« 2008年8月 | トップページ | 2008年10月 »

2008年9月

差別的貴族内閣、さっそく差別発言をやらかす

麻生貴族内閣は、さっそく、その差別性をあらわにした。中山国土交通大臣は、「日本は内向きな単一民族」などと発言、北海道ウタリ協会から抗議を受けた。

 トップの麻生が、差別主義者だから、その体質が、彼の選んだ大臣にも出てくる。これからもぼろぼろと出てくるだろう。

ウタリ協会など相次ぎ抗議  中山国交相の問題発言に『毎日新聞』080926

 中山成彬国土交通相がインタビューで「日本は内向きな単一民族」などと発言したのを受け、北海道ウタリ協会や日教組の代表らが26日、相次いで国交省を訪れて抗議した。

 ウタリ協会の加藤忠理事長は「驚きだ。同じ発言が再三再四出ており理解に苦しむ。どういう意図なのか」と不快感を示したのに対し、中山氏は「舌足らずの発言で不快な思いをさせ、おわびしたい」と謝罪した。

 加藤理事長は中山氏と面会後、記者団に河村建夫官房長官からも謝罪電話があったことを明らかにし、「これ以上どうこうするつもりはない」と話した。

 一方、大分県の教員採用汚職事件に絡め「日教組の子どもなんて成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」とした発言に対しては、日教組の高橋睦子副委員長が「教職員と子どもたちの日々の教育活動を冒涜、人権をじゅうりんしている」「大分県では公教育への信頼回復に努めているのに、発言は子どもや保護者、地域、教職員らの思いや努力を踏みにじるものだ」との抗議文を提出、辞任を要求した。

| | コメント (0)

麻生貴族内閣の誕生

  この国の上層が腐りきっていることは、今や誰の目にも明らかである。

 ついには、それはこの国の政治トップである自民党総裁にまで及んでる。この財閥の御曹司にして、吉田茂に縁続きの支配エリート中のサラブレットは、ただ選挙に勝つために、地方党員・現場党員の圧倒的期待を背負って、総裁に選ばれたのだが、さっそく組閣された内閣人事を見れば、まさにサラブレットのサークルであり、しかも選挙向けの顔を揃えたものであった。

 小渕、中曽根、その他、二世三世議員がずらりと並ぶ内閣は、自民党の過去の栄光を写す鏡のようなものであり、セピア色の写真のようではないか。

 輸入汚染米を偽って売りさばいていた米粉会社が強制捜査を受けたが、すでに、赤福餅や吉兆の期限切れ食品の使い回しだの偽装牛肉だの、民の不道徳行為が次々と発覚しており、官もまた社会保険庁による年金記録改ざんが新たに発覚するなど、官も民も腐っており、このところ中国で相次いでいる食品安全を揺るがす行為を他人事として見ている場合ではないという事態に立ちいたっている。

 そしてついには、差別者麻生がこの国の権力の頂点に座り、あからさまな血統主義的人事を敢行するにいたった。

 総選挙は、これによって、由緒正しい家柄の現代貴族階級対田中角栄的な庶民性・大衆性を紛技する小沢民主党の対決という構図になりそうである。

 はやくも一部マスコミでは、これは歴史的な選挙になるだろうという見方もでているが、それは55年体制の真の終焉をもたらす可能性が高いという意味で、そういえる。

| | コメント (0)

最近の景気動向

 世界経済の危機が叫ばれている。

 発端は、アメリカにおけるサブプライム・ローン破綻に始まる金融危機であり、それはついにアメリカ4位の証券会社ベアスターンズの倒産という事態を引き起こした。

 世界的な資源・食料品価格の高騰、世界一位の自動車メーカーGMの経営危機、そして、再び起きたアメリカでの金融危機が、世界一の保険会社AIUの危機を引き起こすのではないかという不安の連鎖の拡大、日本では、東芝の業績見通しの大幅下方修正が発表され、大阪の引っ越し会社サカイの破産、等々と続いている。地価は再び下落を始めた。日銀は、2兆円の資金を市場に供給した。株価は乱高下を繰り返しており、経済の先行き見通しは不透明になっている。さらに、汚染米を流通させていたことが発覚、太田農水大臣が辞任した。年金記録の改ざんが社会保険庁で組織的に行われていたことが暴露された。

 自民党は、突然の福田総理の辞任により、選挙向けの総裁選挙に突入している。パキスタンで核兵器用のウランを抽出する原子力施設が稼働していることがアメリカから暴露された。ロシアでは株価が下落するなど経済混乱が起きている。  以下の記事によれば、景気減速という政府の見方を示している。つまり、心理的冷え込みから、将来に慎重な見方が広がっているわけである。

 政府は、これといった手を打っていない。東京電力は、来年1月からの電気料金値上げ幅を低くすると発表した。東電は、合理的な計算によって必要な値上げ幅を算定したのではなかったか? 高速料金の値下げが行われた。小さな手当だが、どうなるだろうか? スーパーなどでは、パンなどが少し値下がりしているようである。ガソリン価格も下がってきている。微妙な時期である。    

 

米危機、下振れ要因に 基調判断据え置き 警戒レベル引き上げ
                                     『東京新聞』2008年9月20日

 与謝野馨経済財政担当相は十九日、関係閣僚会議に九月の月例経済報告を提出した。国内経済の基調判断は、前月の「このところ弱含んでいる」を据え置いた。先行きの下振れ要因として「米国の金融不安の高まり」を新たに盛り込んだ上で、「株式、為替市場の変動などからさらに下振れするリスクが存在する」と警戒レベルを引き上げた。  世界経済の基調判断は「減速の動きに広がりがみられる」と下方修正し、二〇〇二年六月から盛り込み続けた「回復」という表現を削除した。

 会議後、会見した与謝野経財相は「かなり根の深い金融不安だから、数週間とか数カ月で片付くものではない」と指摘し、世界経済の減速は「外需に依存する部分が多い日本経済には、当然、影響が出る」と強い危機感を示した。  国内経済の個別項目の基調判断は、企業の設備投資を「おおむね横ばい」から「弱含んでいる」に六カ月ぶりの下方修正。四-六月期の法人企業統計で前期比マイナス6・1%と大幅減少したことが影響した。輸入も十三カ月ぶりに下方修正し、国内景気の減速に伴うアジアからの輸入減を反映した。輸出は前月の「弱含んでいる」を据え置いた。

 家計部門では、個人消費は猛暑効果も手伝って十二カ月連続で「横ばい」とした。雇用情勢は、二カ月続けて「このところ弱含んでいる」と判断した。 米住宅市場動向を注視  米国発の金融危機が世界を駆け巡る中、政府は月例経済報告で先行きに対する警戒レベルを引き上げ、情勢分析に力を注いでいる。米国経済は危機の根源である住宅価格に下げ止まる兆しが見えず、所得税の特別減税も効果が小さいまま“息切れ”したとみており、個人消費の先行きに懸念も示した。米国の影響を強く受ける日本経済は、混迷が深まっている。

 十九日の株式相場の投げ売りはひとまず収まったが、米国の住宅価格下落は底が見えず、売れない住宅が在庫として積み上がっている。住宅価格が上がらなければ、住宅ローンの返済焦げ付きも収まらず、こうしたローン債権を基にした証券化商品の損失も止まらない。このため、市場の疑心暗鬼は収まらず、今後も波乱が続きそうだ。  また、米国では、低迷する個人消費を喚起しようと、五月から順次、総額一千億ドル(十兆五千億円)の所得税減税を実施。しかし、内閣府の分析では、減税分のうち消費に回ったのは二割程度で、残りは貯蓄や借金返済に流れた。減税効果が薄いまま消費マインドは再び冷え始めている。

 日本でも、金融市場の混乱は個人の投資意欲をそぐとともに、企業の金融資産の価値を引き下げたり、輸出企業の為替差損を膨らませるなどして収益を圧迫する。米国を中心とする世界経済で消費など実体面も低迷すれば、日本経済の要である輸出はさらに下振れする。  内閣府は「この混乱はいろいろなルートで日本経済を揺さぶる」(幹部)と危機感を強め、国内外の経済情勢を慎重に見極める姿勢を示した。 (吉田通夫)

続きを読む "最近の景気動向"

| | コメント (0)

産経正論の二つのグルジア論評について

 『産経新聞』の「正論」には、連続して、グルジア問題についての論評が載っている。

 12日付「正論」は、「グルジア危機」と題する伊藤憲一氏の論評である。そこで、伊藤氏は、今回の事態をロシアの「力治国家」という国家本質に原因があると述べている。

 氏は、「その原因はNATO(北大西洋条約機構)の東方拡大にあり、ロシアの行動は勢力圏防衛のため必要だった」、あるいは「民族自決原則と内政不干渉原則の優先順位を決められない国際社会にも責任がある」としてロシアの行動を擁護する論調を否定する。

 一つには、NATOの東方拡大は、東欧諸国の求めに応じたもので、対ロ安全保障を求めるこれら諸国の主権にもとづくものだから、他国がとやかく言うべきではないというのである。これについては、アメリカや西欧諸国もまた他国の同盟に対して再三干渉してきたことを思い起こさねばならない。イラクのフセイン政権と裏で取引して石油利権を確保しようとしていたロシアとフランスに対して、アメリカは、イラクを侵略し、フセイン政権を武力で倒すことで、イラクとの同盟を破壊した。

 二つには、民族自決と内政不干渉原則の優先順位の問題はあるが、それは今回の事態の本質ではないという。

 本質は、「無限定の絶対権力を行使する政治秘密警察の「力治」こそは、ピョートル大帝やスターリン以来のロシアの内政構造であり、それが対外的に投射されて、ロシア外交となる」ことにあるという。

  「今回のロシアの軍事行動は、まずグルジアの初動を挑発して、自らは被害者救済の立場を装うなど、事前に周到に用意された作戦であった。それは満鉄線を自ら爆破しておきながら、中国側の暴発であるとして、一挙に全満州の制圧に動いた旧日本軍の満州事変を想起させた。ロシアによる南オセチア、アブハジアの「独立承認」は実質的に「併合」であり、その本質は1990年のイラクのクウェート侵攻と異ならない。それが今回のロシアのグルジア侵攻の真の意味である」と氏は言う。

 ロシアは、今回の軍事行動を事前に準備し、グルジアを挑発して、南オセチア自治州への軍事攻撃を誘い、それを名目にグルジア攻撃を行ったというのである。そして、それは、満州事変での関東軍の謀略と同じだというのである。南オセチアとアブハジアの独立は、ロシアの傀儡国家つまりは日本の傀儡国家満州国のようなものであり、実質的な併合でるという。すると、この間、報道されたオセット人のグルジアへの怒りや独立を求める声は、ロシア人に言わされたことなのか? 16日付『朝日新聞』の報道では、グルジア入りしたNATO幹部は、サーカシビリ政府に対して、その強権支配を批判したということである。サーカシビリ政権は、これらの少数民族に対して民族抑圧的ではないということなのだろうか? 

 氏は、南オセチア自治州などの独立を承認する国が少ないことは、ロシア側につく国が少ないということを意味すると氏は言う。こういう見方を力学主義という。それなら、あれほど欧米諸国が肩入れしたコソボ独立を支持する国は少ないが、しかし事実上コソボは独立国家化しており、しかもアルバニア人の民族国家になりつつある。アルバニアという国がすでにあり、コソボもアルバニア人国家となれば、アルバニアはコソボを「併合」したも同然である。

 氏は、ロシアが「新冷戦も辞さず」と強硬な姿勢を表明しているのに対して、東西冷戦における西側の勝利の体験を持ちだして、やるならやってみろ、ふたたび「冷戦」に西側は勝利すると述べている。まるで、自分が西側の盟主アメリカの最高軍事司令官である大統領にでもなったかのように。

  「「力治国家」ロシアは、「冷戦」の敗北から何ものも学ばなかったのだろうか。国際社会は、武力行使による現状変更を絶対に認めないとの原則的立場に立って、(ロシアがその姿勢を変えないのであれば)ロシアとの関係の根本的な見直しに着手すべきである。ロシアが「新冷戦を恐れない」と言う以上、国際社会がそれを恐れていては問題はなにも解決せず、事態はかえって悪化するのみだからである。しかしその対決は、あくまでも「冷戦」のレベルにとどめ、「熱戦」に発展する可能性については十分に慎重であるべきであろう。最終的に「冷戦」だけで大目的を達成できることは、すでに歴史が証明している」というのだが、残念ながら、氏は、冷戦終了後の約20年の世界の変化がまったく見えていない。

 伊藤氏が見えていない変化を、15日の「正論」で木村氏は、「だが、現在の状況が旧冷戦と異なっている点が少なくとも一つある。それは、米国、ロシアの力がそれぞれ低下しているために、米露を頭とする二大陣営に属すると思われるメンバー諸国が足並みの乱れを暴露していることである」と指摘している。

 これは一言で言えば、多極化ということである。

  「現在の国際政治では、国連、NATO、EU、SCOといった組織体の規制ではなく、それらを構成する諸国の意向や利害が大きな力を発揮している。言いかえるならば、国際政治の多極化が「冷戦再来」の発生を防止している」。

 このことから、再来するのは「冷戦」ではなくて、帝国主義戦争である可能性が高いということが言える。民族問題、資源争奪戦、超大国の不在、世界市場の一部大独占企業による独占・寡占の形成、等々、は、その傾向を促進するはずである。

 そのことは、これらの論者に共通した予感となっているようで、グルジア危機を第一次世界大戦勃発の引き金となったヨーロッパの火薬庫といわれたバルカン危機や太平洋戦争につながっていった満州事変や「冷戦」を「熱戦」にしないように警告することやに現れている。グルジア危機は、世界的な危機や恐ろしい事態への予兆を示す不気味な恐ろしい事態の到来の想像をかれらの脳裏に呼び起こしているのである。

 『産経新聞』

【正論】グルジア危機 日本国際フォーラム理事長・伊藤憲一2008.9.12

 ■ロシアの行動の本質的な意味

 今回のロシア・グルジア紛争について「その原因はNATO(北大西洋条約機構)の東方拡大にあり、ロシアの行動は勢力圏防衛のため必要だった」、あるいは「民族自決原則と内政不干渉原則の優先順位を決められない国際社会にも責任がある」などと述べて、ロシアの行動を正当化しようとする主張があるが、私は同意できない。

 NATOの東方拡大について言えば、それを求めたのはかつてロシアの抑圧に呻吟(しんぎん)した中東欧諸国であり、NATO側ではない。ルーマニアのNATO加盟実現のため奔走した同国のパシュク前国防相は「これでルーマニアは歴史上初めて真の安全保障を得た」と、私にその安堵(あんど)感を漏らしていた。中東欧諸国がどこの国と同盟するかは、これら諸国の主権的決定事項であり、ロシアの指図すべきことではない。「勢力圏」という発想自体が、もはや受け入れられない。

 民族自決と内政不干渉の両原則の優先順位という問題はあるが、だからといって、今回のロシアの行動が正当化されるものではない。今回の事件の本質的な意味は、別のところにあるからである。

 ≪「暴力」依存の権力基盤≫

 実は私は今回のロシアの行動を予想していた。帝政時代から旧ソ連時代を通じて一貫するロシア国家の本質を「力治国家」ととらえる私は、プーチン前政権のこの本質への回帰の危険性を感知していたからである。プーチン政権発足直後の2000年8月にロシアを訪ねた私は「プーチン大統領は今後10年、20年の長期にわたり新生ロシアの建設を指導することになり、ピョートル大帝やスターリンに匹敵するロシア史上の建設者としての位置を占めることになろう」(『諸君!』)と予言した。この予言はその後ピタリと的中したが、その根拠は、プーチンが「暴力」依存の権力基盤を構築しつつあり、それがロシアの伝統的な政治文化である「力治国家」体制に適合すると判断したからであった。

 「力治」の担い手は、その後「シラビキ」(武闘派)と呼ばれるようになった政治秘密警察権力であって、早くも私の予言の3年後には、ホドルコフスキー社長を逮捕して、ユコス社を解体に追い込んだ。無限定の絶対権力を行使する政治秘密警察の「力治」こそは、ピョートル大帝やスターリン以来のロシアの内政構造であり、それが対外的に投射されて、ロシア外交となるのであった。

 今回のロシアの軍事行動は、まずグルジアの初動を挑発して、自らは被害者救済の立場を装うなど、事前に周到に用意された作戦であった。それは満鉄線を自ら爆破しておきながら、中国側の暴発であるとして、一挙に全満州の制圧に動いた旧日本軍の満州事変を想起させた。ロシアによる南オセチア、アブハジアの「独立承認」は実質的に「併合」であり、その本質は1990年のイラクのクウェート侵攻と異ならない。それが今回のロシアのグルジア侵攻の真の意味である。

 ≪冷戦の敗北から学ばない≫

 では、ロシアの志向する大戦略の目的はなにか。それは、ロシア国家の「力治」性を抜きにしては語れない。ロシアが世界エネルギー市場の支配をめざしていることは疑いないが、問題は、市場外の力を動員して目的を達成しようとすることである。ユコス社を解体して国内エネルギー産業を国家統制するだけでなく、グルジアに侵攻して中央アジアなどの石油・天然ガスのパイプラインを独占しようとする。今回、国際社会が抱え込んだ新しい問題とは、ポスト冷戦期の安全保障の脅威である「ならず者国家」がロシアのような大国である場合には、どのように対応すべきか、という問題であろう。この対応は慎重の上にも慎重ならざるを得ないが、幸いなることに、われわれには「冷戦時代」の成功体験がある。

 「力治国家」ロシアは、「冷戦」の敗北から何ものも学ばなかったのだろうか。国際社会は、武力行使による現状変更を絶対に認めないとの原則的立場に立って、(ロシアがその姿勢を変えないのであれば)ロシアとの関係の根本的な見直しに着手すべきである。ロシアが「新冷戦を恐れない」と言う以上、国際社会がそれを恐れていては問題はなにも解決せず、事態はかえって悪化するのみだからである。しかしその対決は、あくまでも「冷戦」のレベルにとどめ、「熱戦」に発展する可能性については十分に慎重であるべきであろう。最終的に「冷戦」だけで大目的を達成できることは、すでに歴史が証明している。(いとう けんいち)

【正論】グルジア危機 北大名誉教授、拓殖大学客員教授・木村汎2008.9.15

 ■冷戦再来を防ぐ関係国の思惑

 すわ、「新冷戦」のはじまりか? ロシア軍のグルジアへの軍事侵攻をみて、気の早い人々は騒いでいる。だが、現在の状況が旧冷戦と異なっている点が少なくとも一つある。それは、米国、ロシアの力がそれぞれ低下しているために、米露を頭とする二大陣営に属すると思われるメンバー諸国が足並みの乱れを暴露していることである。

 ロシアは、グルジアが2003年の「バラ革命」以来、ロシア離れ、西側接近の傾向を加速していることを苦々しく思い、それを罰するチャンスを待ち受けていた。そのようなロシアの挑発に乗るかのように、グルジアのサーカシビリ大統領は8月7日、米国に事前に相談することなく、南オセチアにたいする無謀な武力攻撃を開始した。

 ブッシュ米政権がグルジアの「民主化」に異常なまでに肩入れし、北大西洋条約機構(NATO)加盟を実現させようとしている好意をぶち壊す行為であった。

 グルジア、ロシア間の軍事衝突にたいして、その他の国々は一体どのような反応を示しているのか。自国が置かれた状況や思惑に従い、てんでんばらばらの行動をとっている。

 ≪制裁に不熱心な欧州連合≫

 まず、米国。ブッシュ大統領はレイムダック(任期満了を前にして実力を失っている政治家)状態にある。そうでなくても、アフガニスタン、イラク、イランその他の問題でロシアの協力を期待せねばならぬ立場に身をおいているために、ロシアにたいして毅然(きぜん)たる態度を取りえない。

 ドイツ、フランス、イタリアなどの「旧ヨーロッパ」諸国は、ロシアに天然ガス・石油を依存しているために、エネルギーを武器に用いるプーチン式外交の虜(とりこ)と化している。これらの諸国は、ロシアの反発を恐れるあまり、もともとグルジアとウクライナのNATO加盟にも熱意をしめしていなかった。

 独、仏、伊を主導メンバーとする欧州連合(EU)は、今回のロシア軍のグルジア侵攻にたいしても、口頭批判のレベルに止まり、具体的な制裁措置を講じるには至っていない。

 「旧ヨーロッパ」諸国と対照的な態度をしめしているのは、「新ヨーロッパ」と渾名(あだな)される一部の諸国である。バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、ポーランド、そしてウクライナの首脳は、ロシア軍のグルジア領内深くの侵入後、直ちにグルジアの首都トビリシに集合、ロシア批判の大合唱をおこなう結束ぶりを内外に誇示した。自国がロシア軍介入の次の標的となることを、危惧(きぐ)しているからに他ならない。また、ポーランドは、米防衛ミサイル(MD)システムを受け入れる合意書の署名に踏み切った。

 ≪「承認国」の数がカギに≫

 「上海協力機構」(SCO)の構成国も、本事件にかんしては自国の利害最優先の立場を取っている。同組織のロシア以外のメンバーである中国、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスは、ロシアによる南オセチアおよびアブハジアの独立承認に追従する姿勢をとらなかった。

 中国は、自国内に分離独立を欲する新疆ウイグル自治区やチベットを抱えている。中央アジア諸国は、国内に数多くのロシア系住民を抱え、今回のロシアによる軍事介入が南オセチアやアブハジアにおける「ロシア市民保護」を大義名分として敢行された事実を熟知している。同一の口実が適用されると、今度は自国がロシアの武力侵攻の対象となりかねない。

 ロシアによるこれら2地域の独立承認に追従する国々は、結局どのくらいの数になるだろうか? これこそが、グルジア-ロシア紛争の今後の見どころのひとつである。現時点でロシアと並んで南オセチアとアブハジアに独立承認を与えている国はニカラグアのみ。ハマス、ベラルーシ、ベネズエラ、「ならず者」国家の幾つかが、その後に続くかもしれない。

 では、これらの国々はなぜ、直ちにロシアの立場に賛同しようとしないのか。己の態度を保留すれば、ロシア(または欧米)から得られるものが多くなるかもしれない。そのようなしたたかな計算をおこなって、洞ケ峠の静観策がベストとおそらく考えているからだろう。

 現在の国際政治では、国連、NATO、EU、SCOといった組織体の規制ではなく、それらを構成する諸国の意向や利害が大きな力を発揮している。言いかえるならば、国際政治の多極化が「冷戦再来」の発生を防止している。(きむら ひろし)

| | コメント (0)

鉄鉱大手の合併

 以下の『産経新聞』の社説では、あまり他では指摘されていないことが指摘されている。

 それは、鉄鉱大手のリオ・ティントととBHPビリトンの合併話のニュースである。

 他紙は、ほぼアメリカの証券第4位のリーマンの破綻の問題に焦点がいっているが、この社説だけは、資源独占に警鐘を鳴らしている。

 「鉄鉱石の世界の輸出量は、ブラジルのヴァーレが約40%、リオが約25%、BHPが約15%を占める」という状態であり、現在は、3社で約80%のシェアを占めているが、それが、リオとBHPが合併すれば、2社で鉄鉱石の8割のシェアを握ることになる。これは、確かに、寡占状態であり、これらの独占企業が、鉄鉱石の国際価格の支配力を強めることは間違いない。

 しかも、「日本の鉄鋼業界は、鉄鉱石の約60%、石炭の約30%をリオとBHPの2社から輸入する関係にあり、その影響力は大きい」と指摘しているとおりである。もっとも、この社説は、愛国主義的に偏向しているので、日本の鉄鋼業界が独占体制にあることや輸入商社の独占体制についても問題にしていない。

 市場原理主義者は、独占を、競争に敵対するものとして批判してきたが、独占と競争は弁証法的に相互浸透している。片方だけをなくすことができるというのは幻想にすぎない。独占同士の競争、市場再分割戦は、帝国主義間対立を促進する。つまりは、戦争の可能性の増大ということである。

 社説は、「そこで、問題になっているのは、資源高を背景とした両社の強気の姿勢である。国内の鉄鋼大手各社は、今年度の価格交渉で前年度に比べて約80%の値上げをのまされた。BHPとリオが合併して寡占化に拍車がかかれば、価格決定力がこれまで以上に強まるのは必至だろう」というが、そのとおりだろう。

 日本の公正取引委員会は、両社の合併を認めていないが、アメリカではすでに認めれたという。

 社説は、「世界的な資源メジャー統合の動きは鉄鉱石だけでなく、ニッケル、ウランなどでも加速している。グローバルな企業活動に対処するには、国や地域ごとにバラバラな競争政策では限界がある。競争政策に関する共通の国際ルールづくりなど各国の実務的な連携が求められている」と主張する。

 多国籍企業問題は、国連やWTOなどの場で取り上げられてきたが、WTO交渉自体が行き詰まったこともあるし、対策はあまり進んでいない。社説の言うような競争政策に関する共通の国際ルールづくりなどは、各国の国益が対立してなかなか進んでいないのが現状である。

 しかし、世界市場が、少数の大企業によって独占支配されるという事態は、危険であることをこの社説から読み取っておかなければならない。

 『産経新聞』【主張】世界の資源企業 国際連携で寡占化を防げ2008.9.15

 公正取引委員会は、英豪系資源大手リオ・ティントと同BHPビリトンの合併計画について、日本国内での競争が制限される恐れがあるとして、独占禁止法違反の疑いで審査に乗り出した。

 平成11年の法改正で、外国企業同士の合併・買収(M&A)も審査できるようになったが、公取委が実際に行動を起こすのは今回が初めてである。

 2社の合併は価格支配力の強化につながりかねず、鋼材を使用する自動車や家電製品の値上がりという形で国民生活への影響が懸念される。この合併計画について、米国は承認したが、豪州やEU、中国などは審査中だ。

 公取委は他の国・地域の独禁当局と緊密に連携を取りながら、厳正に審査を進めてほしい。

 この合併計画の背景には、中国やインドなど経済発展が著しい新興国の鉄鉱石需要が増加し、当分は価格高騰が続くとの予想がある。そうした中で、価格支配力を強めようというわけだ。

 鉄鉱石の世界の輸出量は、ブラジルのヴァーレが約40%、リオが約25%、BHPが約15%を占める。日本の鉄鋼業界は、鉄鉱石の約60%、石炭の約30%をリオとBHPの2社から輸入する関係にあり、その影響力は大きい。

 そこで、問題になっているのは、資源高を背景とした両社の強気の姿勢である。国内の鉄鋼大手各社は、今年度の価格交渉で前年度に比べて約80%の値上げをのまされた。BHPとリオが合併して寡占化に拍車がかかれば、価格決定力がこれまで以上に強まるのは必至だろう。

 公取委が審査の結果、「競争を制限している」と判断すれば、両社に資産売却などの排除措置命令を出せる。これについては、両社が日本に生産拠点がないため、発動したとしても効力を発揮するのは難しいとの見方もある。

 しかし、資源の寡占化に対して「モノ言う公取委」の姿勢を世界に示すのは、無秩序な寡占化を抑止する上で大きな意味があるといえよう。

 世界的な資源メジャー統合の動きは鉄鉱石だけでなく、ニッケル、ウランなどでも加速している。グローバルな企業活動に対処するには、国や地域ごとにバラバラな競争政策では限界がある。競争政策に関する共通の国際ルールづくりなど各国の実務的な連携が求められている。

| | コメント (0)

グルジア危機

 『産経新聞』の正論に、中西氏の以下の文章が載っている。

 グルジア問題は、いったんおさまっているが、問題が解決したわけではまったくなく、和平合意後にもグルジア領内に居座ったロシア軍を、アメリカの艦隊が黒海からロシアを軍事的に威嚇することで、領外に押し出したにすぎない。オセット人、グルジア人双方の難民の帰還も始まっているというが、グルジア人とオセット人の間の対立は、今回の事態で、より深まったと言ってよい。

 下の中西氏は国際政治学者だけあって、米ロEUの国際関係に焦点を当てている。つまり、民族問題をスルーしている。

 氏は、「北京オリンピック開会と時を同じくして始まったロシアとグルジアの交戦は、国際政治の構造に与えるインパクトの点では冷戦終焉(しゅうえん)後最大といっても過言ではない意味をもつ」と述べているが、おそらくこの指摘は正確である。

 今、この間の事態を「新冷戦」と評する人が見受けられるが、それについて、氏は、次のように、批判する。

「一面では、現時点において米欧露はいずれも冷戦時のような決定的な対立を望んではいない。アメリカはテロとの戦いやイラン、北朝鮮問題などでロシアの協力を重視しているし、ヨーロッパもロシアのエネルギーに依存している。ロシアのメドベージェフ政権(実権はプーチン首相が握っているが)も西側との経済交流を必要としている。さらに、2014年にグルジアからもほど近い黒海沿岸のソチで予定されるオリンピックを成功させて国際社会に「大国ロシア」の存在を認知させたいと考えているであろう」。

氏は、ロシアの政治意図として、「新冷戦」は不適切としている。ロシアが指摘されているような政治意図を持っているのかどうかはわからない。国際関係において、政治意図どうりに事が進まないことの方が多い。アメリカのイラク侵略戦争もそうである。アフガニスタンもそうだ。いずれも、ブッシュの当初の政治的意図を裏切って、泥沼化してきている。

 氏は、国家にとっての威信の役割を高く評価していて、「問題は、ロシアが自らの意図を隠そうともしない尊大な態度である。しかしこうしたロシアの態度は、「新冷戦」という言葉以上にグルジア紛争の危険度が高いことを示唆している。米欧露各国は相手の弱さを見越して、安易に自らの「威信」をかけてしまっているのである」と述べ、さらには、「領土や権益をめぐる対立と違い、「威信」といった抽象的な価値をめぐる対立は抜き差しならないものになりやすい。ことにグルジアが属するカフカス(英語名コーカサス)から中央アジア、中国西北部に至るユーラシア内陸部では独裁、ナショナリズム、イスラム過激主義、国際犯罪、天然資源が重なり合う。大国が不安定な地域に国益と威信を掲げて手を伸ばし、各国の軍隊がひしめき合う状況は、冷戦よりも第一次世界大戦前のバルカンを想起させる危険な構図である。来年のアメリカの新政権発足にかけて緊張は続くであろう」と述べている。

 氏は、領土や権益をめぐる争いなら、妥協しやすいが、国家の威信、プライドをかけた争いは、抜き差しならないと考えている。だが、その国家の威信、プライド、つまりは、愛国心は、その基礎に経済的利害がなければ、簡単にひっくり返ってしまうというのは、歴史的事例の多くが明らかにしていることである。ロシアとの威信をかけた日露戦争で、これといった利益を獲得しないまま、ポーツマス条約を締結したのは。、明治日本国家の威信の程度がそれほど高くなかったことは明らかであり、戦利品を獲得できず、戦後不況によって零落した大衆の「愛国的な」憤激を招いたのである。

グルジアにおいて、サーカシビリ大統領が、民族主義的で、南オセチア、アブハジアなどを再統合しようとし、それを、サーカシビリ政権を支援することで、間接的に認めているのが、欧米だとすると、核大国、軍事大国ロシアとのこの問題をめぐる対立は、抜き差しならぬものがあると言えよう。それは、この地域の複雑な民族構成や石油パイプラインの利権の絡み合いその他の諸事情を考えれば、氏の「大国が不安定な地域に国益と威信を掲げて手を伸ばし、各国の軍隊がひしめき合う状況は、冷戦よりも第一次世界大戦前のバルカンを想起させる危険な構図である」という指摘もリアリティがあろう。そこで、こういう泥沼に知らず知らずして深入りしていって、抜き差しならぬ事態に追い込まれ、大危機が発生するというのが、ありそうなことである。危険である。

 『産経新聞』「正論」

■「大戦」想起させる危険な構図

 北京オリンピック開会と時を同じくして始まったロシアとグルジアの交戦は、国際政治の構造に与えるインパクトの点では冷戦終焉(しゅうえん)後最大といっても過言ではない意味をもつ。ユーゴスラヴィアやルワンダなどでの内戦や9・11事件のようなテロは巨大な衝撃をもたらしたが、大国間の関係には変化をもたらさなかった。イラク戦争の影響は大きかったが、それでも国際協調の枠組みは変わらなかった。しかし今回のグルジア紛争は大国間関係を大きく変える潜在力をもっている。
 紛争の一次的な要因はロシア、グルジア両国のナショナリズムとそれに煽(あお)られたオセチア、アブハジアなどの少数民族ナショナリズムの対立である。その発端は2003年の「バラ革命」にあった。この政変は、冷戦終焉後、ロシアと西側の間で微妙な舵(かじ)取りをしていたグルジアのシェワルナゼ政権の腐敗を糾弾して同国内で起きた民主化運動に伴うものだった。
 その後を継いだサーカシビリ大統領はアメリカで法律を学んだ西側派であり、かつ民族派であって、ロシアの影響下にあった南オセチア自治州、アブハジア自治共和国への支配回復を狙っていた。今回の紛争はグルジア軍による南オセチアへの攻撃によって始まったと見られている。
 しかしロシアの強力な反撃とその後の行動からは、ロシアがこの機会を待っていた様子がうかがえる。ロシア軍の反撃はグルジア軍を圧倒し、保障措置と称してグルジア領内に軍を展開させた。ヨーロッパ連合(EU)議長国であるフランスのサルコジ大統領によって仲介がなされているが、南オセチア、アブハジアに一方的な独立を宣言させるなど強硬な姿勢を貫いている。

 ≪「新冷戦」は意図されず≫

 サーカシビリ政権を支持してきたアメリカのブッシュ政権もロシアとの対決姿勢を打ち出し、グルジアへの人道支援物資の輸送のため海空軍を派遣している。ヨーロッパ諸国も、ロシアの脅威を強く感じる東欧諸国を中心に反ロシア色を強めている。
 こうした状況から、米欧とロシアの「新冷戦」といった言葉が語られるようになった。しかし、現時点では、この言葉は二重の意味でずれている。
 一面では、現時点において米欧露はいずれも冷戦時のような決定的な対立を望んではいない。アメリカはテロとの戦いやイラン、北朝鮮問題などでロシアの協力を重視しているし、ヨーロッパもロシアのエネルギーに依存している。ロシアのメドベージェフ政権(実権はプーチン首相が握っているが)も西側との経済交流を必要としている。さらに、2014年にグルジアからもほど近い黒海沿岸のソチで予定されるオリンピックを成功させて国際社会に「大国ロシア」の存在を認知させたいと考えているであろう。

 ≪NATO60周年に露照準≫

 ロシアの意図は、今回の紛争をきっかけにグルジアと隣国ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を阻止し、近隣への政治的影響力を復活させることにあるとみられる。今年4月のNATO首脳会議では、両国の加盟に熱心だったアメリカや東欧諸国に対して、ドイツなどが消極論を唱えて加盟問題は先送りされた。しかしロシアと国境を接し、かつてソ連の一部だった両国のNATO加盟はロシアでは耐え難い屈辱と見なされている。
 ロシアの狙いは、来年4月にNATOが迎える結成60周年を前に、グルジアとウクライナの親西側政権を倒し、NATO加盟申請を取り下げさせることにあるのではないだろうか。
 問題は、ロシアが自らの意図を隠そうともしない尊大な態度である。しかしこうしたロシアの態度は、「新冷戦」という言葉以上にグルジア紛争の危険度が高いことを示唆している。米欧露各国は相手の弱さを見越して、安易に自らの「威信」をかけてしまっているのである。
 領土や権益をめぐる対立と違い、「威信」といった抽象的な価値をめぐる対立は抜き差しならないものになりやすい。ことにグルジアが属するカフカス(英語名コーカサス)から中央アジア、中国西北部に至るユーラシア内陸部では独裁、ナショナリズム、イスラム過激主義、国際犯罪、天然資源が重なり合う。大国が不安定な地域に国益と威信を掲げて手を伸ばし、各国の軍隊がひしめき合う状況は、冷戦よりも第一次世界大戦前のバルカンを想起させる危険な構図である。来年のアメリカの新政権発足にかけて緊張は続くであろう。(なかにし ひろし)

| | コメント (0)

自民党総裁選

 福田政権退陣後の自民党総裁選レースは、解散総選挙をにらんでの露骨な人気取りゲームになっている。

 そもそも、本命と言われている麻生幹事長起用が、低迷していた福田政権の支持率挽回策であった。

 総裁選に名乗りをあげた顔ぶれを見れば、選挙用の党の顔選びであることがあまりにも露骨に現れている。

 麻生、石原伸晃、小池百合子、石破元防衛大臣、与謝野馨という顔ぶれは、政策よりも選挙といういう自民党のねらいを表現している。主要テーマは景気対策であり、与謝野を除いて、他は構造改革による景気上昇を訴える上げ潮派である。町村派は、麻生支持、津島派は、与謝野支持、である。公明党はどうやら麻生支持のようである。

 今では、自民党は、公明党の選挙支援がなければ、選挙戦をまともに戦えないと言われている。公明党が麻生支持となれば、選挙を実際に戦う地方は麻生支持に大きく傾くかもしれない。

 しかしなんとも情けない政治劇である。

 それに対して、11日のクローズアップ現代は、今、世界政治の焦点になっているグルジア問題を取り上げていた。

 グルジア領からのロシア軍の撤退は終わったようだが、黒海には、アメリカの艦隊が居座っていて、ロシアを牽制し、威嚇している。番組では、EU諸国で、ドイツ、イタリア、フランスなどがエネルギーをロシアに依存していることが指摘されていた。ロシアは、それを武器に、EUの分断をはかろうとしているということだった。

 今、グルジアをめぐって、核大国同士が対峙して軍事的緊張が高まっている時に、この平和な自民党総裁選の人気とりゲームを連日取り上げているマスコミののんきさには、言葉もない。

| | コメント (0)

福田総理辞任などなど

 突然の福田総理の辞任劇で一気に政局の動きがあわただしくなった。この裏には、サブプライム・ローン破綻問題に発する世界的な経済変動の波の日本への影響ということがある。
 9月5日付『毎日新聞』によると、今年4―6月期の機械受注が大きく落ち込んだ。それは、5月頃、システム・エンジニアの友人から聞いてわかっていたし、広告業の状態からも推測できたことである。さらに、中国の経済状態が春以降思わしくないという報道もあった。

 これらのこと、9月になっても物価上昇が続いている。内閣改造したばかりの第二
次福田内閣は、財政再建派を揃えた無策を策とする経済政策をとった。上げ潮派の筆頭の竹中元大臣は、福田内閣発足時に、日本経済は当分悪くなると批判していた。燃料費の高騰に抗議する漁民の一斉休業やトラック・デモや農民や中小企業の陳情などが起きた。ガソリンなどのか価格は少しだけ下がった。しかし、その影響が出るのはこれからである。福田内閣は、緊急経済対策を決定しているが、不十分とする声が早くもあがっている。上げ潮派の突き上げということも、辞任の決断の背景にあるのかもしれない。

 福田辞任の原因としてマスコミで取りざたされているのは、来年の東京都議会選挙を重視して、解散総選挙を今年12月に設定したい公明党の意向が強かったということである。この場合、自民党としては、選挙で勝てる総裁を立てる必要があり、支持率が低迷している福田総裁を交代させたいという党内世論が高まったということが考えられる。福田総理としては、人気の高い麻生を幹事長に据えておいたねらいは、明らかに、選挙対策だから、この際、民主党大会に合わせて、自民党総裁選を行って、選挙態勢づくりでリードしようということではないか。現に、この間、マスコミは総裁レースをとりあげている。すでにほぼ無投票再選が決定的な民主党の話題は消えている。

 この間の日本の政治過程を見ていると、ぬかるみで立ち往生しているように見える。なんとも無気力であり、それを代表していたのが福田総理であった。国会もまた、政治を無気力化させる衆参ねじれ状態が続いている。中途半端な福祉体制は、中途半端な企業内福利厚生の解体と相まって、人々を生活破綻へと向かわせている。それに対して、政府も明瞭なビジョンを示さない。小沢民主党もそれを示さない。

 アメリカでは、いわゆるビッグスリーと呼ばれる三大自動車メーカーが苦境に陥っているという。北京オリンピック後、特需の終わった中国にも注意が必要である。地方で大規模な暴動が発生したという報道があった。『毎日新聞』には、グルジア問題をめぐって、ロシアを野蛮とするアメリカ寄りの論評が載せられている。グルジアで、すでに1992年には、アブハジア自治共和国が主権宣言を発しており、今回の南オセチア自治共和国のグルジアからの分離・ロシア連邦北オセチア共和国への統合を求める動き、そしてもう一地域の分離・独立の動きに対して、ロシアとイーEU・アメリカの介入があって、これを「新冷戦」と呼ぶ人もあるが、むしろ、この間のロシアの資本主義化の進み具合からすれば、資本主義的帝国主義間の対立・抗争と見るべきだろう。それに中国が加わり、上海機構対米・英・日連合という対抗関係が形成されようとしているのではないか。EUは、これらに対して、第三極を形成していると言えるのだろうか? EU統合の挫折は、フランス・ドイツなどの大国を独自利害に沿って、この対立のいずれかへばらばらに加担するというような形での独自性を各国に与えるものになったのかどうか、等々、国際情勢はきわめて流動的であるということにも注意が必要だろう。

| | コメント (0)

« 2008年8月 | トップページ | 2008年10月 »