グルジア紛争をめぐって
グルジア紛争は、「和平6原則」の合意によって、いったん収っている。ロシア軍が依然としてグルジア領内で軍事行動を継続しているという情報もある。
先日、ロシアに対して、侵略行為を停止するよう欧米の働きかけを求める署名文を紹介したが、ここからリンクを貼っている「オルタナティブ・メーリング・リスト」には、これと反対に、アメリカによるグルジア・コーカサスへの干渉に反対する署名が紹介されている。
それによると、「サーカシビリはアメリカ主導のイラク占領にグルジアの青年2000人を派遣した大統領である。アメリカはグルジア軍に兵器を支給し、米特殊部隊、イスラエルの軍事顧問そして雇われの軍事請負企業がグルジア軍の指揮を取っており、グルジア軍は7月にアメリカ陸軍および海兵隊と3週間合同演習を行ったばかりだ」。
そして、「アメリカがグルジアに武器を支給し、またアメリカがグルジアのNATO加盟を押しすすめたことがグルジアの南オセチア侵略をひきおこし、新たな大規模な戦争の危機を作り出したことにはほとんど疑いの余地がない」と、アメリカに今回の事態の基本的な責任があると述べている。
「ジャーナリスト同盟」通信の木澤氏は、「情報の通りだと、グルジアが南オセチアに軍を動かした背景には、NATOやワシントンの存在があったはずである」「いずれにしてもワシントンとの連携がなかったとは信じられない」「ソ連崩壊後のNATOの暴走にこそ問題がある」と述べている。
ただ、グルジアが永世中立国を目指したことがあったと述べ、その方向に進むべきだと述べている。
問題は、「 EUもNATOもおかしい。拡大はいいに違いないが、それによる脅威を他国に与えては元も子もないだろう。ロシアの天然ガスを今後とも利用しなければ、生きていけないのだから」という点である。EU・NATOは、非同盟中立ではなく、欧米同盟である。氏の考えでは、大国間の争いに巻き込まれない永世中立が、小国の安全と平和を確保する道であるということになるのだろう。
しかし、グルジアのサーカシビリ政権は、ロシア主導のCIS脱退の議会決議を採択させると共に、ウクライナなどとの間の連携を強めている。それが、首都トビリシの反露10万人集会での、バルト三国、ポーランド、ウクライナの首脳たちの参加の意味である。そして、サーカシビリ政権は、すでにNATOという軍事同盟への参加を目指してきたのであり、その方向での、これらロシア周辺諸国との連帯を強めているのである。それに対して、永世中立の道をたんに理想として掲げて主張したところで無力な説教にしかならないことは明らかである。木澤氏は、日本こそが、そうした道を助けるべきだと言うが、日本は日米安保条約を持つ同盟国であり、欧米同盟側に入っているのであり、中立ではないのである。
イランに対して、アメリカは、イスラエルの軍事攻撃を辞さないとする強硬姿勢を後押ししている。ロシアは、イランの原発開発を支援しており、イランの現政権寄りの姿勢を取っている。ここにも、ロシア対アメリカの代理戦争の危険が高まっており、このような軍事的緊張状態の中で、イランのイスラム政権は、イラン労働者共産党などの国内反体制派への死刑などの弾圧を強化している。
近年では、米ロに加えて、中国の世界進出の活発化にともなう中国が絡むケースが増えている。アフリカにおいて、あるいはイランの公共事業に対する中国からの投資が増えているという。
マーシャルプランによるヨーロッパ復興と米ソ冷戦体制の中でアメリカの世界戦略の担い手として組織されたNATOという軍事同盟は、冷戦後、結局は、欧米同盟の拡大の道具となっていることがこの間の事態で明らかになった。
それにしても、冷戦終了から約20年たつというのに、EUがアメリカ依存を抜け出せないのは不思議である。
田中宇氏のHPにはこういう情報があった。
「グルジアの戦争については改めて書くが、要点だけ先に書くと、先に攻撃したのはグルジアの方であり、米がグルジアのサーカシビリ大統領をそそのかして攻撃させたのだろう。ロシアを非難する米英マスコミは偏向している。南オセチアとアブハジアが再びグルジア領に戻ることはなさそうだ。グルジアの国防相と国家統合相はイスラエルとの二重国籍を持ち、ヘブライ語を流暢に話す。イスラエルはグルジア軍の特殊部隊を訓練してきた。サーカシビリは間抜けな戦争を仕掛けた責任をとって辞任に追い込まれるかもしれない」。
サーカシビリ政権は、イスラエルとの深い軍事的関係がある。
寺尾です。
アメリカがグルジアに干渉していることに対して、国際行動センター
(International Action Center、IAC)がブッシュ大統領初めチェイニー、ライ
ス、ゲイツの米政府高官と米議会指導者たちに反対の手紙を出すよう、緊急署名
を呼びかけています。是非ご協力下さい。
IACは元米司法長官ラムゼー・クラークさんが1992年に創立した団体です。
転送・転載歓迎。重複受信された方には大変申し訳ありません。お手数をお掛け
しますが削除してくださることでお許し下さい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
署名のサイト:
http://www.iacenter.org/anti-war/handsoffcaucasus/
署名の仕方(手紙は後ろに訳してあります)。
Step 1: Enter your contact/signature information:
ステップ 1:あなたの連絡/署名のための情報を入力:
Title(Mr、Ms、Dr、などから選択)
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けでも良い)
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*には必ず記入する。
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ステップ 2: 見本の手紙を送信するために切り貼りして編集する(そのままでも
良い)
手紙は自分で適当に編集、加筆できます。
手紙の一番最後に「from: Japan」などと自分の住んでいる国名を記入する。手
紙には、自動的に姓名が書かれて送信されるので、名前など記入不要。
Step 3: Send the message!
ステップ 3:手紙を送る!
Send My Message!(手紙を送る!) をクリックして終了。
手紙の内容は、以下のとおりです。
cc: United Nations Secretary-General Ban Ki-moon, members of the media
ccで同送:国連事務局長バン・キ-ムン、マスコミ関係者
President Bush, Vice President Cheney, Secretary Rice, Secretary Gates,
and Congressional leaders:
ブッシュ大統領、チェイニー副大統領、ライス長官、ゲイツ長官、および議会指
導者:
U.S. HANDS OFF GEORGIA AND RUSSIA - NO NEW WAR - END NATO NOW!
アメリカはグルジアおよびロシアに手を出すな - 新たに戦争をするな - NATOを
終結せよ!
It is with growing concern that we observe that the U.S. government is
threatening new military moves that carry the danger of another warthis
time against Russia.
アメリカ政府が新たに軍事行動をおこすと威嚇していることを、我われは関心を
深めつつ注目ている。それはもう一つの戦争の危険をはらんでいるのだ、今度は
ロシアに対して。
The Bush regime and the corporate U.S. news media have launched an
anti-Russia hate campaign. Yet just as with the occupations of Iraq and
Afghanistan and the threats on Iran, the threatened military
confrontation with Russia is also based on a lie.
ブッシュ政権とアメリカの企業マスコミは反ロシアの嫌がらせキャンペーンを打
ち上げてきた。だが、イラク・アフガニスタン占領やイランへの脅迫と同様、ロ
シアとの軍事対決の脅しもまた嘘に基づいている。
The truth, hidden by most of the corporate news media, is that Georgia's
President Mikheil Saakashvili, unleashed his U.S.- and Israeli-armed
and-trained forces on the tiny autonomous region of South Ossetia,
murdering civilians and attacking Russian peacekeeping troops stationed
there. Only then did Russian troops respond.
真実は、大部分の企業マスコミは表に出さないが、こうだ。グルジア大統領ミハ
イル・サーカシビリは、アメリカとイスラエルから装備を支給されまた訓練を受
けた軍隊をちっぽけな自治区である南オセチアに送り込み、一般市民を殺害し、
駐留していたロシアの平和維持軍に攻撃を加えたのだ。そうなってはじめてロシ
ア軍は応戦したの。
Saakashvili is the president who sent 2,000 Georgian youth to join the
U.S.-led occupation of Iraq. The U.S. supplies the weapons to his army.
U.S. Special Forces and Israeli advisers and mercenary contractors
direct the Georgian military, which just held three weeks of joint
exercises with the U.S. Army and Marine Corps in July. We must take note
that like Iraq and Iran, Georgia itself is a prize for U.S. oil
companies, as it is a major transit point for Central Asian oil.
サーカシビリはアメリカ主導のイラク占領にグルジアの青年2000人を派遣した大
統領である。アメリカはグルジア軍に兵器を支給し、米特殊部隊、イスラエルの
軍事顧問そして雇われの軍事請負企業がグルジア軍の指揮を取っており、グルジ
ア軍は7月にアメリカ陸軍および海兵隊と3週間合同演習を行ったばかりだ。
There is little doubt that U.S. arming of Georgia and its push to get
Georgia into NATO set the scene for the Georgian invasion of South
Ossetia and created the threat of a new major war. Now Washington also
threatens Russia by placing missile bases in Poland and the Czech
Republic against the wishes of the overwhelming majority of the people
there. Surrounding Russia with this military alliance of new NATO
members is the greatest danger to peace and stability on a global scale.
アメリカがグルジアに武器を支給し、またアメリカがグルジアのNATO加盟を押し
すすめたことがグルジアの南オセチア侵略をひきおこし、新たな大規模な戦争の
危機を作り出したことにはほとんど疑いの余地がない。今やアメリカ政府はポー
ランドとチェコ共和国に、現地の圧倒的多数の市民の意思に逆らってミサイル基
地を置き、ロシアに脅威を与えてもいる。NATOの新規加盟諸国を巻き込んだこの
ような軍事同盟でロシアを包囲することは、地球規模での平和と安定に対する最
大の危機である。
It is time to remember that NATO was established as an anti-USSR
military alliance aimed at reinforcing capitalist control and preventing
socialist revolutions in the colonialist powers of Europe weakened by
World War II. Since the end of the Soviet Union and the dissolution of
the Warsaw Pact, the U.S. has attempted to vastly expand NATO and turn
it into a military instrument to consolidate U.S. corporate power,
surround Russia and China and re-conquer the former colonial world.
NATOは、反ソ軍事同盟として資本主義の支配体制を強化し、第二次世界大戦に
よって弱体化したヨーロッパの植民地主義諸国での社会主義革命を阻止すること
を目的として設置された、という事実を思い起こすことは時宜にかなっている。
Consider these examples:
以下の例を考えてもらいたい:
Yugoslavia. Based on the lie that NATO was defending small nations,
U.S.-NATO intervention and bombing destroyed multinational Yugoslavia
and turned the Balkans into a collection of dependent ministates ruled
by the U.S. and Western Europe powers.
ユウーゴスラビア。NATOは小国を守ると言う嘘に基づいて、米-NATOが介入し爆
撃したので多民族国家ユーゴスラビアは崩壊し、バルカン諸国をアメリカと西
ヨーロッパ列強に支配され従属させられたミニ国家の集合に変えてしまった。
Afghanistan. Based on the lie that this was a police action against
terrorists, U.S.-NATO have carried out a seven-year occupation leaving
the country in ruins and enslaved.
アフガニスタン。テロリストに対する警察活動だとの嘘に基づいて、米-NATOは7
年間占領してきた結果、この国を荒廃させ奴隷状態においている。
Iraq. Here the lie about weapons of mass destruction was so blatant, and
the U.S. position so weak, that most NATO countries refused to join the
occupation and utter destruction of Iraq.
イラク。ここでは大量破壊兵器に関する嘘が誰の眼にも明らかになり、またアメ
リカの正当性も極めて弱いために、ほとんどのNATO諸国がイラク占領とひどい破
壊に参加することを拒んだ。
No one can believe Bush is promoting peace in Georgia. It is time not
only to stop this expansion but to end the NATO war machine completely
by dissolving NATO.
プッシュがグルジアで平和を推進しているとは誰も信ずることは出来ない。今が
このような紛争拡大をやめさせる時であるばかりでなく、NATO解体によってNATO
という戦争マシーンを完全に終結させるときである。
It is encouraging to anti-war people worldwide that Georgians themselves
have issued a statement condemning the Saakashvili machine. "The entire
responsibility for this fratricidal war," the Georgian Peace Committee
says, "for thousands of children, women and elderly dead people, for the
inhabitants of South Ossetia and of Georgia falls exclusively on the
current president, on the Parliament and on the government of Georgia."
(Aug. 11)
グルジア人自からがサーカシビリ勢力を非難する声明を出していることは、世界
中の反戦市民への励ましとなっている。グルジア平和委員会は言っている、「数
千の亡くなった子ども、女性、高齢者たちに対する、また南オセチア住民とグル
ジア住民に対しての、同胞が殺しあうこの戦争の全責任は、もっぱら現大統領、
国会およびグルジア政府にある」と。(8月11日)
We cannot do less than the people of Georgia who oppose the current
president and want no part of NATO. We demand from Washington:
現大統領に反対しNATOに関わりたくないというグルジア市民に、我われは行動で
負けるわけにいかない。我われはワシントンから以下のように要求する:
(1) Stop interfering in Georgia and the Caucasus
(1) グルジアとコーカサスへの介入をやめよ
(2) Stop attempting to expand the NATO military organization into the
countries of Eastern Europe and those that border on Russia.
(2) NATO軍事組織を東欧諸国およびロシアと国境を接する諸国に拡大する策動を
やめよ
(3) End the aggressive NATO military alliance
(3) 好戦的なNATO軍事同盟を終結せよ
(4) No new wars!
(4) 新しい戦争に反対!
Sincerely,
敬具
(翻訳:寺尾光身)
私は以下を付け加えました。
War is the worst environmental destruction. Wars do not solve anything,
only destroying everything, wounding and killing innocent peaple
including children. We have the responsibility to make the 21st Century
a century without war, leaving the peaceful earth to generations to come.
戦争は最大の環境破壊である。戦争は何も解決せず、すべてを破壊し、子どもた
ち初め無辜の民を傷つけ殺すだけである。我われには21世紀を戦争のない世紀に
し、平和な地球をこれからの世代に残す責任がある。
2008年08月17日
本澤二郎の国際評論「グルジア問題と永世中立国」:本澤二郎
情報の通りだと、グルジアが南オセチアに軍を動かした背景には、NATOやワシントンの存在があったはずである。「プーチンのロシア」は、チェチェンで証明済みだ。市民を巻き添えにしても軍事的に決着をつけるロシアだ。それを承知の「グルジアの暴走」なのだから。「メドベージェフのロシア」を試そうとしたものか。いずれにしてもワシントンとの連携がなかったとは信じられない。ロシアから分析すれば、そう受け取られても仕方ないだろう。強行反撃がそのことを裏付けている。
ドイツのテレビ(8月16日)はロシア軍による略奪を報じていた。略奪は旧日本軍、旧ソ連軍の特権ではない。戦争がそれを正当化するのだろう。停戦合意もあったものではないらしい。
ともあれ、小国の手段・方法として賢いやり方だったとは思えない。そもそも軍事力で紛争を処理するなどという考えは、今日イラクを引き合いに出さなくても正しいとはいえない。間違っている。ワシントンもそれで目下、失敗して米国経済も国民も疲弊しているではないか。
グルジアは「コーカサスのスイス」を目指したらいい。永世中立国である。これならロシアも軍隊を動かすことは出来ない。NATO接近よりも賢いやり方であろう。一方の陣営に入ることは危険を伴うものである。
EUもNATOもおかしい。拡大はいいに違いないが、それによる脅威を他国に与えては元も子もないだろう。ロシアの天然ガスを今後とも利用しなければ、生きていけないのだから。
ソ連崩壊後のNATOの暴走にこそ問題がある。何事もほどほどが肝心である。やりすぎると必ず問題を引き起こす。兵器財閥のいうなりに国際緊張を作り出すことには、警戒を要しよう。外交問題専門家の背後に武器・弾薬メーカーが控えていることに、人々は関心を示す必要がある。イラン問題にかこつけての米国のポーランドなどへのミサイル防衛の設置計画も、問題の根っこにある。
アジアでのMD設置は、中国の大人の対応で事なきを得ているが、ロシアと中国の国際戦略は異なっている。
グルジアは永世中立国を目指すべきである。本来なら日本がその手助けをしなければならないが、ワシントンの属国のような日本では無理だ。ここは中国の仲介に期待したい。永世中立国をスイスのみにとどまらせることはない。スイスを世界に拡大することが平和と軍縮に役立つ。
日本に賢人が出てくれば、日本の針路は永世中立国になることが、平和憲法の求めるところであり、かつまたそれがアジアの平和と安定に貢献する唯一の道だと気付くだろう。いまや日米安保なる軍事同盟は百害あって一利なし、である。これを主張する政治家の誕生が求められている。まず、その前にグルジアやウクライナが。ついで日本も。
永世中立国の出現は、人類に平和と繁栄を約束するだろう。
2008年8月17日記
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