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柏崎原発被災 エネルギー問題の根本論議が必要だ

 以下の『読売』社説は、新潟県中越沖地震で、被害を出した柏崎原発の放射能漏れはたいしたことがなく、原子炉は安全だったのに、風評被害が海外まで広まっているのは不当だと主張している。

 確かに、「漏れた」のは排出基準よりはるかに低いものであった。しかし、それが大きな衝撃を海外に与えたのは、確かに、大げさに伝わっていることがあるかもしれない。

 しかし、このところの、禁煙の動きでもそうだが、基準がどうこうと言うよりも、体に悪いものをゼロにするという「意味という病」に、健康問題をめぐって、犯されていて、それはダイオキシン問題の時もそうだったが、どの程度まで、健康阻害物質が許されるのかということを具体的に論議するよりも、一気にそれを禁止するというようになっているという社会状況がある。そうした中での「放射能漏れ」だから、いくら、その程度なら全然人体に悪影響はないと言っても、拒否反応が強く出るのである。

 『読売』が、どうしてこの問題では、「放射能漏れ」は微量で問題はないということを強調しながら、この間の禁煙化の動きに、同じようなことを言わないのかという点に、原子力問題に対する『読売』の偏った支持の姿勢が表れているということが問題なのである。

 『読売』は、ずっと、原発は環境問題解決への切り札であるとか、いろいろと理屈をつけて、原発推進の立場に立っていて、その妨げになるような安全性への疑問を退けたいと願っているのである。

 『読売』は、冷静になるべきだとして、「「漏れた」とされる放射性物質はごく微量だ。政府と発電所が定めた排出基準の10億分の1から1000万分の1程度でしかない。経路や物質の種類から見て、原子炉本体からの漏れの可能性は極めて低い。無論、環境への影響はない」という。最後のところは、環境への影響は極めて少ないとでも書くべきところだ。それから、「大気への放出は排気スイッチの切り忘れが原因で、今は止まっている。地震による機械的な損傷と言うより、人為的ミスだった」というのは、分析不足で、地震のような場合に、それが作業員の心理に与える影響も、地震による影響の一部なのであり、心理的動揺の中で犯してしまう人為的ミスが、大きな被害につながることもありうるわけだから、その点の対策も必要である。

 そして、『読売』は、「原子炉が襲われた史上最大の揺れかもしれない、と言われる。ならば貴重な知見が得られるはずだ。それを導き出し、すべての原子炉の安全性の向上に確実に反映させてゆかねばならない」という。これはそのとおりだ。しかし、「ならば貴重な知見が得られるはずだ」だから、今後は、より安全になるというのだが、そもそも、『読売』は、国の借金が大変だ、予算を精査しろ、節約しろ、足りない分は消費税を引き上げろと強調してきたのに、原子力対策だけは、金のかかりそうなことを平気で提言するのだろうか? 原子炉のような「日本は耐震設計などの技術で世界最高水準にある」というのは、それだけカネをふんだんに使って、高度技術開発を進めてきたということであり、その安全性向上には、ものすごいお金がかかるんじゃないだろうか? そこまで金をふんだんに使ってまで、原子力発電にこだわる必要があるのだろうか? 

 26日のフジ系の「ニュース ジャパン」のアメリカの環境問題を取り上げたところを見たら、ブッシュ大統領は、環境問題対策として、①石炭、②太陽光発電、風力発電、③バイオエタノール燃料の三つをあげているという。なぜか、この部分では、原子力発電が入っていなかったのは不思議だが、結局、原発は、最終処分まで含めると結構コストが高くつくし、各段階で、高度な技術開発が必要で、それも、無駄と言えば無駄なのである。しかし、投資という点では、逆に、技術投資という投資局面があった方がいいわけだ。それと、省電化が進んでいるし、電力需要を減らし続けていくというクールビズの狙いもある。それなのに、どうして、これ以上、安全投資をしたりして、ずっと原発を続けていかなければならないのか? 産業界の利益のためという他ないのではないか? それが、国にも、原発コストがかかっているわけだから、そんな無駄遣いも、だんだん止めていったら、財政健全化にもいいのではないだろうか?

 しかし、何よりも、今の大都市は、でかすぎて、エネルギーを食い過ぎるのであり、人口を全国に散らしていかないといけないだろう。石原都知事みたいに東京=日本みたいな東京エゴ思想をまずはぶっつぶさないといけない。過密の状態のままで、地下深くをほじくり返して、余計にエネルギーを食いつぶしすようにしたりしていては、大規模発電をなくせない。高層ビルもそうだ。建物の高さを低く制限して、風通しをよくしたり、空き地や緑地がもっとなければだめだが、それには、人口が過密すぎるのである。

 『読売』は、原発は安全だなどと強調しているけれども、今、政治に向かって、根本的な議論をしろと説教垂れているのだから、自ら、根本問題として、巨額の安全投資をしてまで原発を続ける必要があるのか、それとも、都市人口を分散して、中小規模の太陽光発電や風力発電や天然ガス発電・水力発電などを組み合わせ、また、電力需要そのものを減少させていくようにするとか、そういう方の議論を提示した方が、建設的だと思う。

 

原発と地震 原子炉の安全は確保されている(7月26日付・読売社説)

 大々的に「放射能漏れ」と煽(あお)り立てるほど、ひどい漏れが起きているのだろうか。

 東京電力の柏崎刈羽原子力発電所が新潟県中越沖地震で被災した。その状況が連日、メディアを通じて伝えられる。

 ニュースを知ったイタリアの人気サッカーチームが、予定していた来日を直前になって中止した、という。

 夏のかき入れ時を期待していた新潟県内の旅館やホテルも、キャンセルが相次いでいる。県の試算によると、風評被害による損害額は1000~2000億円にのぼる見通しだ。

 もう少し冷静になってはどうか。

 「漏れた」とされる放射性物質はごく微量だ。政府と発電所が定めた排出基準の10億分の1から1000万分の1程度でしかない。経路や物質の種類から見て、原子炉本体からの漏れの可能性は極めて低い。無論、環境への影響はない。

 大気への放出は排気スイッチの切り忘れが原因で、今は止まっている。地震による機械的な損傷と言うより、人為的ミスだった。

 原子力安全委員会は19日に、鈴木篤之委員長の所感を公表している。

 最大のポイントは、緊急時に原子炉で最も重要とされる「止める」「閉じこめる」「冷やす」、という三つの機能が正常に働いて、今も安全性は確保されている、ということだ。

 原子力施設の耐震設計と建設、さらにその考え方を定めている政府の指針は基本的に有効だった、と言える。

 ただ、特別な耐震強化をしていない排気ダクトや消火栓などの付帯設備は、大きく損傷している。原子炉の建屋内にある、耐震性をある程度強化したクレーンも破損した。こうしたトラブルは60件以上にのぼる。

 しかし、いずれも原子炉の安全性とは峻別(しゅんべつ)して考えるべき問題だろう。

 重要なことは、今回の揺れがどんなものだったかを分析したうえで、炉にどう影響したか、詳しく調べることだ。付帯設備の耐震性をどこまで確保すべきかも課題となる。

 原子炉が襲われた史上最大の揺れかもしれない、と言われる。ならば貴重な知見が得られるはずだ。それを導き出し、すべての原子炉の安全性の向上に確実に反映させてゆかねばならない。

 国際原子力機関(IAEA)も調査に来る。日本は耐震設計などの技術で世界最高水準にある。それを生かした安全性確保の努力について、しっかりと見てもらい、海外での風評被害を、ぜひ解消してもらおう。

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