マルクスブームによせて
最近は、マルクスがちょっとしたブームになっているらしい。
日本共産党は、党員作家の小林多喜二の『蟹工船』ブームもあって、追い風が吹いていると元気だ。
新聞によると、共産党員は、数千人増えていて、その内、約900人が青年だという。
このところ、党員減少、新聞『赤旗』購買者の減少や党員の高齢化で、勢いを失いかけていただけに、日共も元気をとりもどしつつあるらしい。
それにしても、冷戦崩壊後の資本主義のやり方は、あまりにもおごり高ぶりすぎたので、冷戦時代のように、表面だけでも大衆に低姿勢をとるとか、ちょっとした振る舞いをして、大衆に媚を売るとかいうこともなくなり、そんな譲歩は期待できないことがはっきりした以上、ブルジョアジーやその御用学者のだぼらよりも、やっぱりマルクスの言うことの方が、リアルなんだということがわかってきたということなのだろうか?
現実を解明できない理論などというのは理論としてはだめなのであり、それに固執しつづければ、それはイデオロギーである。もし、今、階級階層分裂が進んでいて、格差が拡大していることを、日本「一億総中流」論から、そんなはずはないと認めないとしたら、「一億総中流論」は、現実をきちんと反映していないイデオロギーにすぎない。「一億総中流論」は、1990年代までなら、ある程度のリアリティはあった。ワーキングプアは昔から存在してきたが、それは、少数に止まっていた。しかし、90年代長期不況、低成長下における雇用多様化策などによって、この層は大幅に増大している。そして、2000年代に入ると飛躍的に増加しているのである。しかも、それは、英米では進んでいたが、基本的には、世界的な傾向であることも明らかになってくる。北欧の福祉国家においてもそういう方向に進んでいたのである。
それに対して、新自由主義者のフリードマンは、資本主義は、自由・平等をもたらすと断言したのであるが、それはまったく現実ではなかったことは今や誰の目にも明らかなのである。一方に少数の富の独占者がおり、他方に多数の貧困者が存在する。これは、まさしく、マルクスが明らかにした資本主義の現実である。
資本主義がある限り、マルクスは何度でもよみがえる。
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