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たばこは肺がん原因の多数ではないこと

   よくわかっていなことの一つの原因がわかると、全部それのせいにして、すます、ということがある。それは、われわれの思考が陥りやすい罠の一つであると思う。そして、それは判断を誤らせる。その時、見えていなかったものが突然目の前に現れて、パニックを引き起こしたりする。デリダの言う、「マルクスという亡霊」もそうやって現れるのだろう。「死んだはずだよ、お富さん」というのもそれか。共産主義は忘れた頃にやってくるのである。

 たばこが問題になったのは、発癌性が指摘されたからで、それがいつの間にか肺がんの主原因と決めつけられた。それに、「健康増進促進法」で公的なおすみつきが与えられ、上からも半ば強制的に世間一般に押し付けられてきた。健康になることは義務か権利かと言えば、明らかに権利である。戦時中、徴兵逃れのために、しょうゆを大量に飲んで、不健康を装ったという話がある。病気は、軍国主義への抵抗の手段となったわけである。健康で剛健な兵士を出さないということである。ブラック企業に健康で優秀な企業戦士を供給しないというのも、一つの人間的な抵抗である。ブラック企業は人間的な社会性に反するから。

 たばこの場合はどうか。たばこさえ吸わなければ減って行くと思われた肺がんが、非喫煙者でもなる人が多いことが問題になっている。たばこ以外の原因、特に女性の場合、非喫煙者で肺がんになる人が8割もあり、肺がんを減らすには、そっちの原因を明らかにして、対策を取らなければならないということが、NHKの「ためしてガッテン」という番組で取り上げられている。たばこさえ規制すればいいというのではなく、肺がんを減らすには、たばこ以外の原因にもっと注意を向け、対策をしなければならないということである。肺がんを減らすのが、禁煙運動の目的だったはずで、それがいつの間にか自己目的化してしまっているのである。こんなことはいちいち指摘したくもないのだが、思考停止して、考えるのではなく、信仰している人がいるので、言わざるを得ないのである。レーニンが指摘しているように、物ごとのできるだけ多くの面、多様な面を見て、それで、考え、判断を形成するようにしないといけないのである。このことを指摘しただけでも、レーニンの功績は偉大なものなんだけども、学ばないで、切って捨ててすまして平気な愚鈍な人が多いようだ。あれだけのことをやった人だから、学べるものはいっぱいある。学んで上で、どうこう言えばいいだけのことだ。

 たばこさえ吸わなければ、と、そればかりに目を向け意識を集中している間に、別の原因の肺がん対策に目が向かなくなってしまっている。被曝問題でもそれに似たことがあり、総合的に物事をとらえ、考え、解決していくということを難しくしている面がある。思考を訓練して、総合的なものの捉え方を身につける必要がある。一面に目を奪われて、別の面を見忘れる。そうすると、そっちに対して無防備となり、そっちから病に侵されやすくなるということである。

 生の充実、生の意味、人生観、哲学、そういうものを基礎にして、それとも関連させて考えて、なんのための健康かを考えた上で、こういうことについて判断しなければならない。その点で、ミッシェル・フーコーやレヴィ・ストロース、あるいは白川静氏などの言うように、今、病や障害とされていることが実は人類の一般的性格であって、今正常とされていることが実は非一般的な性格で、それが逆立ち、逆転したのが、近代以降であるというのは正しいのではないか。誰しもちょっとは病いであって、人はそれと一生付き合っていく存在であり、理念として描かれる完全な健康人なる絵をイコンのように信仰して、それを基準にして右往左往するのは見苦しく、不幸な生き様と言えないだろうか。日々充実した生を生きられていれば、恐怖に怯えることなく、「朝に道を聞けば、夕べに死すとも可なり」(『論語』)という意味に溢れた幸福な生を得られるのではないだろうか。少なくとも、私は、生の充実を日々感じるし、幸福感を味わいつつ、生きている。

「ためしてガッテン」http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20091125.html

肺がんは「たばこ吸ってる人だけがなるんでしょ?
と思われるかも知れませんが、それは大きな誤解!!
実は女性の場合、喫煙は肺がんの原因のたった2割なんです。
そして残りの8割は・・・なんと不明!
(男性の場合、7割が喫煙 3割が不明)

たばこを吸わない女性に多い肺がんは、自覚症状がないことが多い上に、X線にもがんが写りにくいため、見つかった時はすでにがんが進行している場合もあるんです。

たばこを吸わないのに肺がんになった方の中には、医師にも原因を告げられず、理不尽な思いを感じていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。
そんな中、最近ある物質が、女性に多いこの「謎の肺がん」に関与している可能性があることがわかってきました。

今回はメカニズムから早期発見法まで
謎の肺がんにできる限り迫ります!
                           

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番組ディレクターからのひとこと

                               
                               
                                    

誰でもなる可能性があるから・・・

非喫煙者で肺がんと診断された方のお話を今回、たくさん伺うことができました。
みなさんが共通におっしゃることは、
「なんて家族に説明していいかわからない・・・」。

たばこを吸っていないのに、
周りにたばこを吸っている人がいないのに、
自宅の周辺に工場も、当然大気汚染もないのに、
何で肺がん?

このタイプの肺がんは確かにまだわからないことがたくさんあります。しかし、患者さんが強く感じている理不尽な思いを番組を通して、一人でも多くの方に知って頂きたいと思っています。

この肺がんは、誰でもかかる可能性があるからこそです。

                               
                                                           
                                                    

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コメント

>レーニンは偉大
>レーニンに学ぶ…

アッハハハ
いよいよ、馬脚露呈ですか?

投稿: 秋津洲男児 | 2013年7月12日 (金) 03時28分

そうなんですね。
ある物質って何なんでしょうか?
ある物質の影響が女性が8割男性3割ということは、同じ位の強さだとしたら、肺がんになる数は男性のほうが2.6倍くらい多いんでしょうか?

投稿: | 2013年7月14日 (日) 21時57分

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