金融危機の様相について
いったい今日、われわれはどういう状況にたちのぞんでいるのだろうか?
G7財務相・中央銀行総裁会議は、金融機関への公的資金投入などの行動計画をまとめた。これによって、現在の世界的な金融危機をなんとか食い止めようというのである。
1990年代に、日本で行われたような金融機関救済策である。この時、これを正当化する理由について思い出しておくならば、たとえば、「金融システムは人でいえば、血管。血液に当たるお金がスムーズに流れないと、経済が死んでしまう」というようなことであった。金融機関にはたっぷりと公的資金を流したが、労働者大衆からはより多く搾り取ることがセットであった。
この時代、資本主義経済が破綻したら、その成果の配分を求める労働組合も存在できなくなるとして、労資協調・労使一体に走ったのが、「連合」であった。労働組合の存在意義は、歴史的時代的状況によって変わる。労組に普遍的な定義などない。戦後復興期の労組法には、労組の目的として生産復興が掲げられていた。それは、労組法改正時に削除された。言うまでもなく、戦時中は、労組は解散され、産業報告会になって、戦時協力の機関に変えられた。労働組合総同盟友愛会は、人格主義を掲げていた。
労組の目的や形式は労組法に規定されてはいるが、それは形式的な規定にすぎないわけである。たとえば、連帯労組関西生コン支部は、使用者概念の拡大を目指し、背景資本・大手ゼネコン・大手メーカーの使用者責任を追及してきたのである。これは、この産業の構造、現実に労組が合わせて、運動をつくるという生きた概念形成を行っているからで、法律の定義の形式論議から、概念形成をしていないことを意味している。
それに対して、「連合」のHPを見て気がつくのは、労働運動の生きた概念を生み出そうという姿勢がないということだ。そればかりではない。「連合」が支持する民主党は、麻生内閣が出した緊急経済対策法に賛成しているように、漫然と税金垂れ流し、利権の拡大策に乗っかっている。それに対して、「連合」は反対していない。「連合」が、どこを向いているのかは、明らかである。その財界は、総選挙をやっている場合ではないと、自民党に圧力をかけたのだろう。自民党は、早期解散を否定し、金融経済対策を麻生内閣としての選挙向けの実績としてアピールする道を選んだ。麻生内閣発足早々の中山前大臣の辞任騒動などで失速しつつあった麻生内閣に、リカバリーのチャンスを与えてやったわけだ。この緊急経済対策を望んでいた層は、そうした民主党の態度をどう判断するのだろうか?
はたして、1990年代の日本の経験が、2008年の今日、あてはまるのかどうかはわからない。あれは一国的な対策だったが、今は世界恐慌かという国際的な事態である。どうやって、世界を飛び回っている投機マネーの動きを把握し、その流れをコントロールできるのか・・・わからないことばかりである。
G7:行動計画 G7は速やかな実行を=経済部長・逸見義行081012『毎日』
先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が10日、まとめた異例の行動計画からは、強い危機感が伝わってきた。資本不足の金融機関に公的資金で資本注入するなど「現在考えられる道具を全部そろえた」(稲葉延雄・元日銀理事)と言える。ただ、市場の信頼回復ができるかは、いかに具体的にスピーディーに実行に移すかにかかっている。株価暴落で、金融機関や企業の倒産が相次ぐ恐慌を避けるには、G7各国の行動しかない。
先月29日に米下院が金融安定化法案を否決(3日成立)してから、市場はマイナス情報にしか反応しない。口で言っても「本当にできるのか」と当局の足元を見る。10日までのわずか2週間で、日経平均は30%(3616円)、ダウ工業株30種平均は24%(2691ドル)も暴落した。
日本の90年代からの金融危機の教訓に照らせば、巨額の不良資産を抱えた金融機関に公的資金を投入し、資本増強することが不可欠だ。ただ、公的資金投入に、税を負担する国民からも、クビになったり報酬を下げられる金融機関の経営者からも反発が強い。当時、日本も米国から公的資金を早く投入しろと何度言われたことか。
金融システムは人でいえば、血管。血液に当たるお金がスムーズに流れないと、経済が死んでしまう。G7行動計画に公的資金による資本増強が明示されたのは評価できる。
米国発の危機の背後で進む地殻変動にも注目したい。冷戦終結後の90年代に入ってから、米国の一極集中経済を支えてきた産業の代表は金融だった。個人は住宅や株価の上昇で生じた含み益を担保にして、借金をしてでも消費に励んできた。今回の危機は、この米国経済の基盤を崩壊させた。金融再生のために投入される公的資金は、イラクで使う戦費とあわせて、財政赤字をさらに膨らませる。
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