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解同の危機

  部落解放同盟は、大阪の「飛鳥会」事件や奈良の解放同盟幹部の不祥事や京都の事件などを受けて危機に陥っている。解放同盟中央の依頼で「部落解放運動に対する提言委員会」(座長・上田正昭京都大学名誉教授)が発表した「一連の不祥事の分析と部落解放運動の再生にむけて」(2007年12月12日)は、強い危機感を示している。

  「部落解放運動は、戦後最大の危機に直面している。運動理念も衰退し、組織実態においても空洞化がみられる。被差別民の集団としては、世界最初の人権宣言と言ってもよい「水平社宣言」のもとに出発した全国水平社であるが、その85年におよぶ輝かしい闘いの歴史も、このままでは地に堕ちることになりかねない。
  このような状態がさらに続けば、さまざまの差別から人間を解放する先駆けとして、部落解放運動に心を寄せてきた人々の心も離れていくことになる。部落解放運動が全国水平社以来の苦闘のなかで積み上げてきた多大な成果や社会改革への取り組みも、このままでは生気を失い、それらの成果を受け継ぎ切りひらくべき次の時代を担うことは困難となる。今回の不祥事は、部落解放同盟の存在意義そのものが根本から問われる緊急事態である」。

  全解連が国民融合の妨害者と批判してきた解同の危機は、かれらの国民融合の前進へのチャンスとうつっているはずである。解同が、資本主義批判―共産主義と部落解放運動との結びつきを絶ったことは、こうした内部腐敗に対する根本的批判の基準を捨てたことを意味し、資本・貨幣・商品の力の内部への浸透を防ぐ防波堤を低めたと思う。同和利権は昔から言われてきたことだが、以前はまだそれを使って先に豊かになったものが、仲間を続いて引き上げるということがあって、たんなる私益の追求というものではなかったのではないだろうか。同和事業に企業を起こしてそこに同和地区から人を雇うというような形で貧困からの脱出をはかろうとしたということだったろう。

  この「提言」を含めて、解同の問題については、別に検討してみたいが、とりあえず、「提言」で、目に付いたところをいくつかピックアップしておく。

  「とりわけ、被差別部落において困難をかかえた底辺層の人びとを数多く救済してきたことは、部落解放同盟の誇りとすべきところである」

  「部落解放同盟中央本部は、今日の事態を「戦後最大の危機」ととらえている」。

  「このまま放置すれば、組織も運動も崩壊の瀬戸際に立たされ、そればかりか、これまで血と汗で営々と積み上げてきた運動の成果が水泡に帰す恐れすらある」。

  「「部落解放運動は人間解放を担いうるか」が根源から問われている」。

  「部落解放運動は、水平社の時代から、単に部落民のみならず、すべての人間の解放をめざす普遍的な原理に根ざしていた。決して部落差別だけが孤立して存在する問題ではなく、あらゆる差別は根底ではつながっているからである」。

  「さまざまな人権課題が存在するが、どの課題が大きいとか小さいとか、どの痛みが重いとか軽いとか、秤にかけることはできない。日本社会では部落差別こそが最も深刻な問題であるという「部落差別最深刻論」の展開が、時には方向を間違えて排除の論理に陥り、他の人権課題に関わる人々との間に溝を生じさせたきらいがある。誤解もあるようだが、手を携えて活動すべき他のマイノリティ団体から「部落解放同盟と一緒になると、脇に追いやられてしまう」という不満の声が聞かれることもある」。

  「労働運動の分野でも、昔は炭鉱労働運動を同盟員が担ってきたし、清掃労働者やと場の労働者の地位確立運動とか経済闘争などにも部落解放同盟は大きな役割を果たしてきた。しかし、今回不祥事を起こした市の清掃などの現業職場では、不祥事に関わった者たちは労働組合にも入っていなかったという現実がある」。

  「部落解放同盟の側は「この指とまれ」ではなく、自ら進んで、かつ謙虚な姿勢で、さまざまな市民運動と連携する水平な関係を作り出さないと、運動の孤立化を招く」。

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