【主張】慰安婦決議案 事実を示し誤解を解こう(6月28日『産経新聞』)

 米下院外交委員会で、慰安婦問題で日本の首相に公式謝罪を求める対日非難決議案が賛成多数で可決された。残念な結果である。

 可決された決議案は「日米同盟がアジア太平洋地域に占める重要性」を盛り込むなどの修正が加えられ、民主党のマイク・ホンダ議員が提出した当初の決議案より表現がやや緩やかになっている。しかし、「慰安婦制度は日本政府による軍用の強制的な売春」と決めつけるなど、多くの誤りを含んでいる。

 慰安婦問題をめぐり、日本の官憲が奴隷狩りのように強制連行したという説が一部で流布されたこともあるが、日本政府が2年がかりで集めた約230点の資料の中には、そのような事実を示す証拠は1点もなかった。慰安婦は主として民間の業者によって集められ、軍は性病予防対策などで関与していたのである。

 決議案は来月にも下院本会議で採決される見通しだ。議会の決議に法的拘束力はないが、国際社会では、誤った事実に対して何も反論しないことは、それを認めたことになりかねない。日本の外務当局はこれまでに集めた公式文書などを有効に使って誤りを正すべきである。

 米下院外交委員会では、慰安婦問題をナチス・ドイツが行ったホロコースト(ユダヤ人大虐殺)と同列に論じる非難の声も上がったといわれる。南京事件などをめぐり、これまでも米国の州議会などでしばしば繰り返されてきた誤解である。

 米国でベストセラーになった中国系米国人、アイリス・チャン氏の著書『レイプ・オブ南京-第二次大戦の忘れられたホロコースト』の影響がいまだに残っているようだ。

 4月末の日米首脳会談で、安倍晋三首相は「慰安婦の方々が非常に困難な状況の中、辛酸をなめられたことに対し、人間として首相として心から同情している」と述べた。ブッシュ大統領もこれを評価した。最近、外務省が米国で実施した対日世論調査でも、日本を「信頼できる」と答えた一般人が74%と過去最高を記録した。

 日米同盟を一層揺るぎないものにするためにも、歴史問題で正しい事実を示し、誤解を解く粘り強い外交努力が必要である。

  慰安婦決議 米議会の「誤解」の根元を絶て(6月28日付・読売社説)

  いわゆる従軍慰安婦をめぐる対日決議案が米下院外交委員会で採択された。全くの事実誤認に基づく決議である。

 日本政府は、将来に禍根を残さないよう、米側の誤解をときほぐし、当面、本会議での採択阻止に努めなければならない。

 決議案は日本政府に対し、「日本の軍隊が若い女性を強制的に性的奴隷化」したことへの歴史的責任を認め、謝罪せよと言う。「慰安婦制度は20世紀最大の人身売買事案の一つ」と表現している。

 事実をきちんと確かめることもせず、低水準のレトリックに終始した決議案だ。米議会人の見識を疑わせる。

 安倍首相は4月、米大統領や議会首脳らとの会談で、元慰安婦への「心からの同情」と「申し訳ない思い」を表明した。「20世紀は人権侵害の多い世紀で、日本も無関係でなかった」とも述べた。

 だが、こうした首相の発言も、決議案の採択見送りにつながらなかった。

 米議会で採択される数多くの決議の一つにすぎない。法的な拘束力もない。従って、重く受け止める必要はない、という指摘もある。

 これは間違っている。反論することを控えれば、この誤った「歴史」を独り歩きさせるだけだろう。

 戦前、親やブローカーの手で、自らの意思に反して、慰安婦にさせられた女性は多数いた。しかし、これと、日本軍による、いわゆる「強制連行」とは、明らかに意味が違う。

 「軍や官憲による強制連行」を直接示す資料は、これまでの調査で何も見つかっていない。政府は、今年3月の答弁書でも、この点を明確にしている。

 一体、対日決議案は、何を論拠にしているのか。大きな拠(よ)り所とされているのが、1993年に出された河野官房長官談話だ。そこには「官憲等が直接加担した」などと、「強制連行」があったと誤って受け止められる記述がある。

 当時、慰安婦問題での韓国側の圧力をかわすために考えられた政治的文言が、その後、誤解を広げた根元にある。

 安倍首相は、「河野談話」を継承すると言う。外交的配慮からだろうが、その立場をとる限り、「強制連行」という誤解は消えない。談話に誤りがあるなら、見直しを躊躇(ちゅうちょ)するべきではない。

 麻生外相は3月、決議案をめぐる動きについて、「日米を離間させる工作」と指摘した。背後で、中国・韓国系の反日団体などが影響力をふるっている。

 このままでは、謝罪要求が繰り返されることになりかねない。筋道を立てて歴史の事実を明らかにしていくべきだ。

|

« 屋山太郎さん、それで年金は本当に安心なんですか? | トップページ | 総連関連だと空想癖が強く出る『産経』『読売』。その他 »

雑文」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。