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アフガニスタン増派要求の高まりなど、国際政治についての雑感

 現在、G20金融サミットや国連総会出席などのために、鳩山首相は、アメリカを訪れている。

 そのアメリカをめぐって、オバマ政権のアフガン駐留司令官が、対テロ戦争の最前線を移したアフガニスタンで、このままではアメリカ軍がタリバンに敗北するという悲観的な見通しを示したことが明らかになった。

 国連に世界各国の首脳が集まってくるタイミングで、テロを準備していたとして、イスラム系アメリカ人数名が米国内で治安当局によって拘束された。

 他方で、オバマ政権は、東アジア外交では、ブッシュ政権時に途絶えた「6カ国協議」の再開を提示したり、クリントン国務長官が、ビルマとの対話を開始することを表明するなど、アラブ・イスラム世界以外の地域での外交摩擦の軽減に努める姿勢を明確にした。

 その一方では、国連では、リビアのカダフィ大佐が、安保理常任理事会を、戦争家の集まりと非難したり、イラン大統領のイスラエル非難演説の際に、欧米各国代表が退席したりと摩擦も生じている。

 リーマンブラザーズの破綻に端を発した金融恐慌の衝撃は、なんとか、国際協調での各国政府と国際機関のなりふりかまわぬ経済救済策の効果が出て、安定化しつつある。金融恐慌の震源地アメリカでは、オバマ政権が、巨額の赤字国債発行で、ひねり出した財政資金を惜しげもなくばらまき、あるいは、住宅減税や自動車減税などの消費刺激策を取るなどして、ようやく、プラス成長に転じる見通しとなった。しかし、失業率は、10%超まで行ってピークとなると予想されている。

 他方、アフガン戦費やイラク戦費は巨額に上っている。直接の戦費に加えて、兵器に使用される電子機器や電子部品、ハリバートンのように、戦地での警備や雑用の類を請け負う民間会社の需要、NATO加盟を狙うグルジアのような国に、イスラエル経由で売却される武器、それにアメリカ製兵器で武装しているNATOはもちろん日本の自衛隊向けの軍需もある。自前の兵器で武装できる国は、アメリカ、ロシア、フランス、中国など、限られている。日本は技術的には自前武装は可能だが、自己規制している。しかし、アメリカ軍のハイテク部品には日本製のものが結構使われている。例えば、ピンポイント攻撃のミサイルの先端についている高感度カメラは、ソニー製だ。関連して言えば、軍事費には、日本政府が支出している「思いやり予算」などの民生関連費もある。それから、兵站もある。それと、軍事力は、生産力全体と密接に関連しているということも忘れてはならない。その水準を基礎にして、軍事力が作られるからである。例えば、高速増殖炉ができれば、プルトニウムが生産され、、それが核爆弾製造に転用される。人工衛星を打ち上げ、コントロールできる技術があれば、大陸間弾道弾を飛ばすことができる。ドイツが原発を持たないのは、核武装しないという意思表示だ。一方では、ドイツは、フランスの原発で発電された電気を買っているのである。そんなドイツで、緑の党などの反原発派が強いのは当たり前で、別にたいしたもんじゃないのである。

 ドイツの自動車メーカー大手のダイムラー・ベンツは、第二次大戦で、ヨーロッパ最強と言われたフランス陸軍が守る防御線、マジノ・ラインを、あっさりと突破し、迂回して背後から攻撃したドイツ機甲師団の車両を開発・生産した。当時最強と言われたパンター戦車の基本技術を開発したのは、ポルシェ博士である。フランス伝統の歩兵戦術は、ドイツが開発した高速走行車両兵器による新戦術の前に、ひとたまりもなく敗れた。同じことは、日本のノモンハン攻撃、対ソ戦での惨敗でも言える。それは、独ソ戦でも、ドイツ製パンター戦車(T6)対ソ連製T34戦車、北アフリカ戦線での、ドイツのティーガー戦車(T3、T4など)対アメリカのM4シャーマン戦車というかたちでも示された。アメリカのM4シャーマン戦車にディーゼルエンジンを提供したのは、ゼネラル・モータース(GM)である。この時、イギリス製の戦車は、奥深く迂回して背後から攻めるロンメル機甲軍団の格好の餌食になった。しかし、戦時統制経済体制をとって、技術、資源、労働力、資本を軍需に結び付けて、総動員体制を築いた上で開発した兵器を大量生産して、満を持して投入した米軍の圧倒的物量戦の前に、北アフリカ戦線のドイツ軍はひとたまりもなかったのである。独ソ戦の場合は、ドイツは次々と開発した新型兵器を次々と投入して、当初、優勢に立ったが、ウラル山脈以東に兵器工場を移転して備えていたソ連軍は、ドイツ軍の伸びきった兵站の弱点が明らかになるにつれて、攻勢に転じたのである。

 米独戦においては、ドイツが、Uボートによる海上輸送の妨害、制海権の制圧を行なったのに対して、アメリカは、航空機による制空権の制圧、そして、無線傍受、暗号解読技術、レーダーなどの情報戦での技術において、ドイツを圧倒した。

 しかし、戦争の勝敗が、こうした生産力の水準だけでは決まらないことは、歴史上の具体的な戦争の歴史が証明しているとおりである。例えば、第二次大戦の北アフリカ戦線では、アラブの石油資源の戦略的重要性を認識したイギリス軍が、大量の部隊を派遣して、対イタリア戦を進め、イタリア軍は大敗を喫して追い出される寸前まで行ったところで、ヒトラーは、ロンメル将軍を派遣した。砂漠の狐と呼ばれたロンメル将軍に対して、ヒトラーは、対ソ戦に全精力を傾け、北アフリカ戦線を軽視して、旧式のT3号戦車やT4号戦車や、わずか2個師団の兵力しかよこさなかったが、彼は、それを数倍する敵を次々と撃破し、あっというまに、エジプトのエル・アラメインに迫った。ここで、イギリスは、アメリカの参戦、レンダリース法(武器貸与法)による武器供給とモンゴメリー将軍指揮下の米軍の大量投入を得て、ようやくロンメル軍団を撃破することが出来たのである。

 ロンメル軍団は、武器、兵士、食糧・物資の兵站が、常に不足する状態で戦わざるを得なかった。そこで、ロンメル将軍は、敵の兵器を奪って使うというゲリラ戦法を使ったり、88ミリ高射砲を水平撃ちにして、対戦車砲とするなどして、劣勢を跳ね返した。敵も尊敬したロンメル将軍は、中産階級出身で、もともと技術者を目指した人物である。部隊の先頭で、装甲車などに乗って、最前線で指揮をとった。ロンメル軍団兵士は、この将軍を愛し、誇りを持って戦い、士気が高く、苦楽を共にし、よく耐えたのである。有名なエピソードの一つに、ロンメルは、戦闘後、イギリス軍の兵士が落としたイギリス軍のゴーグルを着けていたという話がある。敵の武器を奪ってそれを敵に向けるというゲリラ戦術を、このドイツ軍の正規軍の最高司令官の一人が、採用したことを、そのゴーグルが無言で示したのである。なお、彼は、大戦末期、ヒトラー暗殺未遂事件に連座したとして、服毒自殺を強要され、52年の生涯を閉じた。ナチス政府はそれを戦傷による死亡といつわって発表した。彼は、イギリスの首相チャーチルから、「ナポレオン以来の戦術家」と評された。彼は、ナチス党員にはならなかった。彼の日記の「ロンメル戦記」には、上層部への批判や不満がいっぱいつづられている。

 戦争が、結局は、政治ということになるというのは、すでに、中国の春秋戦国時代の兵法家の孫子も指摘している。孫子は、自国内の民が内政に満足し、統治者を心から支持しているかどうかも、他国との戦争に勝つための条件に入れている。現代では、例えば、イラクの場合、今は、ただ、大幅増派した米軍の数で、圧倒しているにすぎず、ただ、ふたをして、表面上の平和が保たれているに過ぎないから、これを戦争に勝った状態とは言えないのである。それは、イスラエルの圧倒的軍事力の下で、押さえつけられているパレスチナ人の場合もそうだ。パレスチナ人が、イスラエルの支配からの解放を求めていることは、去年暮れのイスラエル軍のガザ侵攻に抵抗し、それと闘ったことで明らかだ。アメリカは、アフガニスタンで、タリバンを倒した解放者として、アフガン人の多数が、アメリカ人を尊敬するようになるとでも思い上がったのかもしれない。しかし、それは甘かったということだ。アメリカはもはや世界標準ではないのだ。アメリカを真似しても別にいいこともないということが、この間、明らかになったのである。

 今、アメリカは、世界に対して腰を低くして、商売に精を出さないといけない状態なのである。赤字国債も買ってもらわないといけないし。アメリカ連邦準備理事会は、出口戦略として、長期国債買取を来年3月で打ち切ることを発表した。しかし、事実上のゼロ金利政策はそのまま続けるという。G20金融サミットが、どんな対策を打ち出すかも、その行方に影響を与えるだろう。しかし、世界経済は、戦後初めて縮小したのだし、アメリカは、マイナス成長で、経済規模が絶対的に縮小したのだから、それを取り戻すのは短期間では不可能だ。成長と後退を繰り返す19世紀のような資本主義経済になったということなのだろうか。

 

増派がなければ1年以内にタリバンに敗北、アフガン駐留米軍司令官

【9月22日 AFP】米ワシントン・ポスト(Washington Post)紙は21日、アフガニスタン駐留米軍のスタンリー・マクリスタル(Stanley McChrystal)司令官が、8年に及ぶイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)との戦闘についての非公開の評価報告書のなかで、「さらなる増派を行わなければ1年以内に敗北する可能性がある」とバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領に警告していると報じた。

 全66ページの報告書は、前月30日にロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官に提出され、ホワイトハウス(White House)が現在精査している。同紙が入手した報告書には、「新しい戦略が必要」「アフガニスタンの防衛能力が成熟したとしても、今後1年以内に戦闘のイニシアチブをとれず武装勢力の勢いを止めることができなければ、勝利の見込みが全くなくなってしまう危険性がある」などと書かれている。

 さらに、「人的資源が極端に足りない状態が現在も続いており、このことは、戦闘の長期化、犠牲者数の増加、コストの増大、そして究極的には政治的支援の欠如を招く。どのリスクをとっても、ミッションの失敗は免れないだろう」と強調している。

 北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organisation、NATO)主導の国際治安支援部隊(International Security Assistance Force、ISAF)司令官も兼務するマクリスタル司令官は、米政府に6万2000人規模の増派を公式に求めると見られている。(c)AFP

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