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ビルマ・沖縄・男女共同参画の記事について

 下は、ここ何日かの間に目にとまった記事である。
 
 最初の記事は、ビルマ(ミャンマー)での民主化デモに対する政府による弾圧についての記事である。デモを取材中の日本人カメラマン長井さんが治安部隊に至近距離から銃撃され死亡した。この件については、連日報道されており、在日ビルマ人たちの抗議活動が行われている。僧侶たちが、口々に、公然と革命を訴えていたのは衝撃的である。ネット内では、ビルマに行きたいという思いに駆られている人が出てきている。たとえ、ビルマの軍事独裁政権が、一時的に力で押さえ込んでも、ビルマ民衆の解放闘争を根絶やしにすることはできない。何度でもビルマ民衆は立ち上がるだろう。
 
 次は、沖縄戦自決への軍関与削除の撤回を求める沖縄県民大会が、米兵による少女暴行事件に抗議する沖縄県民大会を上回る11万人(主催者発表)を結集したという記事である。
 
 これについて、「とおりすがり」という人から、「軍強要の証拠は無し。元々、大江健三郎がいい加減な取材(現地取材を一回もせず)で/で書いた『沖縄ノート』に書いていた記事を教科書に載せてしまっただけ。/今回の集会は沖縄県教職員組合(沖教組:日教組系)が高校生や組合員をけしかけているだけ。/戦後、当時の慶良間島の玉井喜八村長が守備隊の赤松隊長に『隊長命令とする命令書を作ってくれ。そしたら国から村民へ義援金が出るからと頼まれて嘘の命令文を書いたもの。/村民のために嘘まで付いたのに、その好意を踏みにじる沖教組って最低だな/人間の屑、沖教組。北朝鮮まで行って『沖縄の米軍基地撤去を』なんてほざいてる」というコメントを頂いた。
 
 ここで「とおりすがり」氏が、「軍強要の証拠なし」と言っているのは、秦邦彦が、公式文書がない以上、こういう事実はないと言っているのをそのまま保守派が流しているのと同じである。確かに、軍の命令書は見つかっていない。しかし、軍命というのは、すべてが書類によって行われるわけではない。文書のない口頭命令の方がはるかに多いことは明らかで、後で「聞いた」「聞かない」「言った」「言わない」という話になってしまうのはやむを得ない。保守派が都合のいい部分だけを利用している軍命令がなかったとする宮城証言の宮城さんは、最近、直接の軍命を聞いたわけではないが、情況から総合判断すると軍命があったと述べている。もう何度も書いたけれども、軍の貴重な武器である手榴弾を住民が持っていたことだけでも、軍の関与があったことを示している。
 
 今回の集会は、沖縄県教組がけしかけたというが、それだけで、11万人も集まらないし、当初、事を荒立てないように静観していた中井真知事が、地方議会で抗議決議が続々上がる中で、県民意志を無視できなくなって動かざるを得なくなったのであり、沖教組だけの力で県民大会が開かれたというようなことは、ありえない。そんなに沖教組はすごい力を持っているのか? それなら、社共議員が県会議員と衆参議員を独占していてもよさそうだし、革新県政が続いていただろうに。これだけの人数が集会に参加したということは、保守派も公明党=創価学会員も、大量参加しているはずだ。ちなみに、大会実行委員長は、自民党の県会議長である。
 
 赤松隊長の件は、村長としては、義援金支給にそういう条件が付けられていたので、その条件を整えるために、やむなくそうしたのであろう。国が、村民の証言だけでは、義援金支給を認めなかったからだろう。口頭の命令で、村民の集団自決が行われたから、命令文が、どうしても必要になったということも考えられるので、なにも赤松元隊長が善意であるとは限らない。口で言ったことを文書にしただけかもしれないわけである。だから、最低だの、人間の屑だのというのは、いただけない。沖縄は、本土決戦を引き延ばすための捨石にされたのだから、赤松隊長の好意を沖縄の人々が踏みにじったと言ってしまえば、沖縄の人々は、自立あるいは場合によっては独立の意志を強める可能性だってある。
 
 県民大会での、高校生の言葉「おじい、おばあはうそをついているというのですか」「たとえ醜くても真実を知りたい、学びたい、そして伝えたい」に比べて、醜い。この問題は、この言葉に尽きるという感じがする。こう言われたら、右派・保守派の負けである。本土の「おじい、おばあ」がうそつきなのか? 沖縄の「おじい、おばあ」がうそつきなのか? という問いは、歴史的感情の深い対立のレベルに達する。このままでは、修復不可能な深い溝ができてしまうかもしれないことを感じ取ってか、文科省は、これまで頑として応じなかった検定修正の検討に入った。政府は、ここまで、政府と沖縄の溝が拡大したら、政府が狙う米軍再編・沖縄の米軍基地再編も、進まなくなってしまうという懸念を強めているのではないだろうか。この件は、教科書の記述が政治的判断によって左右されること、今の教科書記述が政治的に中立などではないことを、改めて、人々にはっきりと見せつけた。
 
 最後は、内閣府が29日発表した男女共同参画社会に関する世論調査で、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」との考えに反対する人の割合が52.1%と1992年の調査開始以来、初めて半数を超えたという記事である。賛成は44.8%。女性は、反対が56・9%だったのに対し、男性は賛成が50・7%に上った。男女間に意識ギャップがあり、このことが男女間の緊張を強めるだろうし、不満足感を増幅させるだろう。無理に、女性が男性の多数意識に合わせれば、ストレスを強め、さらに、それらが強まるだろう。この結果について、内閣府では「男女の役割分担を固定的に考える傾向に変化がみられる」とコメントしている。これは社会の趨勢からして当然の結果である。先日取り上げた池田信夫氏の経済学や日本経団連のビジョンからして、今の経済界が、都市部の労働力需要を、農村ばかりではなく、女性からも満たしたいと考えていることは、明らかだからである。

 日本経団連の考えは、明らかに自由主義フェミニズムであって、女性労働力の活用をはかろうというものだ。そのために、「ワーク・ライフ・バランス」(家庭と仕事のバランスをはかる生活スタイル?)を唱えている。女性の働きやすい職場環境の整備を実際に始めている企業もある。

 再三書いているけれども、反フェミニストには、現在の経済体制を否定するのでなければ、いくら口で攻撃しても、これを止めることはできない。後戻りはできないのである。

 ミャンマー軍政 デモの市民に発砲 複数死傷 僧侶ら200人拘束 取材の1邦人死亡か(2007/09/28付 西日本新聞朝刊)
 
 【バンコク27日柴田建哉】大規模な反政府デモが続くミャンマーの最大都市ヤンゴンで27日午後、集まっていた市民に治安部隊が発砲、複数の死傷者が出ているもようだ。在ミャンマー日本大使館にはミャンマー外務省から「日本人1人が死亡した」との連絡があり、同大使館が取材中のジャーナリストとみて確認を急いでいる。通信社などが伝えた。26日に続く軍事政権当局のデモ隊への実力行使で、ミャンマー国内の混乱がさらに拡大するのは必至の情勢だ。

 27日朝には治安部隊がヤンゴン市内などの僧院を急襲し、少なくとも僧侶ら約200人を拘束した。僧院に治安部隊が突入、僧院を破壊して物品を押収したとの情報もある。北東部の複数の僧院でも多数の僧侶が拘束されたという。

 一方、最大野党、国民民主連盟(NLD)の当局者は同日、メンバーが拘束されたことを確認。NLD本部は同日、閉鎖された。27日は自宅軟禁中の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんが書記長を務めるNLDの結党記念日でもあり、軍政は警戒を強化していた。

 ミャンマー国営テレビは26日、デモ鎮圧で死傷者が出たことを認め、デモ隊が警官隊の武器を奪おうとしたため、制圧に踏み切らざるを得なかったと武力行使を正当化した。26日には、軍政当局のデモ隊への実力行使で僧侶を含む5人が死亡したとの情報に加え、200‐300人の拘束も伝えられていた。

 外務省は26日、ミャンマーの渡航情報の危険度を4段階のうち最も低い「十分に注意」から「渡航の是非を検討すべきだ」に引き上げた。ミャンマーには日本企業約70社が進出し、在留邦人は約600人。

 11万人「史実消すな」 沖縄戦自決への軍関与削除 県民大会で怒りの声(北海道新聞09/30)

 沖縄県民大会の会場に到着し、点火される「平和の火」=29日午後、沖縄県宜野湾市の海浜公園

 沖縄戦の集団自決への日本軍の関与や強制を示す高校教科書の記述が削除された問題に抗議する「教科書検定意見撤回を求める県民大会」が二十九日、沖縄県宜野湾市の海浜公園で開かれた。一九九五年の米兵による少女暴行事件に対する抗議集会の八万五千人を大きく上回る十一万人(主催者発表)が集まり、「沖縄戦の史実を消すな」などと怒りの声を上げた。

 県議会や県PTA連合会などが全県的に実行委員会を組織して超党派で開催。実行委は今後、仲井真弘多知事ら約二百人の要請団を組織し、十月十六日に首相官邸や文部科学省を訪れ、検定意見の撤回を求める。全島的な抗議表明に政府の対応が注目される。

 沖縄戦の激戦地、同県糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で採火した「平和の火」を約三十キロリレーして運び、会場で点火して開会。仲井真知事は「悲惨な沖縄戦による県民の悲しみは今でも癒えない。集団自決への日本軍の関与は覆い隠せない事実。沖縄県民の思いを受け止めない文部科学省の態度はきわめて遺憾だ」とあいさつした。

 集団自決を目の当たりにした生存者の証言のほか、高校生も登壇して真実を求めるメッセージも朗読された。最後に「集団自決に軍が関与したことは明らかで、記述削除は歴史の歪曲(わいきょく)」として、検定意見の撤回と記述回復を求める決議を採択した。

 沖縄の怒り 検定撤回しか道はない(北海道新聞10月1日)

 沖縄の怒りがこれほどのものとは、政府も考えていなかったのではないか。

 沖縄戦の集団自決をめぐる教科書検定意見の撤回を求める県民大会に十一万人(主催者発表)もが集まった。

 会場となった宜野湾市の海浜公園は人で埋め尽くされた。バスの便が追いつかず、大会に間に合わなかった人もたくさんいたという。

 今年の教科書検定で文部科学省は、県民が集団自決を日本軍に強制されたとする高校の歴史教科書の記述を削除するよう求めた。

 集団自決を生き残った数多くの県民の証言、専門家の間でも定説になっている事実を、ひとにぎりの元軍人の反論などを根拠に否定する。

 そんな乱暴なことを文科省はやってのけた。

 この検定では、文科省職員である教科書調査官が発案した意見を検定調査審議会が議論のないまま通したことも明らかになっている。検定の中立性、信頼性自体が揺らいでいるのだ。

 大会には仲井真弘多(ひろかず)知事をはじめ各市町村長らが顔をそろえた。実行委員長は自民党の県議会議長だ。炎天下に幼い孫の手を引くお年寄りの姿もあった。若者も大きな輪をつくった。

 怒りは沖縄の総意であることを県民自ら示したといえる。

 それにしても政府の鈍感さは目に余る。県議会と県内の全市町村議会が検定意見撤回を求める意見書を可決したが、とり合おうとしなかった。

 渡海紀三朗文科相も前任の伊吹文明自民党幹事長も、この大会に足を運んでみるべきだったと思う。

 「おじい、おばあはうそをついているというのですか」「たとえ醜くても真実を知りたい、学びたい、そして伝えたい」

 壇上で地元の高校生が訴えかけたこの言葉を、国の教育行政のトップに直接聞いてほしかった。

 文科省は検定意見を撤回すべきである。県民の怒りを真摯(しんし)に受け止めるなら、何をためらうことがあろう。

 沖縄は戦後、米国の統治下におかれ、日本復帰を果たしたあとも米軍基地の島として大変な負担を強いられている。日々、事故の恐怖や騒音におののき、いくら「平和な島を」と叫んでも政府も米国も聞く耳を持たない。

 そんな歴史と体験があるからだろう。沖縄の人たちの、戦争を憎み平和を願う気持ちはひとしお強い。もどかしいのは、それが県外になかなか伝わらないことだという。
 集団自決の検定意見撤回要求を世論で後押しする。沖縄の声に応えるため、いま本土でできることだ。

 歴史をゆがめる教科書検定はこれまでも繰り返されてきた。過去を謙虚に学ぶことなしに明るい未来はない。決して沖縄だけの問題ではないのだ。

 「集団自決」検定、文科省が対応検討 沖縄県民大会受け(朝日新聞2007年10月01日)

 沖縄戦で日本軍が住民に「集団自決」を強制したとの記述が教科書検定で削除された問題で、文部科学省は、記述の修正が可能か、検討を始めた。検定意見の撤回を求めて9月29日に開かれた沖縄県民大会に11万人が参加したことから、町村官房長官が1日、渡海文科相に対応を指示。渡海氏も、政治的に左右されないために設けられた検定制度の枠内で可能な対応を検討するよう省内に指示した。

 町村氏は1日の記者会見で「沖縄の皆さんの気持ちを何らかの方法で受け止め、修正できるかどうか、関係者の工夫と努力と知恵がありうる」と述べた。渡海氏も記者団に「(検定に)政治的介入があってはいけない。しかし、沖縄県民の気持ちを考えると、両方ともものすごく重い。そのなかで何ができるか考えたい」と述べた。

 渡海氏は、県民大会を受けて検討を始めたことを認め、仲井真弘多知事が上京すれば直接会うとの考えも明らかにした。また、教科書会社から訂正申請があった場合、「真摯(しんし)に対応したい」と語った。既に数社が、訂正申請に向け検討を始めている。

 文科省は「検定の撤回はできない」との立場だが、過去に事実上、方針を転換した例がある。記述を復活させるために、こうした方法を今回適用できないか検討する。
 方針転換の例としては、沖縄戦に関する81年度の検定がある。日本軍による住民殺害の記述が削除された後、沖縄県民は激しく反発。小川平二文部相(当時)が国会で「次の機会に県民の方々のお気持ちに十分配慮して検定を行う」と答弁、83年度の検定で事実上復活した。

 80年度には高校の現代社会の教科書に水俣病の関連で「チッソ」の企業名が記されたのに対し、文部省(当時)は「特定の営利企業の非難になるおそれがある」と意見を付け、削除された。しかし、批判が高まり、同省は事実上撤回。81年秋に6社が訂正申請し、承認された。

 このほか、過去に例はないが、文科省は教科書会社に訂正申請の勧告をすることもできる。

 沖縄県民大会で実行委員長を務めた仲里利信・県議会議長(自民党)は「11万人の気持ちをくんでいただいた大変な配慮だと思う。どういう形で結論が出されるのか、ぬか喜びすることなく、大きな期待を持って見守っていきたい」と話した。

 《教科書検定》 民間の教科書会社が申請した本を検定基準に基づいて文部科学省が合否判定する仕組み。文科省が検定意見を付した場合、教科書会社は意見に従って修正した本を再度提出して合否判定を受ける。

 検定は大学教授などで構成される「教科用図書検定調査審議会」の検討を経ている。このため、一度決まった検定意見を政治の意向で変えることについては「介入につながる」との理由で、政府は否定的な立場を貫いている。
 
 夫は外、妻は家庭反対 初の過半数(毎日新聞9月29日)
 
 男女共同参画調査
 
 「夫は仕事、妻は家庭」に反対する人が初めて半数を超えたことが29日、内閣府が発表した「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果で分かった。内閣府男女共同参画局は「役割分担意識は変わりつつある。しかし、まだ不十分な面があり、現実とのギャップを埋める努力も進めたい」としている。
 
 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という考えに対し反対は52・1%で、賛成44・8%を上回った。質問は92年の調査から開始し今回が5回目。92年調査は賛成60・1%、反対34・0%だったが、その後、反対が増え、過半数に達した。女性は、反対が56・9%だったのに対し、男性は賛成が50・7%に上った。
 
  生活で家庭を優先している人は32・4%で、仕事を優先していると答えた27・7%を上回った。ところが男女別では男性は仕事40・2%で、家庭18・5%を大きく上回り、女性は家庭43・9%、仕事17・3%。
  
 調査は7月~8月、全国20歳以上の男女5000人を対象に面接方式で実施、3118人から回答を得た。【石川貴教】
 

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コメント

>保守派が都合のいい部分だけを利用している軍命令がなかったとする宮城証言の宮城さんは、最近、直接の軍命を聞いたわけではないが、情況から総合判断すると軍命があったと述べている。
宮城さんはこの見解は今年の6月になって初めて持ったと裁判で述べています。
とても信用できるものでないし、現在の沖縄の状況から考えると周りの圧力があったことが十分想定されます。

>もう何度も書いたけれども、軍の貴重な武器である手榴弾を住民が持っていたことだけでも、軍の関与があったことを示している。

・とりあえず「軍」とは兵士と同じでない、関与と強制は同じではないことを指摘しておきます。

>高校生の言葉「おじい、おばあはうそをついているというのですか」「たとえ醜くても真実を知りたい、学びたい、そして伝えたい」に比べて、醜い。この問題は、この言葉に尽きるという感じがする。

こどもが言ったから嘘が真実にのですか。
まあ子供を使い、感情に訴えるのは左翼の常套手段ですが。

投稿: やすかわ | 2007年10月 2日 (火) 10時03分

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