グルジア紛争
北京オリンピック開催日に、グルジア軍による南オセチア自治州都への軍事侵攻から始まったグルジア紛争は、サルコジ・フランス大統領の仲介によって、双方の停戦が成立した。
グルジア軍の軍事侵攻にたいして、ロシア軍が、グルジアの首都トビリシへの空爆などの軍事行動を行ったものである。
カフカース地域の民族問題は入り組んでいて複雑であり、それは旧ロシア帝国・旧ソ連時代を通じて、度重なる紛争を引き起こしてきた。
旧ソ連解体以降、独立したこの地域の国々では、内部に少数民族の独立問題を抱え、それに、EU諸国やアメリカ、ロシアの介入によって、さらに複雑な様相を呈している。
グルジアの場合、南オセチア自治州の独立派をロシアが支援し、グルジア政府をEUとアメリカが支援するという形の対立構造ができており、それは、カスピ海油田からのパイプライン問題と絡んだ利権と結びついている。
南オセチアのオセット人は、90年、同族のロシア共和国北オセチア共和国への編入を求めて、グルジア共和国に対して蜂起し、92年にロシア・グルジアの和平合意が成立、その後、両国は、この地域に平和維持軍(500人)を派遣・駐留させている。それに、南オセチア独立派の平和維持軍500人。今回、軍事行動を起こしたのは、この平和維持部隊である。94年の停戦合意で、独立国家共同体CISの平和維持軍の駐留が決められたが、ロシアのみの派遣である。その後、ロシアは、2000人規模の部隊を駐留させ、今年5月には、1000人増派された。
これに対して、グルジアの親欧米派のサーカビシリ政権(04年発足)は、NATO加盟を目指し、NATO諸国との兵器の共通化をはかり、「グルジアの軍事費は過去数年で30倍にはねあがった」(ラブロフ露外相)と言われるほどの軍拡を進めてきた。
フランスのサルコジが仲介者として登場してきたのは、一体なぜだろうか? もともと、フランスは、ロシアと強い結びつきがあったのは確かである。もちろん、彼は、今、EU議長で、その立場から、こうした国際紛争解決のイニシアティブをとらなければならない立場にあるのは間違いない。カフカス地域で紛争が拡大すれば、カスピ海油田の利権に響いてくるということもあるかもしれない。周辺には、グルジアからの独立を目指すアブハジアがあり、ロシアからの独立を目指すチェチェン人のチェチェン共和国があり、さら、その近くには、イスラエルが軍事攻撃を示唆しているイランがあり、タリバンが復活したアフガニスタンがある。小さな火種が、相互に絡み合って、大火にならないとも限らないという不安定な地域である。要注意である。
8月13日付『毎日新聞』国際欄には、次のような記事がある。
「グルジア空爆地域
ロシア軍は今回のグルジア攻撃で、首都トビリシや西部セナキの近郊など各地の 空軍基地を空爆した。アブハジア自治共和国で唯一グルジア側が支配するコドリ 渓谷も重点的に爆撃。さらにカスピ海の石油をアゼルバイジャンからトルコの地 中海沿岸に運ぶ、「BTCパイプライン」のルート周辺や、海軍基地を持つ黒海沿 岸のポチなど戦略的な要衝も狙い撃ちしているが、ゴリなどでは民間人にも多く の犠牲が出た」
南オセチア衝突:グルジアも和平案合意、仏大統領の仲介実る 武力衝突収束の見通し
【トビリシ小谷守彦】グルジア南オセチア自治州をめぐる軍事衝突で、グルジアのサーカシビリ大統領は12日夜、トビリシで欧州連合(EU)議長国フランスのサルコジ大統領と会談し、ロシアとの紛争解決に向けた和平案に合意した。これに先立ち、モスクワでサルコジ大統領と会談したロシアのメドベージェフ大統領も和平案に合意しており、8日に始まった武力衝突は停戦実現に大きく前進した。
紛争調停のためロシアとグルジアを連続訪問したサルコジ大統領によると、両国は軍事行動停止や両軍が戦闘開始前の位置へ撤退することなどの和平案で合意した。
メドベージェフ大統領との会談で合意した6項目の原則には、グルジアからの独立を求める南オセチアとアブハジア自治共和国の「地位」に関する国際協議の開始が盛り込まれたが、サーカシビリ大統領は「両地域がグルジア領であることは疑念の余地がない」と強硬に反対。サルコジ大統領はメドベージェフ大統領に電話し、表現を「両地域の安全を保障する」と変更する修正案を示し、ロシア側も合意した。
今回の和平案はEU外相理事会の承認を経て、国連安保理に提出される見通し。
両国の衝突は8日、南オセチアの州都ツヒンバリにグルジア軍が進攻し、ロシアの軍事介入で本格化した。戦闘でロシア側は2000人、グルジア側は300人が死亡したと発表している。
一方アブハジアで唯一グルジア政権の支配地域だったコドリ渓谷は12日、親露の独立派政府が完全制圧した。独立派政府のバガプシ大統領がインタファクス通信に確認した。
毎日新聞 2008年8月13日 東京夕刊
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