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歴史を学ぶべきこと

 松浦玲氏『横井小楠』(ちくま学芸文庫)、『天安門文書』(文藝春秋)、安丸良夫氏『日本ナショナリズムの前夜 国家・民衆・宗教』(洋泉社)、古田武彦氏『真実の東北王朝』(駸々堂)に入る。『東北学』は2009年まできた。

 中国の歴史について重点的に見ている。様々な本に目を通した。歴史ドラマも観た。日本の近世を見ているのも、それと関連する。この時代の思想家が中国の思想に大きく影響されていて、その概念を使って物を書いているからである。それに対して古学から国学が発生するが、本居宣長と平田篤胤ではずいぶん支持層が違っていたという。安丸氏は、「宣長の門人の多くは、伊勢・尾張を中心に比較的先進的な地域の人々であり、しかもその大部分が家業のかたわらに詠歌や古典の学習を楽しむ人々であったのにたいし、篤胤学の主要な基盤がより後進的な地域の豪農層にあり、彼らが世直し的な動向に脅かされながら、地域の生活秩序を再建しようと努めていたことは、芳賀登氏などの研究がすでに確認していることである」(28ページ)と述べている。

 中国といっても歴史的には様々な民族の興亡があり、入り乱れていて、漢民族を偽証したり、漢風の姓を名乗ったり与えられたりした異民族もあり、統治領域も時代によってかなり変わっている。中原の王朝は絶えず周辺民族の侵入や介入を受けていたということがあり、そういう交流・交渉の中で中原支配の王朝政治があったということに注意しなければならない。近年、北方・西方諸民族の歴史に光を当てられるようになったということもあって、現在のヨーロッパ地域からアジア、シベリアにまたがる北方の大帝国、西方の大帝国との交渉史にも歴史の光があてられるようになった。モンゴル系といわれる匈奴、チュルク系の突厥、チベット系の吐蕃、鮮卑族等など、多様な諸民族が次々と起こり、中原へと進出してきたりした。中には中原支配の王朝を建てたものもある(鮮卑系拓跋氏の北魏、モンゴル系の元、満州族の清)など、また、隋の皇室の「楊氏については元々は鮮卑の出身で本来の姓が普六茹であり、北魏の漢化政策の際に付けられた姓が楊であるという説もある」(ウィキペディア)。これと日本史を結びつけたのが、江上波夫氏の『騎馬民族国家』(中公新書)である。さらに、北方でのアイヌやギリヤークなどの北方諸民族との朝貢関係や交易関係、あるいは、元とアイヌの戦争などの北方交渉の歴史も明らかにされつつある。東北アジア史の領域の解明が進みつつある。

 こういう歴史認識の変化の中で、その認識を進めず、古いイデオロギーを保守しているのが現在のナショナリズムで、それは、安丸氏が言うように、虚偽意識でしかない。それが解放的役割をすることはもはやありえないにもかかわらず、そのように信じこみ、あるいは信じこませようとする勢力が再三起こってくる。虚偽意識を押し付けるという反動であり、解放を妨げる有害な存在である。しかし、自民党政権の安倍総理は、右派の批判の的である「河野談話」を維持することを公然と表明したし、中国との尖閣列島の領有問題についても、かつての自民党時代の通りに戻そうとしている。

 アルジェリアの人質事件に際しては、人命最優先をアルジェリア政府などにたいして繰り返し強く求めつつ、テロを非難し、アルジェリア政府が強行突入して人質が死亡したことについては口をつぐみ、責任追求も曖昧なままやり過ごし、早くも天然ガス施設が再稼働した。3・11後の原発事故を自然災害であると自然現象のせいにして「原子力ムラ」の責任をうやむやにした民主党政権の態度をそのまま受け継いでいる。アルジェリアの人質事件はまちがいなく人為的事件であり、人間の引き起こした事件である。それでも、政府は、やはり、責任を明らかにしようとせず、あたかも自然災害にあった運の悪い人たちの犠牲というふうに片付けようとしているように思われる。これはどう考えても悪政であり、悪い統治者の態度であり、とうてい徳のある統治者の統治態度とは思えない。これを正すべきである。正義がなければ、それはただの徒党のエゴ追求でしかなくなる。そういうことも歴史の中から容易に学べることだから、できるだけ歴史から学ぶべきだ。
 

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コメント

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アルジェリアの事件 今後 どういう話し合いに なっていくのだろうか
なぜ こういった事件に なったのだろうか
犯人の要求は なんだったのだろか?犯人の動機は~。
被害者の関係者はどうするのだろうか?
あの時 もし 日本の警察・自衛隊が 行けたら どうなったんだろうか
勝手な 言い分かもしれないけれど フランス アメリカは 動いてくれなかったのかなぁ。これからの日本の企業の世界進出が 気になります。
政治研究会(名前検討中

投稿: 村石太ダー | 2013年2月 4日 (月) 14時45分

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