世界食糧危機
NHKスペシャル「世界同時食糧危機」第4回は、アメリカの農家と企業・政府が一体となった世界の輸出市場開拓の結果として今日の食糧問題が発生したということを取材したものであった。
アメリカは、大規模農業・機械化などによって、小麦やトウモロコシなどの穀物が生産過剰・在庫過剰となり、低価格に半世紀も悩んできたという。大量生産によって低価格が実現したわけだが、それは国内市場ではいっぱいになってしまったのである。この問題を解決するために、1954年アイゼンハワー大統領は、輸出穀物促進包括法を制定し、穀物輸出促進を国策とした。この試みが最初に成功したのは、伊勢湾台風に襲われた日本への豚とトウモロコシ飼料の輸出であったという。このとき、豚は、空軍が輸送した。これが種豚となって、その後、トウモロコシ飼料とともに急拡大していった。この成功例をモデルにして、その後、アメリカは、世界に穀物協会支部などのアメリカ産農産品の消費拡大を促進する活動を強化した。
1993年には、中国に進出し、アメリカ穀物協会北京事務所を開設、西洋式食生活の普及活動を始めた。牛肉消費は、この20年間で15倍に拡大した。今年春には、中国からの日本向けトウモロコシの輸出がストップした。アメリカ穀物協会のメンバーは、まもなく中国はトウモロコシの輸入国になるだろうと述べた。
日本の食糧自給率は、1960年に80%が、70年には60%、現在は40%である。この間の穀物価格の高騰によって、飼料価格上昇分を価格転嫁できない酪農家の廃業が相次いでいる。
エジプトでは、政府が援助する低価格のパンの販売所に行列ができている。人口7500万人のエジプトで、1年で、鳥肉などの肉類が約2倍、卵が3倍に跳ね上がった。
この穀物価格の高騰には、アメリカの農家と農業企業と政府が一体となった取り組みがあったと番組は言う。エタノールの普及は、農家が先頭にたち、農家が出資した工場で生産され、ロビー活動によるブッシュ政権の包括エネルギー法ができた。番組は、CHSというアイオワ州にある農家の出資した企業を取り上げていた。かれらは、ロビー活動を活発に行っている。これに取り組んでいる農民であるバウマン氏は、売り上げを年1億6千万円上げ、MBAを取った息子が跡を継ぐことが決まっている。
それと対照的に、エルサルバドルでは、1990年代の農業切捨て、工業化のための農産物の貿易自由化を受け入れたことで、国内農業は衰退し、この間の輸入穀物価格の高騰によって、子供の栄養失調などの問題に直面している。農村には耕作放棄地が増え、若者はアメリカに移民労働者として出て行き、農業を再生しようにも人手がないという状態である。
今の食糧価格の高騰は、穀物が金融商品化して投機資金が流れ込んだこともあって跳ね上がったわけだが、それが金融危機の発生によって、穀物需要そのものが後退することで、さすがに値下がりしてきた。それはアメリカの農民に穀物生産過剰・在庫過剰という過去にある程度引き戻すことになろう。
番組は、最後に、食糧危機に対応するために、自給率を向上させることや政府が農産物輸出を促進する必要があるというような提案をして終わった。世界15ヵ国が、一部穀物の輸出停止の措置をとった。安定的に食が確保できないというのは由々しき事態である。

麻生内閣は、発足早々、中山大臣の辞任という事態に見舞われた。JNNの5日の世論調査では、支持率は48%ほどである。すでに多くのマスコミでは、解散総選挙の場合の民主党勝利を予想している。







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