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2008年12月

イスラエルは直ちにパレスチナ人への殺戮攻撃を止めよ!

 景気後退のニュースが続く中で、パレスチナへのイスラエル軍の攻撃が激化している。

 パレスチナは常に戦時状態であり、イスラエルは、パレスチナをつぶし併合してしまうことを狙っている。それは国際政治やパレスチナ人の抵抗などによって、妨害されているだけである。

 アメリカのニュース(ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト)は、トップでイスラエル軍の攻撃を繰り返し報道しており、世界の関心が、強くこの地域の問題に注がれていることがわかる。イギリスのガーディアン・・・。

 ハマスのロケット弾に対する報復攻撃が、27日からの死者287人、負傷者700人、「地上部隊をガザとの境界近くで増強するとともに、少なくとも6500人の予備役兵の招集を閣議決定」というものである。ライス国務長官は、ハマスを一方的に非難し、イスラエル支持を表明した。

 「シリアに亡命しているハマスの政治部門最高指導者メシャール氏は27日、衛星テレビ局アルジャジーラとの会見で「新たなインティファーダ(反占領闘争)を呼びかける」と述べ、ガザ以外のパレスチナ人にも蜂起を求めた。自爆攻撃の再開も宣言した」。

 「市民による抗議デモは28日、中東各国に広がった。シリアの首都ダマスカスやイラク各地では数千人が米国やイスラエルの国旗を燃やして行進。レバノンのベイルートでは市民と治安部隊が衝突し、催涙弾も使われた」。

 アメリカでの金融恐慌が勃発し、世界的な経済危機の進行する中での、反米・反イスラエル蜂起は、アメリカにとって由々しき事態であり、イスラエルの過剰とも思える軍事攻撃も、こうした世界情勢の変化と関係があるかもしれない。

 そうでなくとも、イスラエルは、シリアへの越境攻撃やイラン攻撃を示唆するなど、安保環境への脅威に対する積極的な軍事計画を常に持っている国である。イスラエルは、でっち上げ民族であるイスラエル人によるパレスチナ人・アラブ人の搾取・収奪の体制を守り、拡大し、それを強制することで成り立ってきた国である。イスラエルは、パレスチナ人やアラブ人を、虫けらのように殺し、人権を踏みにじるなどの残虐行為を平然と行ってきたし、今もまたそうしているのである。そして、それを自由と民主主義を掲げるアメリカが、軍事的経済的政治的など、あらゆるかたちで、支えてきたのである。

 イスラエルは直ちにパレスチナ人への殺戮攻撃を止めよ!

 

ガザ空爆、死者280人超 国連「即時停戦」求める(『朝日新聞』08年12月29日)

 【カイロ=平田篤央、ニューヨーク=松下佳世】イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザに対する空爆を28日も続け、ロイター通信によると27日からの死者は287人、負傷者は700人に達した。中東各国では市民の抗議デモが広がっている。ガザを支配するイスラム過激派ハマスは報復攻撃を強める一方、イスラエル政府は地上軍を展開する可能性も示唆している。

 国連安全保障理事会は28日、事態に「深刻な懸念」を示す報道声明を発表。イスラエル、ハマス双方に「すべての暴力の即時停止」を呼びかけ、イスラエルによるガザ封鎖の解除などを求めた。

 しかし、AFP通信によるとイスラエルのバラク国防相は28日、「国民を守るために必要であれば地上軍を展開する」と述べた。イスラエルは地上部隊をガザとの境界近くで増強するとともに、少なくとも人の予備役兵の招集を閣議決定した。また、エジプトとの境界にあるトンネル約40を「武器の密輸に使っている」として空爆した。

 ハマスは報復攻撃として28日、80発以上のロケット弾をイスラエル領内に撃ち込み、徹底抗戦の構えだ。

 シリアに亡命しているハマスの政治部門最高指導者メシャール氏は27日、衛星テレビ局アルジャジーラとの会見で「新たなインティファーダ(反占領闘争)を呼びかける」と述べ、ガザ以外のパレスチナ人にも蜂起を求めた。自爆攻撃の再開も宣言した。

 市民による抗議デモは28日、中東各国に広がった。シリアの首都ダマスカスやイラク各地では数千人が米国やイスラエルの国旗を燃やして行進。レバノンのベイルートでは市民と治安部隊が衝突し、催涙弾も使われた。

 ハマスを支援するイランの最高指導者ハメネイ師は同日、世界のイスラム教徒に対し「パレスチナ人を守るために可能なことをする」よう求める宗教令を出した。

 ハマスと対立しているパレスチナ自治政府のアッバス議長は27日から28日にかけヨルダン、サウジアラビア、エジプトの親米アラブ諸国を訪問し首脳らと会談。空爆を非難すると同時にハマスの強硬姿勢も批判し、双方に「即時停戦」を求めた。アラブ連盟は31日にもカイロで緊急外相会議を開いて対応を協議する。

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アメリカ大恐慌以来の景気後退

 景気悪化のニュースが続いている。

 こんな時に大統領になったオバマ政権は大変だろう。

 下の記事で問題となっているのは、消費であり、アメリカ人が大量に物を買わなくなったら、アメリカ市場向けに生産し輸出している中国や日本などの製造業が打撃を受けるということである。そして、日本の円高は、輸出企業にとって痛い。

 記事は、消費者の心理の冷え込みを心配している。それで、結局、貯蓄が増えるということになるが、しかし銀行は増えた貯蓄の投資先がないので、政府が公共投資でそのはけ口をつくってやり、後から乗数効果による税収増などによって、それを回収するというケインズ主義的な方向で書いているように見える。これまで、消費者信用で、貯蓄しないどころか、未来の収入まで担保にして大量消費を行ってきたアメリカの消費者が、節約と貯蓄に動いていくのだろうか? 

 それもあるし、大恐慌以来最長のリセッション入りはほぼ確実なようだから、それだけ、対策は大規模なものとなることが予想される。オバマ大統領が来年1月の就任から、どうするのか、注目である。

 

米、大恐慌以来の景気後退に=上半期もマイナス成長へ(『読売新聞』)

 【ワシントン28日時事】米国が大恐慌以来最長のリセッション(景気後退)に向かっている。経済の約7割を占める消費、そして景気悪化の元凶である住宅市場が上向く兆しは乏しく、エコノミストの間ではマイナス成長が2009年第2・四半期まで続くとの見方が主流だ。失速する米経済の着地点はまだ見えない。
 34年ぶりの大幅な雇用減少、15年ぶりの高失業率-。住宅価格の急落で既に大きな痛手を負っている消費者の心理を一段と圧迫する統計が続く。夏以降しぼみ続ける消費にさらにブレーキが掛かる。
 07年12月に米国がリセッション入りしてから既に1年が経過。この間、サブプライム(低所得者向け高金利型)住宅ローン問題を発端にした金融危機は、証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)などで未曽有の事態に発展、実体経済への悪影響を強めた。
 この結果、経済成長は08年第3・四半期にマイナスに陥った。エコノミストの見込み通り09年第2・四半期までマイナス成長が続けば、リセッションの期間は18カ月となり、これまで大恐慌以来最長だった1973年11月、81年7月から始まったリセッション(いずれも16カ月間)を抜くことになる。(2008/12/28)

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天木直人氏の新自由主義観について

  下は、天木直人氏のブログ記事である。

 

日本の大企業が、リストラをする一方で内部留保を積み上げているという12月14日の東京新聞の記事についてのコメントである。

 天木氏は、藤村博之法政大学教授(労使関係論)のコメントを引用している。

 「わが国の株式市場を急速にアメリカ型に変えて行ったため、短期の業績向上が企業の意思決定の基準になった。つまり毎年の利益最大化を怠れば経営者には株主代表訴訟が待っている。「コスト削減で利益がだせたはずなのに、そうしなかったのはけしからん」。「会社に与えた損害を補償せよ」と株主から訴えられる結果を招きかねない現実もまたある、と」。

 リストラを加速してまで内部留保を貯め込む理由は、株主の利益を最大化するように、企業が行動するようになったからだというのである。かつては、経営者は、企業全体の利益に配慮し、社員の生活をも考慮して行動したが、今は、株主の利益を最重視するようになった。それをもたらしたのは新自由主義経済だというのである。かつて、所有と経営の分離ということが言われていて、奥村氏の法人資本主義論が一世を風靡したこともあった。

 しかし、時代は変わった。所有者といっても、企業への投資というよりも投機目的で投資する投資家の利益に強く配慮せざるを得なくなったわけである。そこには、経営者が自己株所有比率を高めたとか、企業評価の基準が変化したとか、いろいろなことがあった。

 天木氏は、「色々と考えてみると、「リストラと内部留保」という問題は、政府の政策の結果によるところが大きく、それは自由、資本主義経済か社会主義政策かのどちらかに軸足を置くか、という根本問題に行き当たる問題である事がわかる」と述べている。

 一つ特徴的なのは、天木氏の新自由主義を、イデオロギーとしてとらえていることで、価値観、価値基準としてとらえているということである。新自由主義とは、株主の利益を最大化するためのイデオロギーであるということである。それは、企業は株主のものであるとして企業所有者の法的形式的規定を利用して、実は短期的な投機的利益を最大限企業から引き出すことに使われた外皮であるということだ。内部留保があることは、そのような株主からすれば、利益の源泉が存在することを示していて、そうであるかぎり、投資するが、それがなければ、他の企業に投資するだろう。産業投資は、利益があがるまで時間がかかり、それまで資金は建物や機械などのかたちで拘束されている。そのための内部留保なら、投資のための準備金ということになるけれども、今の内部留保にはそれだけではない別の性格がある。

 すでに国の産業金融はあまりなくなって、通貨政策が政府の基本的な金融政策となっている90年代の長期信用銀行、日本興業銀行、北海道拓殖銀行などの破綻がそれを示していたわけである。政府金融は、住宅や中小企業向けなどに限られている。

 天木氏は、藤村教授の言葉を引用する。「・・・企業は売り上げが減ると、それにあわせて費用を削ろうとする。人員も費用の一部だから削減の対象となる。しかし失業者の増加と賃金の停滞が個人消費をますます冷え込ませる・・・」。それでも企業利潤は増大するというのが、内部留保問題が示していることである。天木氏が、社会主義政策というのをどういう意味で使っているのかは、はっきりはわからないが、どうも、ケインズ主義的な意味で使っているように思える。

 人件費というのはマルクス経済学では、可変資本であり、これと不変資本を合わせたものが総資本である。不変資本にたいして可変資本の割合を減少させるという資本の有機的構成の高度化というのが資本主義経済の傾向的法則としてある。この傾向は、具体的には、様々な条件によって決まるのであって、天木氏の言うように、政府が介入するなどして、企業がこの割合を変化させることもありうるわけである。それから大株式会社の場合、市場法則によって左右されるのではなく、逆に市場支配をすることもありうるわけである。それを、新古典派のマーシャルの私企業像とケインズの株式企業像との違いとして指摘した人もいる。森嶋通夫氏は、セイの法則の世界の新古典派経済学に対して、反セイ的世界のケインズ経済学という区別をした。

 天木氏が言うところでは、新自由主義は、株主や投機者の利益に奉仕するイデオロギーであって、経済構造の根本的変革までをするものではなかったということになるわけで、相変わらず、経済全体は、大株式企業によって支配されているわけである。そのことが、新自由主義イデオロギーや政策の破綻によって、この間、裸になって誰の目にも見えてきたのではないだろうか。

リストラの嵐と大企業の内部留保

 分不相応に難しい事を書いてみる。

 12月24日の東京新聞は、トヨタ自動車やキャノンなどの日本を代表する大手製造業16社が、リストラ加速の一方で巨額の内部留保を積み上げている事を、一面トップで大きく取り上げていた。

 この内部留保の問題にここまで大きく焦点を当てたのは大手新聞では東京新聞が始めてではないかと思う。おそらく今後はこの問題が折に触れメディアで報じられていく事になるだろう。

 なぜこの問題が重要なのか。

 それはもちろん東京新聞が書いているように、「過去の好景気による利益が人件費にまわらず企業内部に溜め込まれている」ことが経営者の正しい対応なのか、という事にある。

 しかし、その事をさらに一歩踏み込んで考えると、資本主義と社会・共産主義の立場の違いという根本問題に行き当たることにきづく。

 内部留保問題を厳しく追及するのは左翼イデオロギーである。

 今では日本共産党さえもアメリカ資本主義の手先だ、などと批判する左翼政党に労働党というのがある。その労働党の機関紙である「労働新聞」12月15日号は、大企業の巨額な内部留保をこう激しく糾弾している。

 「・・・大企業はこの数年空前の利益を上げ続け、それを溜め込んできた。このわずかな分でもはき出せば、非正規労働者の雇用を維持してもおつりがくるぐらいである。企業の不況宣伝にだまされてはならない・・・」

 労働新聞のこの記事は、単に感情論でそういっているのではない。公表されている統計を使って独自の計算を重ね、解雇される労働者の給与総額が、配当金額や利益余剰金の巨額と比べていかに少ないかを検証してそういっているのだ。大企業が配当金や内部留保のわずかな部分をまわしさえすれば労働者の雇用や賃金を守る事はまったく可能なのだ、という主張は説得的だ。

 しかし企業サイドが配当金や内部留保を重視せざるを得なくなった理由が存在する事もまた事実である。そしてそれは、近年急速に進んだ政府による米国型新自由主義政策の導入によるところが大きいのである。

 12月25日の読売新聞「論点」で藤村博之法政大学教授(労使関係論)は、次のように指摘している。

 わが国の株式市場を急速にアメリカ型に変えて行ったため、短期の業績向上が企業の意思決定の基準になった。つまり毎年の利益最大化を怠れば経営者には株主代表訴訟が待っている。「コスト削減で利益がだせたはずなのに、そうしなかったのはけしからん」。「会社に与えた損害を補償せよ」と株主から訴えられる結果を招きかねない現実もまたある、と。

 最近の経済記事を見てみると、このほかにもいくつかの要素があることがわかる。

 景気循環が見通せるこれまでの経済では、不況の次に来る好況と重要拡大に供え、一定の余剰人員を抱えていたほうが得であり、それゆえに余剰人員を抱えて我慢する事もできた。しかし、バブル後の長期不況と不透明化は、その余裕をなくした。

 またバブル崩壊で体力の落ちた銀行は、自己資本比率の引き上げというルール変更とあいまって一気に融資条件を厳しくしていった。いきおい各企業とも財務基盤を強化する必要に迫られ、それが内部留保を高めさせた。

 色々と考えてみると、「リストラと内部留保」という問題は、政府の政策の結果によるところが大きく、それは自由、資本主義経済か社会主義政策かのどちらかに軸足を置くか、という根本問題に行き当たる問題である事がわかる。

 前掲の藤村教授は現在の矛盾を次の言葉で表している。

 「・・・企業は売り上げが減ると、それにあわせて費用を削ろうとする。人員も費用の一部だから削減の対象となる。しかし失業者の増加と賃金の停滞が個人消費をますます冷え込ませる・・・」

 この悪循環を断ち切ろうと皆が頭を痛めている。

 問題はアメリカ発の金融危機によってもたらされた金融資産の消滅額があまりにも大きく、それが実体経済に与える悪影響が未経験なほど大きい事である。それにともなって個人生活への打撃は深刻なものに違いない。

 我々はどこまでその深刻さに気づいているのか。

 ひょっとして我々の想像をはるかに超えるチェンジを起さないと世の中は大変な事になるのかもしれない。

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トヨタ販売台数大幅に落ち込む

 経済の悪化のニュースが連日伝えられているが、世界2位の販売高を誇ってきた世界のトヨタの11月の世界販売台数が2000年以降で最大の減少となったことが明らかになった。

 インド・中国での落ち込みが目立ち、インドで48・9%減、中国で21・4%減である。これらの国では、トヨタは高級車的な扱いであろうから、それだけ落ち込みが大きいのだろう。それに比して、大衆車的な扱いの北米や欧州では、3割前後で、新興国よりは落ち込み幅が小さい。

 もっとも、これは単独での販売数であり、資本関係を結んでいる現地メーカーや合弁などの数字も合わせてみないとトヨタの経営の状況はつかめない。もちろん、他の部門の状態も見る必要がある。

 これはおそらくトヨタに限らない。GMであれ、メルセデスであれ、他の自動車メーカーも似たりよったりだろう。そこで、コストの安い国の自動車メーカーが、安売りで、シェアをのばすというようなことが起きるかもしれない。新技術が採用されて、低コスト化が行われ、それに成功した企業が急速にシェアをのばすというようなことが起こるかもしれない。シュンペーターの言うイノベーションである。

 しかし、シュンペーターの言うイノベーションが大きな成果をもたらさない時、社会主義に移行するというのが彼の見解である。今で言えば、イノベーションは、環境・エネルギー技術革命だろうか? それとも、新たなビジネス・モデルの登場だろうか? 

 

『読売新聞』2008年12月24日

 

 トヨタ自動車が24日発表した11月の世界販売台数(単独)は、前年同月比23・8%減の54万4000台で、2000年以降で最大の減少幅となった。

 地域別では国内が27・6%減の10万8000台で、下落率は1976年10月以来最大だった。北米や欧州では3割前後の減少だったほか、インドで48・9%減、中国でも21・4%減と新興国で落ち込みが目立った。

 輸出はアフリカを除いた世界の全地域向けで前年実績を大きく下回った。販売不振に伴う減産の強化で、世界生産台数は26・6%減の58万9000台と、過去最大の下落率となった。

 ダイハツ工業と日野自動車をあわせたグループでの世界販売台数は21・8%減の61万8000台だった。

 同日発表したホンダの世界生産台数は前年同月比9・9%減の32万6000台。マツダも世界総生産台数が17・9%減の10万台となった。

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タイの政権崩壊に思ったこと

 下の記事を読んで感じるのは、タイの権力システムのわかりにくさである。

 ソムチャイ内閣は、先の選挙での与党の不正が、最高裁判所で認定されて、政党の解散を命じられたことを受けて、総辞職に追い込まれたわけだ。

 裁判所が、政党解散を命令し、決定するというのは、三権分立の建前に反すると、われわれなら思うだろう。また、以前に、政局混乱が起きて軍がクーデターを起こした時、王様が、調停に乗り出して事態を収拾したことがあった。軍のクーデターというのも、すごいことだが、この国では一体誰が、権力を掌握しているのか、わからない。次々と、権力を動かす勢力が変化するからである。

 以前は、政治の混乱を軍部がクーデターで収め、今回は、最高裁が収めた。わかりにくい。空港を閉鎖するという実力闘争に打って出た野党支持者たちは、どうなるのか? タイでも、法律上は、これは不法行為であるはずだが、警察も軍もかれらを排除しなかった。下の指導者の発言では、今後捕まるだろうというような感じがしない。

 タイとカンボジアは、アンコールワットのあたりで、軍事衝突を起こしている。今のところ、両国の間に全面戦争が起こりそうな気配はないが、それが続くかどうかはわからない。

 ちょっと、下の記事を読んで、タイの権力構造はどうなっているのか、不思議に思ったということである。

 

タイ反政府勢力が空港撤収開始、完全復旧まで2週間(『読売新聞』2008年12月3日)

 【バンコク=田原徳容】タイの首都バンコク郊外のスワンナプーム国際空港を占拠していた反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」は3日朝、ソムチャイ内閣の総辞職を受けて撤収を開始、9日間にわたった空港封鎖は終結した。

 2日夜には航空貨物輸送が再開。空港当局によると、一部の国際線旅客機も4日深夜から運航を始めるが、完全復旧まで約2週間かかるとみており、当面は軍用空港を利用した代替輸送が続く見通しだ。

 PADは、バンコクのドンムアン空港からも撤収を開始した。有力指導者のチャムロン元バンコク知事は3日朝、スワンナプーム空港で「我々は政権打倒を実現した」と語り、支持者らと握手を交わした。PAD幹部は完全撤収後、警察に出頭するという。

 約5000人がテントを設営し、電子レンジやテレビ、ペットまで持ち込んで寝泊まりしていたスワンナプーム空港のロビーは、食べ物などが散乱して異臭が漂っていた。PAD支持者らは、「正義は勝った」などと叫びながら清掃をし、バスなどで空港を後にした。飲食店員のアンチャリー・サラサワットさん(33)は「新しい政府がだめなら、また空港を占拠する」と語った。

 空港当局は、空港施設の点検・整備などのため15日までスワンナプーム空港を閉鎖する必要があるとしているが、関係者は「1日2億~3億バーツ(約5億~8億円)の損失が出る。可能なフライトはすぐにも再開させたい」と話している。

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「あり得ない」はありえない ル・モンド・ディブロマティークの記事より

 下の『ル・モンド・ディブロマティーク』最新号の記事は、なかなかいかしている。

 自由主義的ブルジョアジーには、「「あり得ない」はあり得ない」。そんな肥大妄想をたしなめるかのように、レーガンやサッチャーの経済学上の師であるハイエクは、1949年に、「真の自由主義者が社会主義者の成功から引き出すべき最大の教訓は、ごく最近までまったくあり得ないと思われていたことを日に日に可能とするような(・・・)、夢想家たる勇気である」と、社会主義者の勝利を認めた上で、社会主義者から、「夢想家たる勇気」を学ぶべきだと言った。それこそ、真の自由主義者だと。

 新自由主義経済学者のフリードマンは、ハイエク流の真の自由主義者たらんとして、自由主義者にかけているのは、夢だというようなことを述べたことがある。自由、それは、万能の神に近づくことだ。個人に許される自由は、政府によって極力妨げられないようにすべきだ。ウルトラ自由主義者は、必要悪としての国家の役割を治安と外交の二つだけに止めようとした。

 しかし、現実の世界は、規制された表の世界と自由な裏の世界に分かれていて、まるで、密教のいう顕教と密教の二つの世界が存在しているみたいだ。表があれば裏がある。経済学者が一般に経済法則と称しているものは、顕教の論理にすぎず、密教の奥義ではないというわけだ。密教の世界では、一握りの大金者たちが、思うがままに、まるで全能の神のように自由に振る舞っていて、表の世界から富を吸い出しては、それを自在に世界中に動かし、表からさらなる富を吸い出すために、表の世界に投げ出す。そんなかれらの自由のために、密教が顕教を飲み込もうとしている。それが、新自由主義というものだったのではないだろうか? 

 フリードマン氏は、「なーに、金が必要なら、輪転機を回して印刷して、ヘリコプターで空からまけばいいのさ」と言い、あるいは、別の新自由主義者は、「みんな合理的期待に従っているのだから、経済を予想したり、コントロールしたりするのは簡単だ」と言い、ゲーム理論家は、「ゲーム・プレイヤーは、パブロフの犬みたいに、決まったことしかしないのさ」と言い、という有様で、おまけに、90年代には、ニューエコノミー派経済学者は、もう恐慌は起きないで、アメリカの経済的繁栄は永久に続くとまでのたまわった。

 こんな悪ふざけの言葉が、学者の口から次々と飛び出してきたわけである。ハイエクは、社会主義から学ぶつもりなら、謙虚に学ぶことを付け加えて言うべきだったろう。彼の弟子たちは、夢想家であることを越えて、おごり高ぶり、傲慢になりすぎ、そして、自ら墓穴を掘ってしまった。かれらが、人々の信用を取り戻すのはたいへん困難であろう。「「あり得ない」はあり得ない」ではなく、「あり得ない」のである。

 自民党は、予算のシーリングを当面解除して、財政支出拡大に乗り出すことを決めた。同じように、イギリスもアメリカもドイツも、すっかり自由主義者から、カッコ付き「社会主義者」に転身したかのように、経済過程に介入を積極的に行っている。少なくとも政府は、まるで、ハイエクの言うのとは別の意味で、社会主義者から学んでいるかのようである。

 

『ル・モンド・ディプロマティーク』008年11月26日発行のメール版

「あり得ない」はあり得ない
セルジュ・アリミ(Serge Halimi)
ル・モンド・ディプロマティーク編集総長
訳:日本語版編集部

 というわけで、何だって可能だ。国家が大規模な金融介入を行い、欧州では財政安定協定のしばりが失念される。喫緊の景気回復を求める声に中央銀行は屈服し、タックス・ヘイブン(租税回避地)が危険視される。何だって可能だ、銀行を救済しなければならない以上。

 過去30年にわたり、たとえば一般大衆の暮らしを改善するために、経済自由主義秩序の基本部分に何らかの改変が必要ではないかと言い出してみても、いつも似たような答えが返されるだけだった。何をまた古くさいこと言ってるんだ。グローバリゼーションが我々の掟だぞ。国庫は空っぽさ。市場が受け入れるわけないよ。ベルリンの壁が崩れたのを分かってるのかい、といった類のことだ。過去30年にわたり、「改革」が実施されてきた。ただしそれは、別の意味でのこと。保守革命という意味でなら「改革」だ。公共財のうち、金融にくれてやる部分はますます分厚くて、旨みたっぷりのものになる。たとえば民営化され、株主のために「価値を創造する」キャッシュ・マシーンに変えられた公共サービスが一例だ。貿易自由化という意味でなら「改革」だ。賃金と社会保障が攻撃され、何千万もの人々が借金を強いられる。そうしないと購買力をキープできないからだ。何千万もの人々が株や保険への「投資」を強いられる。そうしないと教育費をまかない、病気に備え、老後を準備することができないからだ。要するに、賃金が切り詰められ、社会保障が切り崩されたことが、金融の肥大を生み落とし、それを強化してきたのだ。リスクが作り出され、自分の身は自分で守るようにと促された。投機バブルがものすごい勢いで住宅を襲い、住宅を投資に変えてしまった。このバブルには間断なく、市場思考イデオロギーというヘリウム・ガスが充填された。そして人々の心持ちは一変した。個人主義を強め、計算高くなり、連帯感を細らせた。というわけだから、2008年の暴落は、不具合として片付けられるシロモノではない。「綱紀粛正」に努めるとか、「行き過ぎ」を止めるとか、そんな付け焼刃で直るものではない。システム全体が地に落ちたのである。

 願わくば、それを起こし、取り繕い、つや出ししようという人々が、地に落ちたシステムの周りに駆け付けている。そうすれば、明日にはまた社会を絞め上げることができるようになるだろう。経済自由主義の(しょうもない)結果に憤るふりをしている医者たちは、かつてこのシステムに、金額を気にせず散財できるという秘薬を処方したのと同じ人間である。予算や規制、税制やイデオロギーといった薬だ。彼らはおのれの至らなさを自覚してしかるべきだが、政治とメディアを総動員すれば、無罪放免になることを知り抜いている。財務相時代に真っ先に手がけたのがイングランド銀行に「独立性」を与えることだったブラウン英首相。「競争」しか頭にないバローゾ欧州委員長。「最大納税額」や日曜出勤、郵政公社の民営化をお膳立てしたサルコジ仏大統領。この3人が資本主義を「建て直そう」と躍起になっているらしい。

 そんな厚かましい真似ができるのも、不可思議な欠落があるせいだ。左派はいったいどこにいるのか。オフィシャルな左派ならいる。経済自由主義に付き従ってきた左派ならいる。民主党のクリントン米大統領の下では、金融の規制緩和を実施した。ミッテラン仏大統領の時には賃金の物価スライド制を見直し、後のジョスパン首相、ストロス=カーン大臣の時には民営化を推し進めた。シュレーダー独首相の際には、失業手当に大なたを振るった。こういう左派が、自分にも責任のある「危機」の早期終息を目指すしか能がないのも当然である。

 それはそうとして、他の左派はどこにいるのか。こんな御時世でも、つつましやかな構想の煤払いをする程度のことで満足していられるのか。トービン税、最低賃金の引き上げ、「新たなブレトン・ウッズ体制」、風力発電基地といった構想は、有用ではあるにしろ、あまりに弱気ではないだろうか。ケインズ主義が長く続いていた時代に、自由主義右派は考えられないことを考えてのけ、一大危機に乗じてそれを強行した。レーガン米大統領とサッチャー英首相を生み落とした流派の知恵袋だったフリードリヒ・ハイエクが、自由主義右派にこう説いたのは、1949年の昔にさかのぼる。「真の自由主義者が社会主義者の成功から引き出すべき最大の教訓は、ごく最近までまったくあり得ないと思われていたことを日に日に可能とするような(・・・)、夢想家たる勇気である」

 さて、システムの中核たる自由貿易への疑問を、誰が提起してくれるのか(1)。そいつは「夢想家」だろうか、銀行の話となれば何だって可能となった今日においても?

    * (1) 経済学の「ノーベル賞」をとったウルトラ自由派のゲーリー・ベッカーは、1993年8月に、こんなふうに説いていた。「先進国の大部分では、労働法と環境保護が行き過ぎている。自由貿易により、それぞれが途上国からの輸入品との競合を余儀なくされる状態に留め置かれれば、そうした行き過ぎの一部は抑えられるようになる」

(ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電子版2008年11月号)

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田母神前空爆長発言によせて

 また田母神前空幕長が、物議を醸すことを言った。

 「「白人国家がアジアを侵略したことはそっちのけだ」などと第二次大戦の戦勝国による歴史観の定着に危機感を示した」とおっしゃる。一体誰が、そうしてきたのか? 歴代の自民党政権であり、政府である。それを、藤岡信勝ら、歴史修正主義者たちは、左翼による洗脳だと、左翼批判にすり替えた。左翼にもいろいろあるが、それでも、アメリカによる原爆投下を非難・批判してきたところが多い。原爆被害者たちは、自ら、報復の論理をとらず、戦争を起こした日本国家の責任追及を行ったのである。それは戦争を望まないという被爆者の気持ちによるものであった。それが、歴史認識にまで波及したというのは、歴史修正主義者がでっち上げた嘘である。

 白人国家がアジアを侵略したことを歴史認識として繰り返し言ってきたのは、全部ではないにしても、明らかに左翼の方であって、しかも、現在のアメリカの侵略に対しても反対してきている。では、歴史修正主義者は、イラク侵略に反対しただろうか? そうしたのは、新右翼などごく一部である。自由主義史観派は、これが侵略であることを指摘すらしていない。それは、かれらが、侵略は大国の当然の行為ということを基本的な考えとしていて、侵略を悪として裁くことに反対しているからである。

 そして、彼は、「今まで言わなかった結果、摩擦が生じ、将来はもっと大きくなる。互いに意見を言って仲良くなった方が密接な関係ができる」と述べている。こんな一般論は、役に立たない。こうなるには、条件がいる。歴史事実を共有することは、そういう条件の一つである。過去の日帝の韓国併合は、侵略だったのかどうか、それを、国際法の法律談義だの形式主義的な定義をあれこれいじくりまわしたところで、判定することはできない。侵略するつもりがなかったから侵略ではなかったとするのは、侵略を主観的意図という観念で計るものである。欧米列強に追い込まれたというなら、それなら最初から欧米に向かって闘うべきなのにどうしてそうしなかったのかという疑問がある。むしろ、戦前の日本は、欧米のまねをしようとしていた。白人国家が侵略しているのだから、そのまねをして、日本が侵略して植民地を持つのは当然だと考えたわけである。そこで、白人国家のまねではなく、日本独自の道を歩むということができなかったのはなぜか? どうしてもそういう疑問が起こる。やむを得なかったと言うのは、思考放棄になる。

 田母神前空爆長は、思考停止している。まず、なぜ、歴史認識問題がいつまでもつきまとうのかを理解していない。自分たちが、他人の足を踏んだ方であるということをかたくなに認めようとしていない。だから、「普通の国のように軍を使うことができないのは歴史認識の問題」と言うのだ。自衛隊は、普通の国のように使うことは出来なくても、自衛のために使うことが出来るようになっている。もし、普通の国がアメリカを指すとすれば、アメリカのように侵略のために軍を使うこともそれに入るのだろうか? この場合は、アメリカの侵略を批判すべきだ。やるべきことをやらず、言うべきことを言わないで、普通の国なる抽象的な基準から、歴史認識を判定し、批判し、それに責任を押しつけるのは、無責任である。

 「どんな国家にも光と影があり、触られたくない歴史がある。原爆を落とされたとか日本からは(米国に対し)言うべきではないが、言われたのなら言い返すべきだろう」

 これは、そのことを見事に表している。お互い傷をかばい合いましょうということである。アメリカ人の間では、原爆投下を当然とする世論が強く、人々はそういう歴史認識を強く持っている。アメリカはそれに触れられたくないわけではなく、堂々と自信を持って、正義と信じているのである。それは間違った正義であり、それを正そうという運動が地道に取り組まれている。それをやっている中には、左翼もいる。そんなことを、田母神らはやったことがあるか? ないはずだ。

 自衛隊の幹部がこんな有様なら、防衛省も防衛省で、事態が発覚してからの対応は、お粗末である。彼は、防衛省が求める退職金の返還を拒否し続けたままである。ぼろぼろと問題発言が出てくる麻生総理同様、防衛省もがたついてきたのであろうか?

 

田母神前空幕長:外国特派員協会で持論強調(『毎日新聞』2008年12月1日)

 政府見解と異なる文書を懸賞論文に公表し更迭された田母神(たもがみ)俊雄前航空幕僚長(60)が1日、日本外国特派員協会で講演し「普通の国のように軍を使うことができないのは歴史認識の問題」と従来の考え方を繰り返し強調した。「(核保有を)議論するだけで(核)抑止力が向上する」などと国内外での「本音の安全保障論議」の必要性を訴えた。

 「危険人物の田母神です」とユーモアを交えつつ講演を始めた田母神氏だが、本題では「白人国家がアジアを侵略したことはそっちのけだ」などと第二次大戦の戦勝国による歴史観の定着に危機感を示した。統幕学校長として4年前、親善訪問の場で、日本の侵略の歴史を話し続ける中国軍幹部を遮り、日本の立場を擁護する発言をしたと発言。「どんな国家にも光と影があり、触られたくない歴史がある。原爆を落とされたとか日本からは(米国に対し)言うべきではないが、言われたのなら言い返すべきだろう」と述べた。

 また核保有国に従属せざるを得ないのに、核武装論議すらタブー視してきた現状の安全保障論議に不満を表明。「戦中の指揮官で核兵器を保有していたらどうしたか」との質問には「(連合国側に)落としたかと言われると、やられればやるのではないかと思います」と述べた。「中韓と国際協調が必要な現状では国益に反しないか」との問いには「今まで言わなかった結果、摩擦が生じ、将来はもっと大きくなる。互いに意見を言って仲良くなった方が密接な関係ができる」と応じた。【本多健】

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