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G20を控えて

 尖閣諸島問題が日中間の外交上の懸案となっている中で、11月11日韓国のソウルで開催されるG20を控え、その国際的な議論と準備が進んでいる。その後、APECが日本の横浜で行われるが、その経済的な基調はこの中で決まるだろう。

 日本政府と民主党からの政権奪還を目指す保守勢力は、尖閣諸島問題をネタにして、反民主党キャンペーンを強化しており、その象徴として田母神(元幕僚長)を担いでいる。領土問題がかれらの宣伝・扇動の基本をなしているが、しかし、世界は、リーマン・ショック以来の長期不況と国際的な経済的不均衡の是正に関心を強めている。

 金融大国化の道を選んで、ドル高をベースにした世界への投資を確実に回収したいアメリカ金融資本の利害を代弁して、アメリカの財務・中央銀行と韓国は「2015年までに経常収支の赤字額と黒字額を対国内総生産(GDP)比で、4%以内」にすることを主張した。それには通貨を切り上げる必要があるため、輸出に依存する割合の高い国からは反対が続出した。日本も当然その合唱に加わった。通貨切り下げ競争が激化する中で、円高だけが進んでいるからだ。それから、最新の統計では、中国の成長率が一桁台に下がっている。中国も、当然、通貨切り上げには反対している。

 アメリカは、オバマ大統領が大統領就任演説で述べたように、輸出に力を入れる方針を打ち出している。そのために自動車産業の公費による救済などの諸政策を大規模に行ってきた。このような産業資本を中心とする生産国と金融資本を中心とする消費国の利害対立は、世界経済が国際分業体制として形成されていることから起きていることである。

 しかし、「ガイトナー米財務長官は23日、「強いドルを支持するのが米国の政策だ」と強調」したようだが、グローバル化が進んでしまった今日においては、超大国アメリカ一国の意向で、世界経済を牛耳ることはままならなくなっている。G20の場でも合意は出来ないだろうというのが大方の見方らしい。

 同時に、IMF(国際通貨基金)の出資比率で、中国が6位から3位に浮上し、欧州からの理事を減らし新興国の理事を増やすことになるという。世界が変化しつつあることを示す一例である。「固有の領土」を叫び合うのが外交だと思っている日本政府や田母神らの時代認識が遅れているのは明らかだ。

 

米韓案に日本慎重 不均衡是正の数値目標見送り G20(朝日2010年10月24日)

 【慶州(韓国南東部)=福田直之、稲田清英、尾形聡彦】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が23日午後、通貨安競争を回避することなどを盛り込んだ共同声明を採択し、閉幕した。ただ、米国が提案した経常収支の「数値目標」導入は盛り込まれず、「ガイドライン(指針)」を今後策定することで折り合った。通貨安と貿易不均衡を是正する具体策の議論は11月のG20首脳会合以降に持ち越された。

 声明では「通貨の競争的な切り下げは控える」などの表現が予定通り盛り込まれた。焦点になったのは、米国と議長国の韓国が22日に提案した「数値目標」の取り扱いだ。

 通貨が安ければ輸出しやすくなり、その結果、経常黒字拡大や赤字縮小につながる。会議では経常黒字国には黒字幅を抑える必要性が強調された。黒字を小さくするには通貨切り上げが必要になるため、それを通じて通貨安競争を抑える狙いがある。

 米韓は「2015年までに経常収支の赤字額と黒字額を対国内総生産(GDP)比で、4%以内」とする案を提案。しかし、輸出が多い新興国などから「数値目標を設けて、各国の経済政策が振り回されるのはおかしい」との反対意見が相次いだという。日本も慎重な立場をとった。

 このため、数値目標導入は見送られ、妥協策として、各国の通貨が安定し、持続して貿易ができるよう、経常収支の範囲を定める指針策定で合意した。大きな不均衡が続いている場合は、国際通貨基金(IMF)が点検する可能性があることも盛り込んだ。

 ただ、足元の通貨安競争を抑えられるかは見えていない。ガイトナー米財務長官は23日、「強いドルを支持するのが米国の政策だ」と強調した。だが、具体策がまとまらず、新興国の通貨高や円高が急に和らぐ可能性は少なそうだ。

 今後の焦点は、不均衡是正を具体化するための指針をどうつくるかに移る。米国の狙いは人民元切り上げなどの中国の構造改革にあるため、米中の二国間協議の行方がカギを握る。ガイトナー米財務長官は24日に早速訪中し、王岐山(ワン・チーシャン)副首相と会談する。ただ、中国は人民元切り上げの加速を実質的に約束させられることにもなりかねず、協議は難航する可能性もある。

 次の節目は11月11日にソウルで開幕するG20首脳会合。ここでまとまるのは難しいとの見方があり、各国は首脳会合後も議論を進める構えだ。

 今回の声明では、IMFの出資改革では合意した。各国の経済力に応じて出資比率を変更し、成長する新興国の比率を増やして発言権を拡大する。出資比率は日本が米国に次ぐ2位を維持するが、中国が今の6位から3位になる見通し。また、欧州の理事を減らし、新興国などの理事を増やす。

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