国民投票法国会成立弾劾!
「国民投票法」が、14日参議院本会議で自公の賛成多数で可決した。多くの人々が、9条改憲を望んでいない中での、改憲手続き法の強引な制定を弾劾する。
これで、いよいよ9条改憲に向けた自民党安部政権の動きが本格化することになる。とはいえ、国民投票法には、異例の18項目の付帯決議が付けられているし、投票年齢を18歳以上としたことで、関連する多くの法律の見直しが必要となり、しかも、改憲案の国会での審議は3年間凍結となっており、なお改憲のハードルは高い。
3年後に、自民党がどうなっているかはわからない。以下は、近い時期に行われたマスコミの世論調査結果である。JNNの世論調査では、安部内閣の支持率は、3・4ポイント低下した。それに対して、共同通信の世論調査では、3・4ポイント上昇した。NHK世論調査は、共同通信の結果と同じく、支持率が上昇している。JNN・共同通信の世論調査は、共に、5月12、13日であるから、ちょうど、「国民投票法」が参院委員会で採択された直後である。
JNNの世論調査結果では、自民党支持率5ポイント、公明党支持率も下がっている。4月は、日中関係の修復をアピールした温家宝首相の来日・首脳会談、訪米など、外交で安部政権の成果をアピールできたということもあろうし、統一地方選・参議院補欠選挙があって、選挙モードにあって、党員や支持者のアピールの影響というものもあったから、支持率が上昇したのかもしれない。しかし、それでも、共同通信の世論調査では、上昇が続いているという結果が出ているわけで、今、安部政権支持率のベクトルが上向きなのか下向きなのかはわからない。
しかし、人々の意識が安部総理とずれているのは、両方の世論調査からわかる。一つには、国民投票法案成立を急ぐなという多数世論(JNN56%)があるのに、与党が、審議・成立を急いだということである。
二つには、安部総理が、解釈変更での解禁を狙っている集団的自衛権行使問題である。
JNNでは、「「行使できるようにすべきと思う」と答えた人が45%だったのに対し、「そうは思わない」が42%と」賛否が拮抗、「このうち、集団的自衛権を「行使できるようにすべき」と答えた人に望ましい手続きを尋ねたところ、「従来の政府の解釈を変えて行使できるようにする」という人は34%に留まって」いる。
共同通信では、「集団的自衛権行使は憲法で禁じられているとの政府解釈に関し「今のままでよい」が62・0%と、4月の前回調査より7・4ポイント上回った」。
こうした世論調査結果に反して、安部首相は、
安倍首相が法制局見解を否定=「必要最小限」は量的概念-集団的自衛権
安倍晋三首相は14日の衆院テロ防止・イラク支援特別委員会で、内閣法制局が集団的自衛権の行使が憲法上許されない理由として「自衛のための必要最小限度の範囲を超える」と説明していることについて、「必要最小限、これは量的な概念だと認識している」と述べた。従来の内閣法制局見解を否定して「量的概念」とすることで、集団的自衛権を行使しても、自衛のための必要最小限度の範囲にとどまるケースが論理的にあり得るとの認識を示したものだ。行使容認へ憲法解釈の変更に意欲を示したものとみられる。原口一博氏(民主)への答弁。(「時事通信」2007/05/14)
と、改憲しないまま、集団的自衛権行使が可能だという見解を示した。
以前、安部首相は、国会で、集団的自衛権は自然権であるという認識を示している。しかし、自然権は、人権について言われるのであって、近代国家に対して言われるのではない。国連は、国家連合という国家単位の団体だから、集団的自衛権について、自然権なら言わずもがなのところをあえて明記しているのである。そして、集団的自衛権の規定は、その他の様々な規定との関係でも規定され、制限されているのであり、究極的には、国連軍に世界秩序維持の強制力を任す目標を掲げ、そのために国家主権を制限し、部分的に委譲するように求めているという目的の下にある。
それに対して、安部総理をはじめとする保守派は、集団的自衛権行使を国家権力を制約から解放するものととらえているのである。国家を自由にするというのが、保守派の自由主義であり、それに対して、人々には、自由の濫用を戒め、権利よりも義務を課し、いらぬ道徳で縛りつけようとしている。かれらの憲法観は、国家が「国民」に指令したり、命令したりする根拠法というものであって、社会契約説的な人々が国家を規定し、制約を加えた根本法というのとは違うのである。
いずれにしても、国民投票法の成立は、憲法をめぐる闘いの始まりに過ぎない。それにしても、14日のTVタックルでは、青山という人は、2011年後の中国の膨張主義の本格的発動があることを、4000年にわたる中華思想という観念から導き出すという典型的な観念論に陥っていることを示したし、屋山という人は、何を言っているのかさっぱりわからないし、宮崎は、中国のバブル崩壊から対外膨張を説いて、考える能力のないこと、思慮が欠けていることを自己暴露した。ハマコーは、軍事的統一であれ、政治的統一であれ、台湾への人民解放軍の駐留があれば、沖縄の目の前に、中国の軍隊が存在することになると言ったが、このことは、沖縄こそが、台湾海峡有事の最前線基地であり、東アジア有事で、ミサイルなどの標的になるのは、東京などではなく、沖縄の米軍基地であることを暗示するものである。すでに、親米保守派の間では、アメリカが、米朝国交正常化に向かっていくと決めた以上、朝鮮半島有事で危機を訴えて、9条改憲や集団的自衛権行使解禁をはかろうというプロパガンダもリアリティに欠けるので、中国の脅威を強調する作戦に変更したようだ。
なお、安部自民党は、結党以来の悲願である改憲に向けて前進したというようなことを言うが、憲法が60年以上変わっていないから、時代に合わないので変えるというなら、やはり結党以来50年以上も改憲を掲げ続けるというのも古くさいことである。同じように古いのだから、自民党綱領を時代に合わせて変えればいいのに。
9条改憲に反対の人は、各社世論調査で、過半数を占めており、安部首相の改憲の狙いは、簡単には実現しない。イラク戦争が泥沼化していることは、9条改憲へのブレーキになるだろう。そして、「9条改憲阻止の会」その他の様々な草の根の反改憲運動の広がりがある。『読売新聞』の憲法世論調査では、ここ数年、改憲のベクトルは下向きだ。大手全国紙がこぞって改憲を主張する中で、それと逆に世論が動いたことは、反9条改憲運動に希望があることを示している。これからだ。
なお、沖縄は、東アジア有事の最前線基地としてさらに米軍再編の中で、基地機能が強化されようとしていることは、辺野古への海上自衛隊艦船の派遣によって明らかである。ただの調査ではなく、自衛隊の力を使って、なんとしても基地建設に道筋をつけようというのである。辺野古への基地建設に反対する運動がいかに強力であるにしても、それに自衛隊を差し向けるとは、許し難い暴挙である。それは、与党系の県・自治体でさえ戸惑うほどのものであり、沖縄の人々の反発を生むものだ。そこまでして、アメリカに奉仕しなければならないというのが、安部政権の従米姿勢を如実に表しているのである。この暴挙に抗議する。
憲法情報
憲法メディアフォーラムhttp://www.kenpou-media.jp/
News for the People in Japanhttp://www.news-pj.net/index.html
許すな!憲法改悪・市民連絡会http://www.annie.ne.jp/~kenpou/
福島みずほのどきどき日記http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/?xml
内閣支持率が再び低下、JNN世論調査
この2ヶ月上向いていた安倍内閣の支持率ですが、今月は再びマイナスに転じ、先月よりおよそ3ポイント低い51%となったことがJNN世論調査で判りました。
調査は5月12日、13日に行いました。その結果、この2ヶ月間上向いていた安倍内閣の支持率は、3.4ポイント下がって51.7%でした。それでも、依然「支持する」が「支持しない」を上回っています。
また、政党支持率でも、この2ヶ月上向いていた自民党が先月より5ポイント下がって31.6%となる一方、今年2月から支持を減らしてきた民主党が持ち直して18.9%となりました。
一方、国民投票法案については、「今の国会で成立させる必要はない」と答えた人が先月よりやや増えて56%に上り、今月も過半数を超えました。
また、安倍総理が研究のための有識者懇談会を設けた集団的自衛権について尋ねたところ、「行使できるようにすべきと思う」と答えた人が45%だったのに対し、「そうは思わない」が42%と、賛否が拮抗する結果となりました。
このうち、集団的自衛権を「行使できるようにすべき」と答えた人に望ましい手続きを尋ねたところ、「従来の政府の解釈を変えて行使できるようにする」という人は34%に留まっています。(14日JNN)
見直し必要なしが62%
集団的自衛権の憲法解釈(2007年05月13日 【共同通信】)
共同通信社が12、13両日に実施した全国電話世論調査で、集団的自衛権行使は憲法で禁じられているとの政府解釈に関し「今のままでよい」が62・0%と、4月の前回調査より7・4ポイント上回った。解釈見直しを検討する政府の有識者会議の初会合が18日に開かれるが、変更の必要はないとの声が強まる結果となった。
安倍内閣の支持率は47・6%と3・4ポイントの増。初めて40%を割り込んだ3月を底に4月に反転し、今回、回復基調に乗っていることが確認された形。安倍晋三首相が4月下旬の靖国神社の春季例大祭で供物を奉納したことに関し、事実を明確に認めていないことについては「適切だと思わない」(62・1%)が「適切だと思う」(32・2%)に大きく差をつけた。
集団的自衛権行使禁止の解釈で「今のままでよい」が増える一方、「憲法解釈を変更し、行使できるようにすべきだ」との回答は5・0ポイント減の13・3%。「憲法改正し、行使できるようにすべきだ」はほぼ横ばいの19・1%だった。
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