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2008年10月

世界食糧危機

 NHKスペシャル「世界同時食糧危機」第4回は、アメリカの農家と企業・政府が一体となった世界の輸出市場開拓の結果として今日の食糧問題が発生したということを取材したものであった。

 アメリカは、大規模農業・機械化などによって、小麦やトウモロコシなどの穀物が生産過剰・在庫過剰となり、低価格に半世紀も悩んできたという。大量生産によって低価格が実現したわけだが、それは国内市場ではいっぱいになってしまったのである。この問題を解決するために、1954年アイゼンハワー大統領は、輸出穀物促進包括法を制定し、穀物輸出促進を国策とした。この試みが最初に成功したのは、伊勢湾台風に襲われた日本への豚とトウモロコシ飼料の輸出であったという。このとき、豚は、空軍が輸送した。これが種豚となって、その後、トウモロコシ飼料とともに急拡大していった。この成功例をモデルにして、その後、アメリカは、世界に穀物協会支部などのアメリカ産農産品の消費拡大を促進する活動を強化した。

 1993年には、中国に進出し、アメリカ穀物協会北京事務所を開設、西洋式食生活の普及活動を始めた。牛肉消費は、この20年間で15倍に拡大した。今年春には、中国からの日本向けトウモロコシの輸出がストップした。アメリカ穀物協会のメンバーは、まもなく中国はトウモロコシの輸入国になるだろうと述べた。

 日本の食糧自給率は、1960年に80%が、70年には60%、現在は40%である。この間の穀物価格の高騰によって、飼料価格上昇分を価格転嫁できない酪農家の廃業が相次いでいる。

 エジプトでは、政府が援助する低価格のパンの販売所に行列ができている。人口7500万人のエジプトで、1年で、鳥肉などの肉類が約2倍、卵が3倍に跳ね上がった。

 この穀物価格の高騰には、アメリカの農家と農業企業と政府が一体となった取り組みがあったと番組は言う。エタノールの普及は、農家が先頭にたち、農家が出資した工場で生産され、ロビー活動によるブッシュ政権の包括エネルギー法ができた。番組は、CHSというアイオワ州にある農家の出資した企業を取り上げていた。かれらは、ロビー活動を活発に行っている。これに取り組んでいる農民であるバウマン氏は、売り上げを年1億6千万円上げ、MBAを取った息子が跡を継ぐことが決まっている。

 それと対照的に、エルサルバドルでは、1990年代の農業切捨て、工業化のための農産物の貿易自由化を受け入れたことで、国内農業は衰退し、この間の輸入穀物価格の高騰によって、子供の栄養失調などの問題に直面している。農村には耕作放棄地が増え、若者はアメリカに移民労働者として出て行き、農業を再生しようにも人手がないという状態である。

 今の食糧価格の高騰は、穀物が金融商品化して投機資金が流れ込んだこともあって跳ね上がったわけだが、それが金融危機の発生によって、穀物需要そのものが後退することで、さすがに値下がりしてきた。それはアメリカの農民に穀物生産過剰・在庫過剰という過去にある程度引き戻すことになろう。

 番組は、最後に、食糧危機に対応するために、自給率を向上させることや政府が農産物輸出を促進する必要があるというような提案をして終わった。世界15ヵ国が、一部穀物の輸出停止の措置をとった。安定的に食が確保できないというのは由々しき事態である。

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株価再下落

 いったん上昇して底が見えたかに思えた株価がふたたび大幅下落した。

 マスコミによれば、これは金融危機が実体経済に波及するだろうという将来期待の悲観的見方が広がっているからだという。

 東証株価が、欧米アジアの証券市場・資本市場に連動して動いているということがこの間の株価の動きによって明らかになっている。

 先に下落したのは、政策協調という大型対策を打った欧米である。サブプライム・ローン破綻の影響が少ないといわれた日本でさえ、資本市場は世界に開かれていて、同時性・連携性が以前よりはるかに強まっているのである。

 いったいどこで底を打つのだろうか?

 東証:終値も1000円超下落 8458円45銭『毎日新聞』081016

 8500円台まで下落した日経平均株価と1ドル99円台を示す外国為替取引会社のモニター=東京都港区東新橋の外為どっとコムで2008年10月16日午前10時50分、長谷川直亮撮影
8500円台まで下落した日経平均株価と1ドル99円台を示す外国為替取引会社のモニター=東京都港区東新橋の外為どっとコムで2008年10月16日午前10時50分、長谷川直亮撮影

 16日の東京株式市場は、前日の米国株価の急落などを受け、取引開始直後から全面安の展開となった。日経平均株価は3日ぶりに反落し、この日の最安値となる前日終値比1089円02銭安の8458円45銭で取引を終えた。下落率は、11.41%となり、87年10月20日のブラックマンデー(14.90%)に次ぐ過去2番目の水準となった。アジア市場でも株価が軒並み下落しており、再び世界同時株安の様相となった。

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日経平均反落

 アメリカでは、大統領選挙レースの最中である。

 共和党のマケイン候補は、経済に対する見識がないとして、民主党のオバマ陣営から攻撃を受け、直近のマスコミの世論調査の支持率で10ポイントの差をつけられている。

 そのせいか、高齢者対策・失業者対策の減税を行うことを表明した。

 すでに、ブッシュ政権は、減税、金融安定化法、等々の経済対策を行っている。アメリカの景気対策は、日本のように公共事業中心ではなく、減税中心である。しかし、ブッシュ政権の減税は、金持ち減税が主であり、それによって下層との格差が拡大している。

 経営破綻したリーマン・ブラザーズを買収した野村ホールディングスは、リーマンの人員を継続して雇用するために、約1000億円の人件費を計上するという。一人あたり、年収約4000万円で、野村社員よりはるかに高給取りだという。報道したテレビ番組によると、野村の社訓には、顧客利益優先が掲げられているという。野村証券は、この買収によって、リーマンのノウハウの吸収をねらっていて、この出費には授業料が入っているということらしい。

 昨日大幅に値上がりした株価は、今日はやや下がっている。まだ底が見えない不透明な状況にあるようだ。

 株式市場は、資本市場と呼ばれる。債権市場は、架空資本の市場である。また、商品市場がある。さらに、これらに先物市場があり、貨幣の市場もある。後者は為替市場である。貨幣は、これらの間を動いている。産業資本に拘束されている間は、これらは動かせないが、信用によって架空資本が創造され、貸付される。信用によって創造された架空資本は、未来の貨幣への請求権として存在する。そしてそれが市場で売り買いされる。

 日本の投資信託の資産は、この間大幅に減少している。こういうところで運用されている厚生年金基金などがあれば、減価しているはずである。

 これが実体経済に及ぼす影響が出るのはこれからである。

 『日経ネット』08年10月15日
 日経平均反落、午前終値136円安の9311円 米金融決算控え様子見

 世界的な金融危機への対応策が各国で固まるなか、14日の米国株式市場は反落し、15日午前の東京株式市場でも日経平均株価が軟調に推移している。主要 7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議後、株式市場は次第に落ち着きを取り戻し始めたが、上値は重い。今週に控える米金融機関決算の内容を見極めたい心理が働き、実体経済に対する懸念は根強い。

 午前の日経平均の終値は前日比136円35銭(1.44%)安の9311円22銭。東京証券取引所第1部の売買代金は概算で9653億円だった。

 米国が金融機関へ資本注入を決めるなど、金融危機に対する不安感はひとまず沈静化した。東京市場でも朝方は前日の米国株式市場で金融株が上昇したのを好感し、大手銀の一角が一時買われて相場を下支えした。

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株価上昇

 今日の東京株式市場では、株価が大幅に上昇した。

 これは、先の欧米での金融機関救済の協調策が決定されたことから、欧米・アジアの株式市場で株価が上昇した流れを受けたものである。

 特に、イギリスの預金全額保護という政策が市場に好感されたようである。

 イギリスでは、自治体の年金資産などが、高利率のアイスランドの銀行に預けられて運用されていた。この金融危機によって、アイスランドが、預金引き出しを凍結したため、イギリスの自治体の中で、年金を支払えなくなる恐れが出てきているという。そのために、イギリス政府は、対テロ法という治安法を適用して、アイスランドの銀行にあるイギリス系の資金を引き出せるようにしたという。イギリス政府は、この金融危機対策を対テロ戦争なみの対応を取ることで、乗り切ろうとしているわけだ。このようなイギリス政府の強硬な姿勢が、市場の弱気を反転させたのであろう。

 それに対して、金融安定化法を採択したにもかかわらず、株価が下落したアメリカ政府の対策を市場が評価しなかった。ブッシュ政権の消極的な姿勢が、市場から評価されなかったということである。

 基本的に世界的に過剰流動性が積み上がっており、それを信用制度が膨張させていたわけである。金余りの状態で行き場を失ったマネーは、商品市場や資本市場や債券市場などの間を行き来しているのである。このマネーを引き寄せることが、金融工学の「錬金術」の目的であり、それはリスク・ヘッジを名目に、リスクを隠し、見えなくする手練手管のことであった。数学は、実態を覆い隠す直観的道具であって、煙幕であった。

 この株価上昇が一時的なものであることは、投資家自身がわかっているようである。これが産業資本にどう波及するかは、まだはっきりしないが、少なくとも、アメリカの市場収縮・需要減退による世界経済の縮小は、産業資本の活動にマイナスの影響を与えることは確実である。すでに、世界一の自動車メーカーGMの経営危機は深刻になっていて、リストラが本格化している。

 麻生総理は、国会答弁で、内需主導型経済に転換しなければならないと述べたが、これはもう何十年も前から繰り返し言われたことだが、実現しなかった。

 政府与党は、これまで通り、支持基盤に向けて、利権を与える経済対策に税金を投入するつもりである。

 

東証、1171円高=急反騰、上昇率は戦後最大-終値9447円・G7協調を好感
 時事通信

 週明け14日の東京株式市場は、先週末に開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の結果と、その後の米欧の金融危機対応策発表などで、国際協調体制が確認されたとの見方が広がり、全面高の展開となった。日経平均株価は急反騰し、前週末比1171円14銭高の9447円57銭と、この日の最高値で終了。上昇率は14.15%で、戦後最大だった1990年10月2日の13.24%を18年ぶりに更新した。終値の上昇幅が1000円を超えたのは97年11月17日以来。(2008/10/14)

 米が25兆円資本注入へ まず金融大手に日経(10/14)

 【ワシントン=大隅隆】米政府が14日、金融危機の打開へ向けた総合対策を発表する見通しとなった。米メディアが一斉に報じた。金融安定化法に基づく 7000億ドル(約70兆円)の公的資金のうち2500億ドル(約25兆円)を資本注入にあてる。無利子の預金の全額保護なども打ち出すとみられ、欧州並みの包括的な危機対策になる方向だ。日本も含む主要国の危機打開策が近く出そろうことになる。

 ブッシュ大統領が14日午前8時すぎ(日本時間午後9時すぎ)に声明を発表。ポールソン財務長官、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長らが共同で会見する見通し。

 ポールソン長官は13日、JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)ら金融界のトップを米財務省に招集した。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は「米国の金融システムのために(民間金融機関は)政府の出資を受け入れなければならないとポールソン長官が説明した」と報じている。

 ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、資本注入は金融機関の優先株買い入れで実施。まず、JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックスなど大手金融機関に1機関あたり20億―250億ドルの公的資金を注入する。対象は、地方銀行などに順次広げていく方向だ。

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金融危機への政府介入

 以下の記事は、現在の世界的な金融危機に対して各国政府が、積極的に介入していることを示している。

 金融がおかしくなったのは、金融機関の自己責任だとは言われないのが、不思議である。

 いずれにしても、各国政府は、金融機関救済に税金を投入することに積極的である。それに対して、預金者保護に上限が設けられ、あとは自己責任とされたことはどうなるのか? なるほど、金融機関がつぶれてしまえば、預金などのお金が返ってこなくなる。だから、金融機関がつぶれないように政府が積極的に介入しなければならないというのは、実は預金者保護のためにも必要だという理屈が立つ。

 とはいえ、ハイエキアンからは、このような政府介入は、市場をゆがめ、その調整過程が必要となり、結局、中長期的に見ると、後で高いツケを払わされるだけだと言われそうである。しかし、資本主義経済とは、このようにして進むのであって、これも資本主義経済の無政府性の一部である。ハイエキアンの言うように、ある理想的なパターンに沿って動くものではないし、実際にそうではなかった。いくら理想的なパターンを描いても、それを陳腐化するようにして現実は動いていくのである。その原因は、技術革新やイノベーションにのみあるわけではない。戦争や政治、その他の歴史的な要因に対応しつつ、新たな形態に資本主義経済が変化するからである。軍需がビルトインされるとか、投機が蓄積機構に深くビルトインされるとかいうのもそうである。

 ハイエクは、こうした資本主義経済の現実やダイナミズムや歴史的変化などを見ることができず、抽象的なパターンを認識することに認識を限定したために、とらえそこなったのである。

 近年の近代経済学は、数学的なモデルを次々と構築することを学問と称しているのだが、このような基礎の上に、金融工学的発想が築かれたのであり、その破綻こそ、今回の事態である。最近の経済学が提供するモデルは、ある特殊な条件の下でのみ妥当するものであったりするが、たいていは、問題のごく一部を部分的に説明できるに過ぎないのである。基本的な人間学や心理学が、18世紀の功利主義者モデルを基礎としているままで、まったく古くさいのである。現象学も精神分析学も無視したままなのである。

 これでは現実と乖離しつづけているのも無理もない。であれば、この金融危機は、彼らによっては解決されないということになろう。

 

日米欧5中銀、ドル供給強化へ協調策を発表アサヒコム2008年10月13日

 日米欧の五つの中央銀行は13日、金融機関同士が資金をやり取りする短期金融市場に対し、ドル資金の供給を強化する協調対策を実施すると発表した。

 具体的には欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)、スイス国民銀行の3行が、金融機関が持つ適格担保の範囲内で、固定金利で入札額全額を供給する米ドルの資金供給オペレーション(公開市場操作)を実施する。

 今回の協調には、他に米連邦準備制度理事会(FRB)と日本銀行も参加する。各中銀は、新たなドル供給に必要となるドル資金を確保しやすくするため、ドルのスワップ金額を増額する予定。

 

ユーロ圏15カ国と英国が緊急首脳会議、銀行への資金注入など合意
 
『ロイター』2008年 10月13日

 [パリ 12日 ロイター] ユーロ圏15カ国と英国首脳は12日、金融危機への対応策を討議する緊急首脳会議を開催した。終了後発表された声明によると、短期金融市場の機能不全で資金繰りに直面している銀行への資金注入で合意した。

 このほか、債務の保証や買い取りなどの施策を各国が講じることでも合意した。

 主催したフランスのサルコジ大統領は記者会見で、危機に対応した「具体的な対策と団結が必要で、きょうこれを示した」と述べた。大統領によると、特にフランス、ドイツ、イタリアの対策が13日午後にも各国から発表される。

 ドイツ与党の当局者によると、ドイツは4000億ユーロ(5490億ドル)規模の支援策を発表する予定。

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金融危機の様相について

 いったい今日、われわれはどういう状況にたちのぞんでいるのだろうか?

 G7財務相・中央銀行総裁会議は、金融機関への公的資金投入などの行動計画をまとめた。これによって、現在の世界的な金融危機をなんとか食い止めようというのである。

 1990年代に、日本で行われたような金融機関救済策である。この時、これを正当化する理由について思い出しておくならば、たとえば、「金融システムは人でいえば、血管。血液に当たるお金がスムーズに流れないと、経済が死んでしまう」というようなことであった。金融機関にはたっぷりと公的資金を流したが、労働者大衆からはより多く搾り取ることがセットであった。

 この時代、資本主義経済が破綻したら、その成果の配分を求める労働組合も存在できなくなるとして、労資協調・労使一体に走ったのが、「連合」であった。労働組合の存在意義は、歴史的時代的状況によって変わる。労組に普遍的な定義などない。戦後復興期の労組法には、労組の目的として生産復興が掲げられていた。それは、労組法改正時に削除された。言うまでもなく、戦時中は、労組は解散され、産業報告会になって、戦時協力の機関に変えられた。労働組合総同盟友愛会は、人格主義を掲げていた。

 労組の目的や形式は労組法に規定されてはいるが、それは形式的な規定にすぎないわけである。たとえば、連帯労組関西生コン支部は、使用者概念の拡大を目指し、背景資本・大手ゼネコン・大手メーカーの使用者責任を追及してきたのである。これは、この産業の構造、現実に労組が合わせて、運動をつくるという生きた概念形成を行っているからで、法律の定義の形式論議から、概念形成をしていないことを意味している。

 それに対して、「連合」のHPを見て気がつくのは、労働運動の生きた概念を生み出そうという姿勢がないということだ。そればかりではない。「連合」が支持する民主党は、麻生内閣が出した緊急経済対策法に賛成しているように、漫然と税金垂れ流し、利権の拡大策に乗っかっている。それに対して、「連合」は反対していない。「連合」が、どこを向いているのかは、明らかである。その財界は、総選挙をやっている場合ではないと、自民党に圧力をかけたのだろう。自民党は、早期解散を否定し、金融経済対策を麻生内閣としての選挙向けの実績としてアピールする道を選んだ。麻生内閣発足早々の中山前大臣の辞任騒動などで失速しつつあった麻生内閣に、リカバリーのチャンスを与えてやったわけだ。この緊急経済対策を望んでいた層は、そうした民主党の態度をどう判断するのだろうか?

 はたして、1990年代の日本の経験が、2008年の今日、あてはまるのかどうかはわからない。あれは一国的な対策だったが、今は世界恐慌かという国際的な事態である。どうやって、世界を飛び回っている投機マネーの動きを把握し、その流れをコントロールできるのか・・・わからないことばかりである。

 

G7:行動計画 G7は速やかな実行を=経済部長・逸見義行081012『毎日』

 先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が10日、まとめた異例の行動計画からは、強い危機感が伝わってきた。資本不足の金融機関に公的資金で資本注入するなど「現在考えられる道具を全部そろえた」(稲葉延雄・元日銀理事)と言える。ただ、市場の信頼回復ができるかは、いかに具体的にスピーディーに実行に移すかにかかっている。株価暴落で、金融機関や企業の倒産が相次ぐ恐慌を避けるには、G7各国の行動しかない。

 先月29日に米下院が金融安定化法案を否決(3日成立)してから、市場はマイナス情報にしか反応しない。口で言っても「本当にできるのか」と当局の足元を見る。10日までのわずか2週間で、日経平均は30%(3616円)、ダウ工業株30種平均は24%(2691ドル)も暴落した。

 日本の90年代からの金融危機の教訓に照らせば、巨額の不良資産を抱えた金融機関に公的資金を投入し、資本増強することが不可欠だ。ただ、公的資金投入に、税を負担する国民からも、クビになったり報酬を下げられる金融機関の経営者からも反発が強い。当時、日本も米国から公的資金を早く投入しろと何度言われたことか。

 金融システムは人でいえば、血管。血液に当たるお金がスムーズに流れないと、経済が死んでしまう。G7行動計画に公的資金による資本増強が明示されたのは評価できる。

 米国発の危機の背後で進む地殻変動にも注目したい。冷戦終結後の90年代に入ってから、米国の一極集中経済を支えてきた産業の代表は金融だった。個人は住宅や株価の上昇で生じた含み益を担保にして、借金をしてでも消費に励んできた。今回の危機は、この米国経済の基盤を崩壊させた。金融再生のために投入される公的資金は、イラクで使う戦費とあわせて、財政赤字をさらに膨らませる。

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東証株価9000円割れ

10日の東京株式市場の終値は、連続の881円06銭安の8276円となった。約5年4ヵ月ぶりの9000円割れで、世界同時株安のサイクルに日本の株式市場も組み込まれていることが示されたわけである。

 欧米諸国は、軒並み、金融資本への公的資金投入や国有化などの政府介入策を取り始めている。日本政府もまた、G8経済閣僚会議を前に、金融再生法の復活などの公的介入を示唆している。

 1929年恐慌以上といわれる大規模な恐慌が発生しつつあることは、欧米諸国政府の共通認識になりつつあるようである。

 株価下落から、金融機関の含み資産の減価が生じ、自己資本比率が悪化し、貸し渋り、企業の資金繰りの悪化、倒産の増加、等々という経過をたどることが予想される。

東証終値、8276円 5年4カ月ぶり9000円割れ『朝日新聞』

 10日の東京株式市場は、前日の米国市場の株価急落で世界的な金融不安への懸念が増幅され、日経平均株価は大幅に下落。下げ幅は一時1000円を超えた。その後の買い戻しで下げ幅はやや縮小したが、終値は前日比881円06銭安い8276円43銭と、03年6月以来約5年4カ月ぶりの9000円割れとなった。日経平均は7営業日連続の下落で、この間の値下がり幅は3091円となった。

 東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は64.25ポイント低い840.86。出来高は32億7千万株。

 東証1部上場銘柄の9割程度が値下がりし、大部分の業種が下落。特に午前の取引では売りが加速し、日経平均は一時、前日比1042円08銭安い8115円41銭まで下落し、下落率は過去2番目(終値比較)の11.38%に達した。

 東京に続いて取引が始まったアジア新興国市場の株価指数も軒並み下落し、中国・上海、韓国は前日比マイナス2~3%、シンガポール、豪州はマイナス6~8%となっている。

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世界恐慌?

 ついに、日経平均株価が終値で1万円を割り込んだ。

 ところが、円高になっている。韓国ではウォン売りドル買いの動きが強まって、ウォンが大幅に下げている。この違いは、どうして起きているのだろうか? 

 この記事だけからはわからないが、注意が必要だ。

 イギリスでも、公的資金による不良債権の買い取りが行われることが決まった。日本でも似たようなことが行われたが、回復するまでに時間がかかった。その原因を小池信夫氏は、不良債権を銀行が売るように政府が促さなかったからだと述べている。すなわち、国家が経済にもっと積極的に介入すべきだったというのである。

 あれほど、すべてを市場に任せよと言い、政府は軍事と外交に専念せよと主張してきた新自由主義者は、経済への政府介入をしている今の英米欧日政府の動きをどう見ているのだろうか? 見たところ、沈黙である。誰がこの動きに明確に反対しているだろうか? ほとんどいない。

 小池氏の紹介では、アメリカで、経済学者が連名で、金融安定化法案に反対したそうだが、議会は、それを無視して、これを可決した。

 今後、世界経済がどうなるかは、不透明である。ただ、麻生首相は、国会で、1929年世界恐慌並の危機とのべ、マスコミでは、恐慌の字がおどる。

 

韓国ウォン大幅続落、一時1ドル=1380ウォン台『日経新聞』

 【ソウル=島谷英明】8日のソウル外為市場では対ドルのウォン相場が大幅に続落し、取引時間中に一時、1ドル=1380ウォン台をつけた。通貨危機が起きた1998年10月以来ほぼ10年ぶりの安値水準となった。米国株の値下がりが止まらず、金融システム不安の解消に時間がかかるとの見方から、金融機関や企業によるドル確保の動きが一段と加速した。

【米金融危機】東証暴落952円安 下落率9・38%2008.10.8『産経ニュース』

 8日の東京株式市場は、金融危機の拡大で米国の株式市場が大幅に下落したことを受けて急落した。円相場が一時、1ドル=99円台後半まで上昇したことも材料となり、日経平均株価は午後に入り急速に下げ足を速め、下げ幅は一時、1000円に迫った。

 終値は前日終値比952円58銭安の9203円32銭。東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は78・60ポイント安の899・01だった。

 平均株価の下落率は9・38%と過去3番目を記録した。

 

銀行に公的資金8兆円 英政府が救済策発表へ2008年10月8日 『中日新聞』夕刊

 【ロンドン=松井学】英政府は8日、金融不安の高まりで経営難に陥った銀行に政府が公的資金を使って資本注入し、自己資本を増強する措置など銀行救済の緊急対策を発表する。英BBC放送などによると、税金を含む公的資金は最大500億ポンド(約8兆8000億円)を投じ、必要な場合は政府が一部銀行を部分国有化する意向だ。

 ダーリング英財務相が同日朝(日本時間午後)に包括的な内容を明らかにする。米国発の金融危機が飛び火した欧州では信用不安や株価急落に見舞われる銀行が相次いでおり、緊急対策が金融市場の信認を得られるかどうかが差し迫った問題になりそうだ。緊急対策では資本注入のほか、銀行同士が資金を貸し借りする短期金融市場の混乱解消策も講じる。信用不安から資金不足に陥る銀行が出ないように、必要な資金をすべての銀行に供給する。

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麻生内閣支持率低下と金融危機

 麻生内閣は、発足早々、中山大臣の辞任という事態に見舞われた。JNNの5日の世論調査では、支持率は48%ほどである。すでに多くのマスコミでは、解散総選挙の場合の民主党勝利を予想している。

 麻生首相は、緊急経済対策の早期成立、臨時国会で、景気対策を優先することを表明し、解散総選挙の先延ばしをはかろうという意図を明らかにしている。

 しかし、アメリカ議会で、金融安定化法案が成立し、75兆円を投入して不良債権の買い取りをすることが決まったが、世界同時株安が続いている。ヨーロッパ諸国でも、銀行・金融機関の救済策が次々ととられている。しかし、その効果はまだあらわれていない。

 このような金融危機・経済危機をさして、1930年代の世界恐慌的恐慌というマスコミもある。

 

欧州金融機関・当局、危機拡大阻止へ対応急ぐ             日経

 経営困難に陥った欧州の金融機関の救済策や経営強化策が相次いでまとまっている。ベルギー政府は金融大手フォルティスのベルギー部門などを仏大手銀BNPパリバが買収すると発表。ドイツでは不動産金融大手ヒポ・レアルエステートに対する最大500億ユーロ(約7兆2000億円)の資金支援が決まった。米国発の金融危機の波及で欧州各国の政府、金融機関は対応を迫られており、危機拡大阻止に向けた動きが今後も相次ぐ見通しだ。

 【ロンドン=吉田ありさ】ベルギー政府は5日夜、経営難の金融大手フォルティスのオランダ部門以外を大手仏銀BNPパリバが買収すると発表した。ベルギーとルクセンブルク両国が一時完全国有化した後、BNPパリバがベルギーのフォルティス現地法人の株式75%、ルクセンブルク現地法人の67%を両国からそれぞれ買い取る。地元メディアによるとベルギー部門の買収額は82億5000万ユーロ(約1兆2000億円)という。

 今回の対策についてルテルム・ベルギー首相は地元メディアに「銀行と預金者の利益を守る狙い」と述べた。

東証終値も1万500円割れ 4年8カ月ぶり
MSN産経2008.10.6

 6日の株価の終値1万473円9銭を示す証券会社のボード=6日午後3時35分、東京・八重洲(栗橋隆悦撮影)6日の株価の終値1万473円9銭を示す証券会社のボード=6日午後3時35分、東京・八重洲(栗橋隆悦撮影)

 週明け6日の東京株式市場は、先週末に発表された米雇用統計の悪化などで米株式市場が下落した流れを嫌気し、大幅続落した。日経平均株価の終値は前週末比465円05銭安の1万473円09銭となった。平均株価が1万500円を割り込んだのは平成16年2月以来、4年8カ月ぶり。東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)も48・92ポイント安の999・05となり、4年10カ月ぶりに1000を割り込んだ。

 3日に米金融安定化法案が可決されたものの、市場ではその実効性が疑問視され、金融不安が根強く残っている。金融不安は欧州にも広がり、米欧の対策が抜本解決には不十分として、世界景気に対する不安が広がった。また、円高が進行したことで、企業業績が悪化するとの懸念も生じ、平均株価は午後に入って下げ足を速め、平均株価の下げ幅は一時、560円を超えた。

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