« 左翼の弱点の克服のために | トップページ | 旅と宮沢賢治と福島の女性たちの闘いと福島原発廃炉県議会議決 »

差別・排外主義

 以下の二つの記事から。

 入管が差別・排外主義的であることは、難民への対応の中でいろいろと聞いているところから、わかっていた。このことは、日本にだけ言えることではなく、国家というものの本質にかかわることである。どの国でも、多かれ少なかれ、外国人に対しては差別・排外主義的である。というのは、近代国民国家では、国土(領土)の範囲内に成立する国家が、その成員の資格を定め、その中で、民族間に序列を作っているからである。そして、国家はそれを管理している。フランスはフランス人の国家であり、イタリアはイタリア人の国家であるという具合に。民族として見れば、イタリアにおいてはイタリア人が多数で、最上位に置かれる。イタリアの統一は遅れたのであるが、その統一に際しては統一戦争があった。ガリバルディが統一戦争の指導者として有名である。日本の場合も例外ではない。一般に薩長を中心とする奥羽列藩同盟などとの戦争は戊辰戦争と呼ばれているが、最近では、東北戦争と呼ばれている。函館五稜郭に立てこもった榎本武揚らが新政府樹立を目論んで、諸外国との交渉を行っていたということがある。そして、琉球処分―沖縄県の設置があり、北海道の領有ということがあった。戦争による領土拡大、統一国家の形成ということを明治政府は行なったのである。そこで、当時は臣民の資格というのが問題になり、戦後日本では日本国民の資格・定義ということが問題になる。そこから一方的に排除され、一方的に外国人とされたのが旧植民地諸国出身者である。そこで、「在日」は入管の管理下に置かれることになる。この当時から、「在日」の民族教育への妨害・弾圧は厳しいものがあった。朝鮮学校の無償化問題への政府の対応を見ていると、やはり、歴史的に形成されたもの、近代日本がアジアとりわけ朝鮮に対する差別・排外主義を軸に形成されてきたという歴史が強く刻印されていることを感じる。

 産経の記事には、そうした歴史認識がまったくない。あたかも、過去の朝鮮半島への植民地支配がなく、もともと、加害―被害の関係に立ったことがないみたいだ。加害と被害、支配と被支配という関係を無視しているのは、原発に関する記事でも顕著に見られる。17日付産経で、社説比較というのをやっていて、そこで産経は、国益のための原発推進論を主張して来たことを誇らしげに主張している。原発事故の被害者たちの問題はエネルギー確保という国策のために原発が必要だという3・11当初からの強調によって消されている。原発事故の犠牲者の多くは日本人である。そして、もちろん外国人も被害にあっている。国家はなんのために存在するのかという根本的な問題はまったく問われていない。国家が人々に苦しみや不幸を与えるとしたら、一体その国家の存立根拠は何なのかという問題が無視されている。国益=エネルギー確保と言うのだが、なんのためのエネルギーなのか? 目的論がないのだ。われわれの感覚や感情はどうなるのか? 電気があれば楽しいのか? 共同的感情、人と人との楽しい出会いや交際、愛情生活はどうなるのか? 今、被災地の人は、「自分たちはばらばらにされつつある」と言っている。かれらは、出口のない状態の中で、様々な矛盾を負わされている。社会生活が破壊されている。社会が破壊されたところで、どのような国家が幸福を生み出すせるのか? 生み出されるのは不幸でしかない。

 人々の感情生活(そこには物語を楽しむことも含まれている)への感覚が、産経には欠けている。私は京都の円山公園で開かれた脱原発集会に行ってきた。約1000人の人々が集まり、脱原発の声をあげた。そこで、われわれの社会生活が、外国人を含んでいることを感じた。ドイツからの緑の党副党首のヘーンさん、イスラム圏の女性、アメリカ人、などを含むデモ隊は、京都市役所までの四条通りから河原町の繁華街を通っていった。途中、二階の窓から手を振る人を見かけた。

 産経は、日本の学校で、日の丸・君が代義務化が進められていること、つまり、学校の「独裁」的教育が強められていることをまったく無視して、自分たちは「独裁」からまぬかれているように装っているが、日本の学校教育も「独裁」的である。福島県で問題になっているのは、教育委員会による「安全」強制である。産経は、自分の身近で起きているそうした事態について、簡単に知り得る立場にありながら、それを無視している。厚生労働省がデタラメなデータをもとに放射能の安全性をアピールしているのを批判していない。厚生労働省のデータは疑わしい。煙草についてもそうだ。どうして、厚生労働省のデータを疑わず、上からのいろいろな規制強化、権力の強化をすんなりと受け入れられるのか、理解できない。もう一つは、福島県で、医者の権威が問題になっている。末端の良心的な医者は、自由にものが言えないと言っている。医師の権威を批判して自由にものが言えるようにする必要がある。福島には「よい医者」がこれから多数必要になってくるのだ。9月11日、12日は、福島に行き、飯館村、南相馬市をまわって来たところで、なんとも言えない感情にとらわれているところである。山下俊一が居座っている福島県立医大も見て来た。

 この点に関連して、科学社会学の立場から論じたウィンという人の論文が『思想』に載っているが、なかなか参考になる。一度、専門家が住民の信頼を失うと、何十年も専門家の言うことを信頼しなくなる。彼は、そういう大衆知というものが形成される仕方についても興味深いことを言っている。今、詳しく読んでいるので、いずれ何か書いてみようと思う。

 

入管警備官「外国人いじめ楽しい」 収容中の中国人に (20111014朝日)

 不法滞在の外国人などを収容する法務省の東日本入国管理センター(茨城県牛久市)で8月、収容中の中国籍の男性に対し、男性入国警備官が「外国人をいじめるのが楽しい」と発言していたことが、同省への取材でわかった。

 同省によると、入国警備官は8月7日、刑事事件を起こして在留資格を取り消された男性と日本語で雑談中に問題の発言をした。「身体的な特徴をからかわれ、その流れで発言した」と説明しているという。

 男性から事実関係を聞いた外国人支援団体がセンターに抗議して問題が発覚。入国警備官は男性に謝罪し、担当部署を外された。同省は「センターに再発防止を指導した」としている。

教師が反日誘導「日本人に拉言う致を権利はない」 元生徒が朝鮮学校の実態告発
2011.10.14産経

 朝鮮学校から自分の意思で別の学校に移った高校生が初めて産経新聞に実態を告発した。教師は生徒らに反日意識をすり込み、「日本人に拉致を言う権利はない」と言い放つ。学校側が無償化や補助金申請のために国や自治体に行っている説明とは大きく食い違う。「生徒の立場が理解されていない。無償化するぐらいなら学校を選ぶ自由をください」。生徒は悲痛な声を上げた。(桜井紀雄)

 「誰かに実態を伝えないと」。無償化問題で朝鮮学校が注目されるようになってから生徒は悩み続けた。

 菅直人前首相が辞任間際に無償化審査再開を指示したニュースが背中を押した。「学校がそのままなのに無償化が適用されてしまえば後輩たちが苦しめられ続ける」と取材に応じた。

 最も違和感があったのは反日教育だという。教師が授業中、強制連行を例にこう言い放ったのを記憶している。「日帝(植民地)時代にあれだけ朝鮮人を拉致した日本人が拉致問題を言う権利はない」

 朝鮮学校側が「拉致問題をきちんと教えている」と主張しているのとはあまりにかけ離れている。

 教師は日本人を指す蔑称の「チョッパリ(獣のひづめ)」「倭奴(ウェノム)」と連呼し、歴史の授業で生徒に感想文を書かせたが、「教師が反日的な方向に誘導するため、皆、いい成績を取ろうと反日的な文章を書いた」という。「どうして日本が嫌いになるよう教えられなきゃいけないのか」と感じた。
生徒が北朝鮮について「独裁」と漏らすと呼び出された。教師の板書の間違いを指摘しても叱り飛ばされる。「目上の言うことを聞くのが朝鮮文化だ」。教師の指導は「絶対服従だった」と今、思う。

 生徒が朝鮮学校から移ろうとすると、この学校では教師や同級生が集まって思いとどまるよう圧力をかけたという。学校側は他校に受験し直すのに必要な書類の記入を渋り、「内申書はゼロだから」と告げた。

 朝鮮学校側は「在日差別が続く中での民族教育の必要性」を強調し、無償化や補助金問題では「子供たちの学ぶ権利や人権の保障」を強く訴えている。

 しかし生徒は「人権というなら国や自治体は無償化で学校を支援するより、生徒が自由に学校を選べる環境を作ってほしい。学校を変わると一時的に苦労するが、朝鮮学校に通い続けると日本社会に適応できず苦しむ」と語った。

 朝鮮学校から別の学校に移った高校生が耐えられなかったのが「反省会」と称するホームルームの存在だった。

 クラスはいくつかのグループに分けられ、一日を振り返って得点をつけさせられる。教室で日本語を使ったら減点。「反省することがない」と報告すると、教師から「ダメだ」と突き返された。

北朝鮮で職場や地域ごとに相互批判させられる「生活総和(総括)」の朝鮮学校版だ。

 学費面での不公平感も拭えなかった。毎月、授業料に加え、施設修繕費などとして4万円近い金を納めさせられたが、学校の設備はボロボロのまま。「お金はどこに行っちゃったんだろう」と感じ続けた。

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)職員の子供たちは学費さえ免除されていた。この事実は他の学校関係者も証言している。

 2002(平成14)年の日朝首脳会談で金正日総書記が拉致を認め、謝罪してから故金日成主席、金総書記父子礼賛や反日教育といった教育内容は変わったとされる。

 しかし生徒が通っていた朝鮮学校では、故金主席の業績を称賛する教科書記述を暗記させられ、土曜日の課外授業では、北朝鮮の経済発展をたたえる映像を見させられた。教師は「わが学校は世界的に優れた教育だ」と自賛したという。

 補助金問題で大阪府は、教室に掲げた金父子の肖像画を下ろすよう要請した。初級(小)学校など既に肖像画を取り外した学校も少なくない。

 しかし生徒は「小学生のころ、肖像画が外されたが、教室の横の壁に金日成の別の写真が掲げられた」と振り返る。

神奈川県の補助金問題でも学校側は拉致問題などに関する記述を訂正したとしているが、多くの学校で変わっていなかったことが判明している。

 生徒も「絶対変わっていない。教師のメンツを考えると変えられるわけがない」と断言する。

 県の要請に、学校側は拉致を描いた映画を上映し、生徒らに感想文を書かせると約束しているが、生徒は「教師の都合に合わせ適当に書かされるだけだ」とも語った。

 こうした状況でも通い続ける生徒がいるのは「幼いときからこの世界に漬かって日本の学校を知らない」からだという。

 授業内容があまりに違い、日本の学校を受験しにくい点も挙げ、「朝鮮学校内で日本の学校の説明会を開いたりして他の学校に行きやすいようにしてほしい」と訴えた。

|

« 左翼の弱点の克服のために | トップページ | 旅と宮沢賢治と福島の女性たちの闘いと福島原発廃炉県議会議決 »

思想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 差別・排外主義:

« 左翼の弱点の克服のために | トップページ | 旅と宮沢賢治と福島の女性たちの闘いと福島原発廃炉県議会議決 »