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アメリカ現代思想理解のために(28)

 ロールズは、『正義論』において、原初状態における「正義」の原理を示した。

  • 第一原理:各人は、他の人々の同様な自由の図式と両立する平等な基本的自由の最も汎な図式に対する平等な権利をもつべきである。

  • 第二原理:社会的、経済的不平等は、それらが(a)あらゆる人に有利になると合理的に期待して、(b)全ての人に開かれている地位や職業に付随する、といったように取り決められているべきである。(矢島釣次監訳『正義論』、紀伊國屋書店、1975年、47頁)(93~4頁)

 ロールズの「公正な正義」の第一原理は、形式的な自由のリストの適用の平等な権利を規定したもので、社会契約と言いつつも、カントの定言命令的な言い方で、平等な権利を規定している。原初状態の想定は、このような抽象度を持って、普遍的規則という性格を表象しようとしたものと思われる。自由のカテゴリー表とでも言いたくなるような表現である。この原初状態では、自由のリストはが、列挙されていないので、これについては、抽象的に判断することができるだけである。仲正氏は、これなら、ほとんどの人が同意するだろうし、ハイエクやフリードマンのような古典的自由主義者ともリベラルとも一致するだろうと言う。このような形式論については、しかし、賛成しようが反対しようが、あまり大したことにはならないだろう。人々のそれぞれの自由の権利が他者の自由と権利に触れたときに、問題が発生するのであり、それについて、第一原理は、権利の平等というかたちでしか答えていない。自由の範囲や中身が問題になるのである。

 それに対して、第二原理には、合理的期待、特権の排除などが盛り込まれている。それから、あらゆる人に有利になるという、「最大多数の最大幸福」的な原理を掲げている。それは、合理的に期待されるものとされている。いずれにしても、まずは、原理のこの部分は、特定の心理を経済的不平等の基準に据えているのは明らかである。社会が、経済格差をどこまで許容するかということを、心理によって判定しようというのである。

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