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2009年9月

アフガニスタン増派要求の高まりなど、国際政治についての雑感

 現在、G20金融サミットや国連総会出席などのために、鳩山首相は、アメリカを訪れている。

 そのアメリカをめぐって、オバマ政権のアフガン駐留司令官が、対テロ戦争の最前線を移したアフガニスタンで、このままではアメリカ軍がタリバンに敗北するという悲観的な見通しを示したことが明らかになった。

 国連に世界各国の首脳が集まってくるタイミングで、テロを準備していたとして、イスラム系アメリカ人数名が米国内で治安当局によって拘束された。

 他方で、オバマ政権は、東アジア外交では、ブッシュ政権時に途絶えた「6カ国協議」の再開を提示したり、クリントン国務長官が、ビルマとの対話を開始することを表明するなど、アラブ・イスラム世界以外の地域での外交摩擦の軽減に努める姿勢を明確にした。

 その一方では、国連では、リビアのカダフィ大佐が、安保理常任理事会を、戦争家の集まりと非難したり、イラン大統領のイスラエル非難演説の際に、欧米各国代表が退席したりと摩擦も生じている。

 リーマンブラザーズの破綻に端を発した金融恐慌の衝撃は、なんとか、国際協調での各国政府と国際機関のなりふりかまわぬ経済救済策の効果が出て、安定化しつつある。金融恐慌の震源地アメリカでは、オバマ政権が、巨額の赤字国債発行で、ひねり出した財政資金を惜しげもなくばらまき、あるいは、住宅減税や自動車減税などの消費刺激策を取るなどして、ようやく、プラス成長に転じる見通しとなった。しかし、失業率は、10%超まで行ってピークとなると予想されている。

 他方、アフガン戦費やイラク戦費は巨額に上っている。直接の戦費に加えて、兵器に使用される電子機器や電子部品、ハリバートンのように、戦地での警備や雑用の類を請け負う民間会社の需要、NATO加盟を狙うグルジアのような国に、イスラエル経由で売却される武器、それにアメリカ製兵器で武装しているNATOはもちろん日本の自衛隊向けの軍需もある。自前の兵器で武装できる国は、アメリカ、ロシア、フランス、中国など、限られている。日本は技術的には自前武装は可能だが、自己規制している。しかし、アメリカ軍のハイテク部品には日本製のものが結構使われている。例えば、ピンポイント攻撃のミサイルの先端についている高感度カメラは、ソニー製だ。関連して言えば、軍事費には、日本政府が支出している「思いやり予算」などの民生関連費もある。それから、兵站もある。それと、軍事力は、生産力全体と密接に関連しているということも忘れてはならない。その水準を基礎にして、軍事力が作られるからである。例えば、高速増殖炉ができれば、プルトニウムが生産され、、それが核爆弾製造に転用される。人工衛星を打ち上げ、コントロールできる技術があれば、大陸間弾道弾を飛ばすことができる。ドイツが原発を持たないのは、核武装しないという意思表示だ。一方では、ドイツは、フランスの原発で発電された電気を買っているのである。そんなドイツで、緑の党などの反原発派が強いのは当たり前で、別にたいしたもんじゃないのである。

 ドイツの自動車メーカー大手のダイムラー・ベンツは、第二次大戦で、ヨーロッパ最強と言われたフランス陸軍が守る防御線、マジノ・ラインを、あっさりと突破し、迂回して背後から攻撃したドイツ機甲師団の車両を開発・生産した。当時最強と言われたパンター戦車の基本技術を開発したのは、ポルシェ博士である。フランス伝統の歩兵戦術は、ドイツが開発した高速走行車両兵器による新戦術の前に、ひとたまりもなく敗れた。同じことは、日本のノモンハン攻撃、対ソ戦での惨敗でも言える。それは、独ソ戦でも、ドイツ製パンター戦車(T6)対ソ連製T34戦車、北アフリカ戦線での、ドイツのティーガー戦車(T3、T4など)対アメリカのM4シャーマン戦車というかたちでも示された。アメリカのM4シャーマン戦車にディーゼルエンジンを提供したのは、ゼネラル・モータース(GM)である。この時、イギリス製の戦車は、奥深く迂回して背後から攻めるロンメル機甲軍団の格好の餌食になった。しかし、戦時統制経済体制をとって、技術、資源、労働力、資本を軍需に結び付けて、総動員体制を築いた上で開発した兵器を大量生産して、満を持して投入した米軍の圧倒的物量戦の前に、北アフリカ戦線のドイツ軍はひとたまりもなかったのである。独ソ戦の場合は、ドイツは次々と開発した新型兵器を次々と投入して、当初、優勢に立ったが、ウラル山脈以東に兵器工場を移転して備えていたソ連軍は、ドイツ軍の伸びきった兵站の弱点が明らかになるにつれて、攻勢に転じたのである。

 米独戦においては、ドイツが、Uボートによる海上輸送の妨害、制海権の制圧を行なったのに対して、アメリカは、航空機による制空権の制圧、そして、無線傍受、暗号解読技術、レーダーなどの情報戦での技術において、ドイツを圧倒した。

 しかし、戦争の勝敗が、こうした生産力の水準だけでは決まらないことは、歴史上の具体的な戦争の歴史が証明しているとおりである。例えば、第二次大戦の北アフリカ戦線では、アラブの石油資源の戦略的重要性を認識したイギリス軍が、大量の部隊を派遣して、対イタリア戦を進め、イタリア軍は大敗を喫して追い出される寸前まで行ったところで、ヒトラーは、ロンメル将軍を派遣した。砂漠の狐と呼ばれたロンメル将軍に対して、ヒトラーは、対ソ戦に全精力を傾け、北アフリカ戦線を軽視して、旧式のT3号戦車やT4号戦車や、わずか2個師団の兵力しかよこさなかったが、彼は、それを数倍する敵を次々と撃破し、あっというまに、エジプトのエル・アラメインに迫った。ここで、イギリスは、アメリカの参戦、レンダリース法(武器貸与法)による武器供給とモンゴメリー将軍指揮下の米軍の大量投入を得て、ようやくロンメル軍団を撃破することが出来たのである。

 ロンメル軍団は、武器、兵士、食糧・物資の兵站が、常に不足する状態で戦わざるを得なかった。そこで、ロンメル将軍は、敵の兵器を奪って使うというゲリラ戦法を使ったり、88ミリ高射砲を水平撃ちにして、対戦車砲とするなどして、劣勢を跳ね返した。敵も尊敬したロンメル将軍は、中産階級出身で、もともと技術者を目指した人物である。部隊の先頭で、装甲車などに乗って、最前線で指揮をとった。ロンメル軍団兵士は、この将軍を愛し、誇りを持って戦い、士気が高く、苦楽を共にし、よく耐えたのである。有名なエピソードの一つに、ロンメルは、戦闘後、イギリス軍の兵士が落としたイギリス軍のゴーグルを着けていたという話がある。敵の武器を奪ってそれを敵に向けるというゲリラ戦術を、このドイツ軍の正規軍の最高司令官の一人が、採用したことを、そのゴーグルが無言で示したのである。なお、彼は、大戦末期、ヒトラー暗殺未遂事件に連座したとして、服毒自殺を強要され、52年の生涯を閉じた。ナチス政府はそれを戦傷による死亡といつわって発表した。彼は、イギリスの首相チャーチルから、「ナポレオン以来の戦術家」と評された。彼は、ナチス党員にはならなかった。彼の日記の「ロンメル戦記」には、上層部への批判や不満がいっぱいつづられている。

 戦争が、結局は、政治ということになるというのは、すでに、中国の春秋戦国時代の兵法家の孫子も指摘している。孫子は、自国内の民が内政に満足し、統治者を心から支持しているかどうかも、他国との戦争に勝つための条件に入れている。現代では、例えば、イラクの場合、今は、ただ、大幅増派した米軍の数で、圧倒しているにすぎず、ただ、ふたをして、表面上の平和が保たれているに過ぎないから、これを戦争に勝った状態とは言えないのである。それは、イスラエルの圧倒的軍事力の下で、押さえつけられているパレスチナ人の場合もそうだ。パレスチナ人が、イスラエルの支配からの解放を求めていることは、去年暮れのイスラエル軍のガザ侵攻に抵抗し、それと闘ったことで明らかだ。アメリカは、アフガニスタンで、タリバンを倒した解放者として、アフガン人の多数が、アメリカ人を尊敬するようになるとでも思い上がったのかもしれない。しかし、それは甘かったということだ。アメリカはもはや世界標準ではないのだ。アメリカを真似しても別にいいこともないということが、この間、明らかになったのである。

 今、アメリカは、世界に対して腰を低くして、商売に精を出さないといけない状態なのである。赤字国債も買ってもらわないといけないし。アメリカ連邦準備理事会は、出口戦略として、長期国債買取を来年3月で打ち切ることを発表した。しかし、事実上のゼロ金利政策はそのまま続けるという。G20金融サミットが、どんな対策を打ち出すかも、その行方に影響を与えるだろう。しかし、世界経済は、戦後初めて縮小したのだし、アメリカは、マイナス成長で、経済規模が絶対的に縮小したのだから、それを取り戻すのは短期間では不可能だ。成長と後退を繰り返す19世紀のような資本主義経済になったということなのだろうか。

 

増派がなければ1年以内にタリバンに敗北、アフガン駐留米軍司令官

【9月22日 AFP】米ワシントン・ポスト(Washington Post)紙は21日、アフガニスタン駐留米軍のスタンリー・マクリスタル(Stanley McChrystal)司令官が、8年に及ぶイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)との戦闘についての非公開の評価報告書のなかで、「さらなる増派を行わなければ1年以内に敗北する可能性がある」とバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領に警告していると報じた。

 全66ページの報告書は、前月30日にロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官に提出され、ホワイトハウス(White House)が現在精査している。同紙が入手した報告書には、「新しい戦略が必要」「アフガニスタンの防衛能力が成熟したとしても、今後1年以内に戦闘のイニシアチブをとれず武装勢力の勢いを止めることができなければ、勝利の見込みが全くなくなってしまう危険性がある」などと書かれている。

 さらに、「人的資源が極端に足りない状態が現在も続いており、このことは、戦闘の長期化、犠牲者数の増加、コストの増大、そして究極的には政治的支援の欠如を招く。どのリスクをとっても、ミッションの失敗は免れないだろう」と強調している。

 北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organisation、NATO)主導の国際治安支援部隊(International Security Assistance Force、ISAF)司令官も兼務するマクリスタル司令官は、米政府に6万2000人規模の増派を公式に求めると見られている。(c)AFP

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鳩山連立政権成立

 総選挙から早くも半月がたち、鳩山連立政権が成立した。

 連立政権合意もでき、福島社民党党首の環境大臣、亀井国民党党首の郵政民営化担当大臣、国家戦略局担当管直人、外相岡田、などの閣僚人事も決まった。

 「脱官僚」は、連立政権の基本理念であり、その具体化として、事務次官会議の廃止がほぼ確実となっている。その他、連立合意の内容を見ると、「脱官僚」策がいくつか並んでおり、それらがほんとうに実現されれば、官僚の力が弱まるだろう。しかし、それには、まだ、支持率調査がないが、そこで、多数の人々の支持という圧力が必要となるだろう。

 連立合意は冒頭で、「国民は今回の総選挙で、新しい政権を求める歴史的審判を下した。その選択は、長きにわたり既得権益構造の上に座り、官僚支配を許してきた自民党政治を根底から転換し、政策を根本から改めることを求めるものである」と選挙結果を評価しているが、それは、必ずしも、人々の間から明確な声として聞こえてこないからである。

 むしろ、この間、景気悪化や相次ぐ負担増大に対して、「生活第一」という民主党の掲げたスローガンが、人々の期待を生んだのではないかと思われる。その文脈で言えば、この間の自民党政権が、官僚の利権を放置して、痛みを人々に押し付けたことに対して、もはや人々が堪え切れなくなったということが、政権交代を求めた理由であるように思われる。

 その点から言えば、民主党の経済政策は、アメリカのオバマ政権の景気対策に比べて、規模があまりにも小さすぎる。

 事実上、官僚が予算を作っているので、それを政治主導に変えるとなると、まずは、この間、財政再建路線を推進してきた財務省の改革が必要になる。そこで、誰が財務大臣に起用されるのかということが注目される。それから、厚生労働省は、連立合意が、福祉・労働政策を重視しているという点から言えば、すでに言われているように、厚生省と労働省に分離する必要があろう。

 外交的には、自主外交を掲げているが、もともと岡田は、田中角栄の流れを組む経世会に属していたから、対中政策が変化する可能性がある。外交的には、今月下旬に、G20金融サミット、国連総会、がある。そして、日米首脳会談がある。

 どうするの? という感じだ。

  民主・社民・国民新3党連立合意の全文(2009年9月9日朝日)

 【三党連立政権合意書】

 民主党、社会民主党、国民新党の三党は、第45回衆議院総選挙で国民が示した政権交代の審判を受け、新しい連立政権を樹立することとし、その発足に当たり、次の通り合意した。

 1 三党連立政権は、政権交代という民意に従い、国民の負託に応えることを確認する。

 2 三党は、連立政権樹立に当たり、別紙の政策合意に至ったことを確認する。

 3 調整が必要な政策は、三党党首クラスによる基本政策閣僚委員会において議論し、その結果を閣議に諮り、決していくことを確認する。

 【連立政権樹立に当たっての政策合意】

 国民は今回の総選挙で、新しい政権を求める歴史的審判を下した。その選択は、長きにわたり既得権益構造の上に座り、官僚支配を許してきた自民党政治を根底から転換し、政策を根本から改めることを求めるものである。

 民主党、社会民主党、国民新党は連立政権樹立に当たって、2009年8月14日の「衆議院選挙に当たっての共通政策」を踏まえ、以下の実施に全力を傾注していくことを確認する。

 小泉内閣が主導した競争至上主義の経済政策をはじめとした相次ぐ自公政権の失政によって、国民生活、地域経済は疲弊し、雇用不安が増大し、社会保障・教育のセーフティーネットはほころびを露呈している。

 国民からの負託は、税金のムダづかいを一掃し、国民生活を支援することを通じ、我が国の経済社会の安定と成長を促す政策の実施にある。

 連立政権は、家計に対する支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげる。また中小企業、農業など地域を支える経済基盤を強化し、年金・医療・介護など社会保障制度や雇用制度を信頼できる、持続可能な制度へと組み替えていく。さらに地球温暖化対策として、低炭素社会構築のための社会制度の改革、新産業の育成等を進め、雇用の確保を図る。こうした施策を展開することによって、日本経済を内需主導の経済へと転換を図り、安定した経済成長を実現し、国民生活の立て直しを図っていく。
1、速やかなインフルエンザ対策、災害対策、緊急雇用対策

 当面する懸案事項であるインフルエンザ対策について、予防、感染拡大防止、治療について、国民に情報を開示しつつ、強力に推し進める▽各地の豪雨被害、地震被害、また天候不順による被害に対し速やかに対応する▽深刻化する雇用情勢を踏まえ、速やかに緊急雇用対策を検討する。

 2、消費税率の据え置き

 現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない。

 3、郵政事業の抜本的見直し

 国民生活を確保し、地域社会を活性化すること等を目的に、郵政事業の抜本的な見直しに取り組む。「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式売却を凍結する法律を速やかに成立させる。日本郵政グループ各社のサービスと経営の実態を精査し、「郵政事業の4分社化」を見直し、郵便局のサービスを全国あまねく公平にかつ利用者本位の簡便な方法で利用できる仕組みを再構築する。

 郵便局で郵便、貯金、保険の一体的なサービスが受けられるようにする。株式保有を含む日本郵政グループ各社のあり方を検討し、国民の利便性を高める▽上記を踏まえ、郵政事業の抜本見直しの具体策を協議し、郵政改革基本法案を速やかに作成し、その成立を図る。

 4、子育て、仕事と家庭の両立への支援

 安心して子どもを産み、育て、さらに仕事と家庭を両立させることができる環境を整備する▽出産の経済的負担を軽減し、「子ども手当(仮称)」を創設する。保育所の増設を図り、質の高い保育の確保、待機児童の解消につとめる。学童保育についても拡充を図る▽「子どもの貧困」解消を図り、2009年度に廃止された生活保護の母子加算を復活する。母子家庭と同様に、父子家庭にも児童扶養手当を支給する▽高校教育を実質無償化する。

5、年金・医療・介護など社会保障制度の充実

 「社会保障費の自然増を年2200億円抑制する」との「経済財政運営の基本方針」(骨太方針)は廃止する▽「消えた年金」「消された年金」問題の解決に集中的に取り組みつつ、国民が信頼できる、一元的で公平な年金制度を確立する。「所得比例年金」「最低保障年金」を組み合わせることで、低年金、無年金問題を解決し、転職にも対応できる制度とする▽後期高齢者医療制度は廃止し、医療制度に対する国民の信頼を高め、国民皆保険を守る。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する。医療費(GDP〈国内総生産〉比)の先進国(OECD〈経済協力開発機構〉)並みの確保を目指す▽介護労働者の待遇改善で人材を確保し、安心できる介護制度を確立する▽「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくる。

 6、雇用対策の強化―労働者派遣法の抜本改正

 「日雇い派遣」「スポット派遣」の禁止のみならず、「登録型派遣」は原則禁止して安定した雇用とする。製造業派遣も原則的に禁止する。違法派遣の場合の「直接雇用みなし制度」の創設、マージン率の情報公開など、「派遣業法」から「派遣労働者保護法」にあらためる▽職業訓練期間中に手当を支給する「求職者支援制度」を創設する▽雇用保険のすべての労働者への適用、最低賃金の引き上げを進める▽男・女、正規・非正規間の均等待遇の実現を図る。

 7、地域の活性化

 国と地方の協議を法制化し、地方の声、現場の声を聞きながら、国と地方の役割を見直し、地方に権限を大幅に移譲する▽地方が自由に使えるお金を増やし、自治体が地域のニーズに適切に応えられるようにする▽生産に要する費用と販売価格との差額を基本とする戸別所得補償制度を販売農業者に対して実施し、農業を再生させる▽中小企業に対する支援を強化し、大企業による下請けいじめなど不公正な取引を禁止するための法整備、政府系金融機関による貸付制度や信用保証制度の拡充を図る▽中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」を成立させ、貸し付け債務の返済期限の延長、貸し付けの条件の変更を可能とする。個人の住宅ローンに関しても、返済期限の延長、貸し付け条件の変更を可能とする。

8、地球温暖化対策の推進

 温暖化ガス抑制の国際的枠組みに主要排出国の参加を求め、政府の中期目標を見直し、国際社会で日本の役割を果たす▽低炭素社会構築を国家戦略に組み込み、地球温暖化対策の基本法の速やかな制定を図る▽国内の地球温暖化対策を推進し、環境技術の研究開発・実用化を進め、既存技術を含めてその技術の普及を図るための仕組みを創設し、雇用を創出する新産業として育成を図る▽新エネルギーの開発・普及、省エネルギー推進等に、幅広い国民参加のもとで積極的に取り組む。

 9、自立した外交で、世界に貢献

 国際社会におけるわが国の役割を改めて認識し、主体的な国際貢献策を明らかにしつつ、世界の国々と協調しながら国際貢献を進めていく。個別的には、国連平和維持活動、災害時における国際協力活動、地球温暖化・生物多様性などの環境外交、貿易投資の自由化、感染症対策などで主体的役割を果たす▽主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。日米協力の推進によって未来志向の関係を築くことで、より強固な相互の信頼を醸成しつつ、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む▽中国、韓国をはじめ、アジア・太平洋地域の信頼関係と協力体制を確立し、東アジア共同体(仮称)の構築をめざす▽国際的な協調体制のもと、北朝鮮による核兵器やミサイルの開発をやめさせ、拉致問題の解決に全力をあげる▽包括的核実験禁止条約の早期発効、兵器用核分裂性物質生産禁止条約の早期実現に取り組み、核拡散防止条約再検討会議において主導的な役割を果たすなど、核軍縮・核兵器廃絶の先頭に立つ▽テロの温床を除去するために、アフガニスタンの実態を踏まえた支援策を検討し、「貧困の根絶」と「国家の再建」に主体的役割を果たす。

 10、憲法

 唯一の被爆国として、日本国憲法の「平和主義」をはじめ「国民主権」「基本的人権の尊重」の三原則の遵守(じゅんしゅ)を確認するとともに、憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる。

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総選挙雑感

 総選挙の結果で、経済的にまず影響が出たのは、円高の進行である。日本経済全体は明らかに、この間の政府の景気対策の効果がある程度出て、経済指標を見る限りでは、下げ止まりつつある。雇用情勢は悪化しているが、それは、他の経済指標に比べて、効果が及ぶのが遅れるからである。しかし、この間の大幅な経済規模の縮小の影響で、以前より縮小した規模での均衡、つまり、縮小均衡になることは明らかだから、絶対的に雇用規模は小さくなるだろう。それに対して、民主党は、日雇い派遣の禁止と派遣業種の縮小を政策として掲げている。しかし、それでも、請負、アルバイト・パートなどの有期雇用は残されるし、その場合でも、正社員の雇用はそれほど増大しないだろうし、それと、福祉制度がリンクしているので、これらはトータルに組み立てないと、有効に人々の生活を向上させるようなものにはならないだろう。特に、福祉制度は、これだけ、ぼろぼろになってしまっては、再建するのは困難である。一つには、大企業が、この間、社会に対して責任を果たすそうとせず、企業利益の増大を第一目標として、多国籍化し、海外に展開してきたということがある。そこで、企業の海外移転、国内産業空洞化を防ぐという名目で、企業の税負担は減らされてきたし、企業福祉の後退を容認し推進してきたのが自民党政府の政策である。

 それに対して、民主党がどれだけの政策を持っているかと言えば、それほどでもない。官僚は、そのまま残っているので、かれらは政策決定の主導権を簡単には引き渡そうとはしないだろう。しかし、それでも、三権分立の建前があり、さらに、憲法は、三権の中でも、立法権を最高権力と規定しているので、こうした法規定を縦にして、それと一応、闘うことはできるわけである。そして、それは、細川-羽田政権という連立の非自民政権が短命に終わったことを思えば、少なくとも、1年以上の政権持続が必要だろう。経済については、アメリカ経済はある程度持ち直しているものの、それも大規模な赤字国債を発行しての景気対策の効果であるし、雇用悪化は一服しているとはいうものの、10%弱という高い水準にある。それから、EUの経済は程度は弱まりつつあるものの、依然として悪いままだ。世界経済の成長率は戦後初めてのマイナスが予想されており、世界経済の規模が絶対的に縮小するのは戦後初めてである。この事態は、新自由主義が蔓延し世界経済の趨勢になる中で生じたのであり、グローバル化の中で発生したということが重要である。これをさらなるグローバル化によって解決しろと言う自由主義的経済学者がいるが、それは、あまりにも空想的である。まず、そうした連中は、数字に表れている現実を具体的に解明するのではなく、単に数を数式やグラフ上でいじって、それでことたれりとしてるのだ。連中は、経済体系の純粋さを守るために、政治の介入を余計なことと見なすのである。

 しかし、アダム・スミスの『国富論』をはじめ経済学の祖たちは、富を経済活動の目的として設定していたのであり、それは、人々全体の富の増進ということだった。驚くべきことに、このような経済学のイロハが、最近の経済学からは消えてしまっている。そして、政治からも消えていたのである。それに、おあえつらえむきに、現代思想においては、目的自体を否定することが解放とさえ言われていた。その思想の検証、時代的思想としての責任を追及することが必要な時代になったと言えるだろう。少なくとも、新自由主義という選択肢は消えたということは言える。

 今は、90年代ではない。そのことは、大きな物語の中で、あるいは、イデオロギーの構築の必要な時代であることを意味している。資本主義における支配的イデオロギーである実証主義、功利主義、プラグマティズムが、まさに、こうした時代の行き詰まりの中で、小さな物語の中に深く浸透し、それに対して、小さな物語が抵抗にも防壁にもなっていないからである。それは、一つには、対抗する大きな物語、抵抗を領導するイデオロギーがないからである。だから、大きな物語の浸透を対象化できず、その深みへの浸透に気づくことすら難しくなっているのである。その結果として、閉じた円環の世界の中で、地獄のような生、希望のない人生、わけもわからないまま、苦しくなるばかりの、空しさを感じる生、から抜け出せないのだ。民主党政権を大勝させた人々の、とにかく政権を交代をというような態度に示されているのに、ある種、ニヒリズムに近い心性を感じるゆえんであり、選挙分析をするテレビ・コメンテーターなどのコメントに現れた、そうした感想は、ある意味、そうでも言うほかはない、合理的な功利計算では捉えられない、あるいはその理解を超えたものが、人々の中に広まっているということである。

 西欧型社民主義を標榜するなら、政・労・資の協調体制を築く必要がある。これもまた一つの大きな物語である。それは、高福祉・高負担の道であるが、その代わり、老後の不安は少ないとか、失業の恐怖、飢えの恐怖は小さいということはある。そこにももちろん問題はある。アメリカン・ドリームのある世界ではないが、それでも安定した世界ではある。小さな物語的な相互扶助では、もはや、間に合わないほど、貧困の規模、非正規の規模は大きくなってしまった。景気は多少回復しても低成長しか望めない。富の大規模な再分配を実施しなければ、問題は深刻化するだけだろう。そして、一方では「希望は戦争だ」という声が高まり、同時に「希望は革命」という声が高まるだろう。国家独占資本主義は、社会主義の入り口であるというレーニンの言葉が、リアルに、新たに回帰するというシナリオが、一つの物語として甦ってくるということが起きつつあるとも言える。それは、新たなイデオロギーの構成、そして、新たな「我々」の構成、そして、再構成を必要としている。そうでなければ、どうして、マルクスが呼び戻されているのか、理解できないだろう。

 80年代後期から90年代初期までの、バブルの中で、その時代思想として一世を風靡したポスト・モダニズムは、今や、旧式の守旧的な思想になってしまった。これに、喪を行って、今日、そして、これからの時代の新思想を、マルクスの再帰を含めて、新たなマルクス主義イデオロギーを、大きな物語の構築として、描いていかなければならない。それが、90年代とは違う、今日の時代、この条件の中で、我々が追求しなければならないことだ。それが、「理論と実践の統一」の今日的な任務なのである。そうしないと、以下の記事に見られるロシアのように、スターリン物語への再帰を許すということになりかねないのである。

 民主党は、そうした課題を、もちろん、提起していない。福祉にも貧困にも労働に対しても、新たな理論を加えたわけではなく、したがって、その実践を革新することもない。しかし、人々は、左翼を求めたわけではないにしても、変化を求めたことは明らかである。その変化の方向は、まだ具体的でも明確ではない。何のために、何を、どのように、変化させていくのか、その核心をきちんと表現すれば、地殻変動が、下から起こるかもしれないのである。

 

ロイター調査:米失業、10年第1四半期までにピークとの見方(2009年09月5日、ロイター)

 [ニューヨーク 4日 ロイター] この日発表された8月米雇用統計を受けて、市場では、米失業が2010年第1・四半期までに天井を打つとの見方が大勢となっている。

 ロイターがプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)に行った調査によると、16社中14社が失業は10年第1・四半期中もしくはそれ以前にピークを迎えると予想。残り2社のシティグループとゴールドマン・サックスは今回の調査に回答しなかった。

 8月雇用統計は、非農業部門雇用者数が21万6000人減と、減少幅が市場予想を下回り、08年8月以来の低水準となった。一方、失業率は9.7%と26年ぶりの水準に悪化した。

 景気が短期間回復した後に再び落ち込む、いわゆる2番底に直面する確率は、平均で20%とみられている。

 米連邦準備理事会(FRB)が来年以降も政府機関債や政府機関保証のモーゲージ債

(エージェンシーMBS)の購入を続けると予想する向きは14社中11社。FRBは2010年中に利上げを開始するとの見方が大半となった。

 

ECB、ユーロ圏での二番底の可能性を除外せず=専務理事(2009年09月5日ロイター)

 [フランクフルト 4日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)のシュタルク専務理事は4日、ECBはユーロ圏が景気の二番底に直面する可能性を除外していないとの認識を示した。また、回復のペースは非常に緩やかになる見通しと述べた。 

 専務理事は記者団に対し、ECBスタッフの経済見通しが上方修正されたことについて、2009年第2・四半期の域内総生産(GDP)伸び率が予想よりも良かったことを大きく反映しており、その後の見通しはまだら模様との見方を示した。

 「非常に短期間で景気が一段と上向いた。これは今後の成長が非常に緩やかとなり、向こう数四半期にわたって成長がゼロ近辺で推移する可能性があることを意味している。若干ゼロを上回るペースで成長する四半期がある一方、1―2四半期にわたって再びマイナス成長に転じる可能性も除外できない」と話した。

 専務理事は「経済見通しについては慎重に楽観視している。予想よりも早い時期に経済成長がプラスに回復する公算が非常に大きいが、これは特に財政面での景気刺激策など一時的な要因に押し上げられたものだ」と説明。「最近見られる改善が本当に持続可能であるかどうかが大きな問題だ」と語った。

 またデフレの兆候はみられないとしたほか、インフレリスクは中期的に安定しているとの見方を示した。

 回復の歩みは遅いとの見通しは、緩和的政策の解除ペースが導入ペースよりも緩やかになる可能性を示しているかとの問いに対しては、ECBは事前にコミットしないと答えた。

 

ロシア:半世紀ぶり「スターリン礼賛」装飾 復権の動き(2009年9月5日、毎日)

 【モスクワ大前仁】モスクワ市内の地下鉄駅構内で、ソ連時代の独裁者スターリンをたたえる装飾が半世紀ぶりに登場し、議論を呼んでいる。ロシアでは最近、スターリンの名誉回復を求める訴訟も起きており、「スターリン復権」の動きが勢いを増している。

 先月25日に駅舎の一部改修を終えた地下鉄クルスカヤ駅。新たに作られた装飾の柱には、「スターリンの導きで人民への忠誠を学び、我らは労働と偉業へ進むのだ!」とのソ連国歌(1944年版)の一節が刻まれている。1950年の同駅開設時に設置されたが、スターリンの死後、57年に取り除かれていた。当時のソ連指導部が個人礼賛の風潮を取り締まったためだった。

 地下鉄側はこうした一節の再登場について「我々の祖父や父の世代が見た装飾と同じものを見せるため」と説明するが、一部野党やロシア正教会はスターリン礼賛になると批判する。一方、駅の利用客からは「かつての装飾を戻しただけなので問題ない」(55歳の男性)、「スターリンは過ちを犯したが、大きな功績もある」(61歳の女性)と問題視しない声も聞かれる。

 スターリンの孫にあたるエフゲーニー・ジュガシビリ氏(63)は、独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の別冊号が掲載した30年代の「大粛清」に関する記事が、祖父の名誉を傷つけたとして訴訟を起した。同紙に1000万ルーブル(約2900万円)の賠償を求めている。今月15日からモスクワの裁判所で審理が始まる予定だ。

 ロシアでは00年にプーチン前政権が発足して以来、スターリンが第二次大戦を勝利に導いた点などを取り上げ、再評価する動きが出ている。国営テレビが昨年末に実施した歴史上の指導者を評価する投票でも、スターリンが3位に入っていた。

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