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天木ブログ記事から知る民意の恐ろしさ

 先の参議院選挙で、「9条ネット」から立候補して、残念ながら落選した天木直人氏がブログでこんなことを書いている。

 テレビ・新聞などの「表のメディア」では流されない真の情報が、インターネットなどの「裏のメディア」では流されている。その一例として、あるブログにあったという情報を紹介している。

 ひとつは、「ニューヨーク・タイムズ紙のティム・ワイナー記者の近著でピューリッツアー賞受賞作、「灰の遺産、CIAの歴史」第12章の中に、「岸信介元首相は米国CIAの助けで日本の首相となり、CIAの金をもらって日本を対米に従属させた」という事が縷々書かれているという。岸元首相と米国のつながりについてはこれまでも断片的に紹介されてきたが、この書では更に具体的な事実が明らかにされているのだ。安倍首相は誇るべき祖父の名誉のためにも、「岸信介=CIAの犬」説はでっち上げであると証明し、ワイナー記者を名誉毀損で訴えるべきではないかと、この情報を提供しているブロガーは冷やかしている」というものである。

 岸がCIAのスパイで、当時の自民党が、アメリカから金をもらっていたのは有名な話である。自民党へのアメリカからの資金提供については、CIAの公式記録に載っていると報道された。CIAが、右翼系の政界フィクサーらに金を渡して、日本の政治を動かそうとたくらんだが、あまり役に立たなかったと嘆いていたことを示す公文書も公表された。

 岸信介は、60年安保闘争が空前の盛り上がりを示し、連日国会にデモ隊が押し寄せる中で、6月15日の自然成立を前に、自衛隊を治安出動させ、この反安保運動を武力鎮圧することを決意し、赤城防衛大臣にそれを要請したが、拒否された。そして、岸は、安保改定と引き換えに、退陣に追い込まれるのである。そして先日、岸の孫の安部総理を窮地に追いやったのは、赤城防衛大臣の孫の赤城元農相である。

 因果はめぐるのだろうか。

 岸の孫の改憲策動に対して、祖父を倒すために国会を取り囲んだ60年安保全学連の元闘士たちが、国会前に座り込み、あるいは6月15日安保デーに日比谷野音に結集したのである。

 安部政権は、参議院選挙で歴史的惨敗を喫しながら、本人は続投するとして居座ったが、赤城大臣が事実上更迭されても、内閣支持率低下は止まらず、危険水域、20%台に突入した。反安保闘争、政権内の求心力低下、内部からの離反、総理への協力拒否、などの、祖父の政権崩壊と同様の道を孫もまたたどることになるのだろうか?

 安部自民党惨敗に、チャンネル桜の右派・保守派の連中が、大きなショックを受けているらしい。愛国主義イデオロギーよりも生活第一を求めた「国民」を批判しているという。どうしようもない連中だ。これで、連中が後退することがはっきりした。政権交代後、下野した岸信介は、統一協会はじめ右派宗派や民間右翼などと結びつきつつ、右からの国民運動を育成することに力を注ぎ、自主憲法制定運動などに取り組んでいった。その資金源にもCIAの陰がつきまとっているという人もいる。アメリカは、今でも、世界で、民主化支援などの名目で、親米勢力育成のために資金を提供したりしている。議会予算を使いながら、民間に事業委託している場合もあり、政府介入なのだが、そうとみえにくいようにして、行っている場合もある。

 次に、天木氏は、先の参議院選挙で、自民党の比例候補として当選した自衛隊の元サマワ先遣隊長であった佐藤正久氏の驚くべき発言というのを紹介している。

 佐藤氏は、「集団的自衛権の論議の中で、国民を騙して戦争状態をつくりだすつもりだったとTBSの報道の中で発言していたというのだ。このニュースはすでに削除されているらしいが、なんでも次のような発言を堂々と行っていたという。「・・・もしオランダ軍が攻撃を受ければ『情報収集の名目で現場に駆けつけて、あえて巻き込まれる』という状況をつくり出す事で、憲法に違反しない形で警護するつもりだった・・・巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況はつくれませんから・・・日本の法律で裁かれるのであれば、喜んで裁かれてやろうと・・・」。

 要するに、もしサマワで治安維持任務に当たっていたオランダ軍が、攻撃されたら、自衛隊は、情報収集の名目で、オランダ軍を守りにいって、あえて巻き込まれるつもりだったというのである。これは、集団的自衛権の行使であるが、直接の目的は情報収集なので、情報収集活動中の自衛隊活動に対して攻撃されたのに反撃するという個別的自衛権の行使にすぎないという理屈を立て、それを日本の法律で裁かれても構わないと思っていたという。

 これはいかにも本質的に超法規的実力部隊の軍人らしい発想である。軍人は、まず戦闘任務の実現という目的をどう達成するかを中心に考える。それは、戦略戦術主義と言ってもよい。オランダ軍が、万が一にも、戦闘で敗北するようなことがあったら、自衛隊も敗北することは明らかであるから、何があっても、まずは、オランダ軍が勝つことが優先で、だから、自衛隊はオランダ軍に加勢しなければならない。名目は、なんでもいいのである。後付で構わないわけだ。これは石原莞爾ら関東軍の謀略の発想と似ている。やってしまって、既成事実をもって事後承認を取り、後から、正当化し、法的根拠をつくるというやり方である。危うい。

 例えば、この自衛隊の反撃によって、巻き添えで、無関係なイラク人が死んだとしよう。それも、やむを得ざる犠牲にされてしまうわけである。付近の住民すべてを安全に避難させてから、戦闘に入るということは滅多に実現できるものではない。この想定では、すでにオランダ軍は戦闘に入っていて、それに加勢するわけだから、自衛隊だって、余裕がない情況である。このような事態が持つ政治的な意味は、現場の指揮官にはわからないだろう。佐藤元先遣隊長は、現場指揮官らしく、その行動が持つ政治的意味よりも、現場の必要や現場の発想を優先的に考えている。だから、やったことに対して、後で日本国内で裁かれても良いなどということを言うのである。そしてそれは、オランダ軍のように反撃権・集団的自衛権行使ができるという世界の常識を日本の国内法体系に持ち込むチャンスと考えているのである。

 これに対して天木氏は、「この発言は驚愕的だ。憲法違反を実行する事を堂々と述べる人間に国会議員の資格はない、とこのニュースを報じているブロガーは書いているが、おりしもテロ特措法延長が臨時国会の焦点となる。佐藤発言こそ野党は真っ先に取り上げなければ嘘である」と述べている。

 軍人の感覚・論理・発想というのは、佐藤元先遣隊長のこのような発言に示されている。法律よりも、現場の戦闘の利益、戦闘目的の達成、の方が優先されるということだ。シビリアン・コントロールその他の制約ということを簡単に忘れてしまうのである。もちろん、これは天木氏が言うように、憲法違反を公然と述べたもので、公務員(自衛隊も公務員である)の憲法遵守義務をすっかり失念したもので、まして、国会議員としては、不適切きわまりない発言である。政治が、軍事を指導できず、軍隊の論理が優位に立ったら、大変なことになる。その行き着く先は、軍国主義国家である。政治主導が貫かれねばならないが、自民党には、石破元防衛庁長官のように、ふらふらしている防衛屋が幅を利かせていて、危ういものがある。民主党の前原グループなども似たようなもので、危うい。

 臨時国会が始まると、安部与党は、これまでどおりに国会運営が進まないという事態に直面し、それによって、否応なく、参院選大敗の大きさに気づかされることになろう。今の段階では、この意味について、頭ではわかっているだろうが、政治経験としては、十分理解していないだろう。安部退陣を求める党内意見が出ているが、それもまだ余裕で言っているという感じがする。それはもちろん、衆議院での圧倒的多数の議席があるからだろう。だが、秋には、そんな余裕の表情は消えることだろう。

 民意は恐ろしい。昨日まで見せていた笑顔も、翌日には、怒りの表情に変わる。

 天木氏は、「裏のメディア」が「表のメディア」に取って代れば、「何よりも為政者による情報操作ができなくなる。国民が覚醒する。世の中が一変するに違いない。のぞましい本来のメディアの姿がここにある」と最後に述べている。

 今回の参議院選挙で、民意が反自民・民主支持に極端に傾いたのも、「国民」の覚醒の一つの表われである。小選挙区制を何度も経験して学んだ「国民」は、この制度では死票が多いということに「覚醒」し、死票を避けるという投票行動を示した。先の郵政解散総選挙で、郵政民営化反対票が過半数を制していたのに、小選挙区制のために、郵政民営化賛成の与党議員が大量当選してしまった。民意が反映されなかったのである。「国民」がそれから学んで、「覚醒」が進んだように見える。

 その中で、社共は、批判票の受け皿になり、少ないとはいえ議席を伸ばした。しかし、この参議院選挙では、後退した。その大きな要因の一つは、社民党も共産党も、その狭いセクト主義的排他性と独善性にあったと思う。自分は正しいことを主張しているのだから、それは「国民」に支持されるはずだと思い込んでいるように見える。それは、今回民意がノーと言った安部首相の「政策は正しいから、それを訴えれば、必ず理解されるはずだ」という独善的姿勢と共通するものがあるのではないだろうか。民意をくみ上げつつ、それを政策化するという努力が足りなかったのではないだろうか。政治や政策が、大衆の生活や意識から独立していると見るような転倒があったのではないだろうか。こういう点が根本から改められないと、社共に明日はないような気がする。

  裏のメディアが表のメディアになる時、世の中は激変するhttp://www.amakiblog.com/archives/2007/08/12/#000488

 新聞、雑誌やテレビといったメディアを、仮に「表のメディア」と呼ぶ事にしよう。我々はどうしても表のメディアに頼る。信頼できる情報であると思ってしまう。それがすべてであるとさえ思う人が多い。

 活字を読まなくなった国民にとって、とりわけテレビから流される情報は圧倒的だ。スウィッチをつけるだけで洪水の如く一方的に情報が入ってくる。それが娯楽番組であればまだ害は少ない。しかし政治ニュースや政治番組となると話は違う。

 日曜日に各局が流す政治番組を見るが良い。どの放送局も、毎回同じような顔ぶれの政治家やタレントまがいの評論家が出てきて、限られた情報を話題に、縦、横、斜めから、あたかも一億総評論家のごとく話す。そこから得られるものは何もない。それどころか、多くの視聴者は、それがもっともな意見であると受けとめるから実害さえある。

   特に最近の参院選後の政治番組は酷いものだ。民主党の勝利、新人議員の出演、安倍首相の居直り、内閣改造、などの話が、繰り返し、繰り返し、報道される。しかし、もう一度言うが、そこから得るものは何もない。テレビに出ているお馴染みの政治家や評論家、司会者などが口にする意見は、誰でも言える代物なのだ。毒にも薬にもならない。そのようなコメントを聞くのは時間つぶしでしかない。

 その一方でインターネットを覗いてみると「表のメディア」では決して知る事のない情報が駆け巡っている。たとえばこういう情報である。

 ニューヨーク・タイムズ紙のティム・ワイナー記者の近著でピューリッツアー賞受賞作、「灰の遺産、CIAの歴史」第12章の中に、「岸信介元首相は米国CIAの助けで日本の首相となり、CIAの金をもらって日本を対米に従属させた」という事が縷々書かれているという。岸元首相と米国のつながりについてはこれまでも断片的に紹介されてきたが、この書では更に具体的な事実が明らかにされているのだ。安倍首相は誇るべき祖父の名誉のためにも、「岸信介=CIAの犬」説はでっち上げであると証明し、ワイナー記者を名誉毀損で訴えるべきではないかと、この情報を提供しているブロガーは冷やかしている。

 もう一つは最近めでたく参議院議員になった元サマワ先遣隊長、佐藤正久氏の、とんでも発言の発覚である。集団的自衛権の論議の中で、国民を騙して戦争状態をつくりだすつもりだったとTBSの報道の中で発言していたというのだ。このニュースはすでに削除されているらしいが、なんでも次のような発言を堂々と行っていたという。「・・・もしオランダ軍が攻撃を受ければ『情報収集の名目で現場に駆けつけて、あえて巻き込まれる』という状況をつくり出す事で、憲法に違反しない形で警護するつもりだった・・・巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況はつくれませんから・・・日本の法律で裁かれるのであれば、喜んで裁かれてやろうと・・・」

 この発言は驚愕的だ。憲法違反を実行する事を堂々と述べる人間に国会議員の資格はない、とこのニュースを報じているブロガーは書いているが、おりしもテロ特措法延長が臨時国会の焦点となる。佐藤発言こそ野党は真っ先に取り上げなければ嘘である。

 インターネットで流れる情報を仮に「裏のメディア」と呼ぶ事にする。インターネットで流れる情報はおびただしい。匿名情報や信憑性に欠ける情報も多い。しかし「表のメディア」では見られない良質な情報や、世界中の情報を網羅した一級の情報が、何気なく流されている。

 「裏のメディア」で流される一級情報を、誰かが見つけて選別し、それをまとめて流すような事が出来ないものであろうか。それが「表のメディア」として、一般の国民に流されるようになったとき、おそらく今のテレビや新聞の役割はなくなるであろう。「表のメディア」はすべて娯楽番組だけになるであろう。マスコミでもてはやされているお馴染みの出演者の出番はあっという間に終る。それよりも何よりも為政者による情報操作ができなくなる。国民が覚醒する。世の中が一変するに違いない。のぞましい本来のメディアの姿がここにある。

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