経済・政治・国際

オバマ演説について

 アメリカ大統領オバマが来日し、日米首脳会談を行って、APEC首脳会議に向かった。以下は、読売新聞の日本での大統領演説の全文である。

 来日の12日、都内は、厳戒態勢にあったが、その中で、天皇在位20周年記念式典があって、それに対する抗議行動に参加してきた。平日にも関わらず、180名(主催者発表)の人々が集まり、銀座から新橋をデモした。街宣右翼が、集会場の周りを大音量を出しつつ、走り回ったり、、途中、警備によって近づけないまま、なにやらがなり立てたりしていたが、なんということなく無事に行動を終えた。奉祝自体が、それほど世間的に広まりを持てなかった中で、右翼の盛り上がりも欠けていたようだ。かれらは、ただ、お国の敵と闘ってますよという実績を示して、それを機関誌なりに載せて、企業や自治体から金を巻き上げようという類が多いので、かっこうだけやれば、それでいいのだろう。在特会は来なかった。

 この日、来日したオバマ大統領は、13日に、以下の演説をした。懸案の沖縄問題については、具体的なことは何も言われていない。特徴としては、いろいろあるが、その中でも、太平洋国家アメリカという点を強調していることがまずあげられる。

 米国のこの地域への関与は日本に始まるものだが、そこで終わりではない。米国は、大西洋沿いの港や都市の連なりとして始まったのかもしれないが、何世代にもわたる太平洋国家でもあった。アジアと米国は、この大海によって隔てられているのではない。結び付いているのだ。

 ここから、中国、インドなどのアジア重視のオバマ戦略がうかがえる。このことは、間接的に、沖縄の米軍基地のアジア安保における重要性が増すということを示唆していて、米軍基地撤去、負担軽減などを求める沖縄の人々の願いを裏切っている。したがって、ここからは、沖縄の米軍の機能強化という方向が見えたということが言える。

 もう一つは、、オバマ政権の新戦略として、次のような経済政策方針が示されたということである。

米国では、この新戦略の意味は、貯蓄を増やし、支出を減らし、金融システムを改革し、長期的財政赤字や負債を削減することになる。そしてそれは、我々が建造、製造した物を世界中で売る、輸出がより重視されることも意味する。これは米国にとっては雇用戦略ともなる。輸出は、給与のいい数多くの雇用を米国民にもたらす。輸出を少し増やすだけでも、数百万の雇用をもたらす効果がある。こうした雇用で、風力タービンや太陽光パネルから、日常生活で使う技術製品までが製造されている。

 一言で言えば、輸出主導型経済への転換ということである。これは、大転換であって、世界経済の構造を大変化させるものである。私は留保するが、これは、基軸国家論者からすれば、基軸国家の交代を意味する。中国が、アメリカに代わって、世界からの輸入を引き受け、世界の生産・供給の受け入れ、需要国となるということだ。それに伴って、基軸通貨国の地位も、アメリカから中国に移るということだ。しかし、今は、まだ、多極化論もあって、複数基軸的な絵もリアルに想定できる段階にあると思うので、ここは慎重に見ておかないといけないところだと思う。

 オバマは、「新戦略の重要な一部が、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)で、野心的で均衡の取れた合意を達成することだ。これは単なる合意ではなく、世界中の市場を開放して輸出を増やすものだ。その目標をタイミング良く達成するため、我々はアジアの関係国と協力していく準備があり、地域の貿易相手国を交渉のテーブルに招く所存だ。/我々はまた、アジア地域での継続した経済統合が、すべての国の労働者、消費者、事業者の利益となることを確信している」とのべ、アメリカが輸出主導型経済に移行するにあたって、その供給を受け入れる需要の創造を、世界市場、アジア経済統合による市場拡大という方向で実現しようと述べている。それに対する障がいを取り除くことを、アメリカのアジアでの安保戦略の目標とすることを意味する。それは、沖縄にとって、基地機能強化という方向での米軍再編の下での負担強化となる可能性が高い。他方で、中国がアメリカの戦略にとってもつ重みはいっそう重くなっているのであり、中国の動向に注目しなければならない。

 オバマ大統領は、アジアでの人権向上を訴えた。沖縄の人々の人権、そして、今、在日外国人の人権を軽く見ている日本政府の姿勢、等々、恣意的ではない人権政策が、アメリカに求められているということを是非自覚してもらいたいものだ。

 オバマ大統領演説全文(日本語訳)

 ◆訪日の意義

 ありがとう。(日本語で)アリガトウ。ありがとう(拍手)。おはよう。合衆国大統領として初めてのアジア訪問の最初の訪問地として東京に滞在出来ることを大変光栄に思う(拍手)。ありがとう。これほど大勢の方々に囲まれるのはすばらしいことだ。日本人と、何人か米国人の姿も見えるが(拍手)、両国間の絆(きずな)を強めるために日々努めている方々だ。その中には、私の古くからの友人で新しい駐日大使のジョン・ルース氏もいる(拍手)。

 日本に戻って来ることが出来たのはすばらしい。ご存じの方もいるだろうが、幼い頃、母が私を鎌倉に連れてきたことがある。何世紀にもわたり平和と静寂の象徴だった巨大な青銅の大仏を見上げたものだ。ただ、子どもだった私は、抹茶アイスの方に夢中だったのだが(笑い)。昨晩の夕食会でまたアイスクリームを食べながら、鳩山首相に思い出話を聞いてもらったことを感謝したい(笑い。拍手)。ありがとう。しかし私は、日本の人々が、わが家を遠く離れた幼い米国人少年に示してくれた温かさやもてなしの心は忘れたことがない。

 この訪問でも、同じ精神を感じている。鳩山首相には丁寧な歓迎を受けた。在位20周年を迎えた天皇、皇后両陛下にお会いする大変な名誉にも恵まれた。日本の人々はもてなしを見せてくれた。そしてもちろん、ここへ来たからには、(福井県)小浜(おばま)市民への表敬と感謝の念を表明しないわけにはいかない(拍手)。

 今回の歴訪をここから始めた理由は単純だ。就任以来、私は米国の指導力を刷新して、相互利益と互いの尊敬に基づいて世界に関与してゆく、新しい時代を追求してきた。アジア太平洋地域における我々の努力は、かなりの部分、試練に耐え、新たな活力を与えられた米国と日本の同盟を通じて根付いてゆくのだ。

 私の就任当初から、我々は両国を結び付ける絆の強化に努めてきた。ホワイトハウスに最初に招いた外国指導者は日本の首相だったし、過去50年近くで初めてのこととして、米国務長官ヒラリー・クリントン氏の初外遊先は、日本を起点とするアジアとなった(拍手)。

 今から2か月後、同盟は50周年を迎える。ドワイト・アイゼンハワー大統領が日本の首相の隣に立ち、両国が「対等と相互理解」を下地とする「不朽のパートナー関係」を築きつつある、と述べた日のことだ。

 以来半世紀、同盟は我々の安全と繁栄の基盤として続き、両国が世界1位と2位の経済大国となる一助となってきた。日本は、米国にとって北米以外で第2の貿易相手となった。日米同盟は、イラク復興からアフリカの角(ソマリア)沖での海賊対策、アフガニスタンとパキスタンの民生支援などまで、日本が世界の舞台でより大きな役割を演じ、全世界の安定に重要な貢献を果たす中で発展してきた。最も最近の例では、アフガン、パキスタン両国の開発に向けた国際的な取り組みの増進に当たり、日本は顕著な指導力を発揮している。

 それにも増して、同盟は我々の共通の価値観を反映しているからこそ持続してきた。国民が自由に、自らの手で指導者を選び、自らの夢を実現するという民主的権利を信じているということだ。この信念があったから、変化を約束した鳩山首相と私とが指導者に選出されることが可能だった。我々は共に、新しい世代の指導力を、我々の国民と同盟とに、もたらすつもりだ。

 だからこそ、歴史上重要な今この時、我々2人は、同盟を再確認するだけでなく、深化させることで合意した。沖縄の米軍再編に関する2国間合意の履行のため、合同作業部会を通じて迅速に動くことに合意した。同盟が発展し、将来の状況に適応していく中で、我々は常に、平等と相互理解のパートナー関係という、アイゼンハワー大統領の精神を守ることを目指していくのだ(拍手)。

 ◆太平洋国家

 米国のこの地域への関与は日本に始まるものだが、そこで終わりではない。米国は、大西洋沿いの港や都市の連なりとして始まったのかもしれないが、何世代にもわたる太平洋国家でもあった。アジアと米国は、この大海によって隔てられているのではない。結び付いているのだ。

 我々は歴史により結び付いている。アジアからの移民は米国の建設を助け、幾世代もの米国人が軍務に就き、犠牲を払っては、この地域の安全と自由を守って来た。我々は、繁栄を共有することで結び付いている。(両地域の)貿易と通商には、何百万もの雇用と家族とが依存しているのだ。我々はまた、人々によっても結び付いている。アジア系米国人は、米国民の暮らしのあらゆる面を豊かなものにしており、国家と同様、すべての人々の生活もまた、相互に織り合わされているものなのだ。

 私自身の人生も、その物語の一部だ。私はハワイで生まれ、少年時代をインドネシアで過ごした米国大統領だ。妹のマヤはジャカルタ生まれで、後に中国系カナダ人と結婚した。私の母は、東南アジアの村で10年近く働き、女性たちがミシンを買ったり、教育を受けて世界経済への足掛かりを得られる手助けをしていた。だから、環太平洋地域が私の世界観を形成したのだ。

 その時以来、これほど速く劇的に変化した地域は恐らくないだろう。統制経済は開放された市場に取って代わられた。独裁は民主主義に変わった。生活水準は向上し、貧困は急減した。こうした変化を通じて、米国とアジア太平洋地域の運命は、かつてないほど密接につながれている。

 すべての人、すべての米国人に知ってもらいたいのは、この地域で起こることが我々の国内での生活に直結し、この地域の将来が我々の利害にもかかわるということだ。我々はこの地域で盛んに商売し多くの商品を買っている。この地域で我々は、自国商品の輸出を増やし、それによって自国の雇用も創出することが出来る。この地域での核軍拡競争の危険が世界の安全を脅かしている。そして、過激派が偉大な宗教を汚し、アジアと米大陸双方への攻撃を計画している。アジア太平洋の新興国と途上国抜きでは、エネルギー安全保障や気候変動の課題も解決できない。

 これら共通の課題に対処するため、米国は従来の同盟関係を強化し、地域各国と新たな協力関係作りを検討している。実現に向け、日本や韓国、オーストラリア、タイ、フィリピンとの条約を通じた同盟に期待している。同盟とは過去の歴史文献ではなく、我々が共有する安全保障の土台となる永続的な約束だ。

 こうした同盟は安全と安定の基盤であり続け、この地域の国家や国民が、私の少年時代の初訪日当時には思いもつかなかった好機と繁栄を追求するのを可能にしている。米軍が世界で二つの戦争に携わっている間も、米国の日本やアジアの安全保障への責任は揺るがない(拍手)。それは何より、私が誇りとする若い男女米兵を我々がこの地域に展開させていることで明らかだろう。

 今我々は、アジア太平洋地域や、さらに広い世界で、一層大きな役割を果たそうとしている新興国に期待している。民主主義を導入し、経済を発展させることで自国民の偉大な可能性を引き出した、インドネシアやマレーシアのような国々だ。

 ◆中国

 米国は、21世紀には、ある国の安全保障と経済成長が他国の犠牲の上に成り立つ必要はない、という観点から、台頭する諸国に目を向けている。私は、米国が中国の台頭をどう見るか、という問いかけを多くの人が行っていることを承知している。すでに述べた通り、相互に結びついている世界では、一方の力が増せば他方の力が減るというゼロサム・ゲームに陥る必然性はない。国々は、他国の成功を恐れる必要もない。勢力範囲を競い合うのではなく、協力出来る範囲を開拓することが、アジア太平洋の発展につながる(拍手)。

 あらゆる国に対してと同様、米国は中国に対し、自国の利益に焦点をあてながら接していく。まさにこのため、相互の関心事で中国との実務協力を求めることは重要だ。21世紀の課題に単独で対処できる国はなく、米国と中国も、課題に共同で対処することで、より良い結果を得られるからだ。だから、我々は中国が世界の舞台でより大きな、成長する経済と応分の責任を果たせる役割を担おうとしていることを歓迎する。中国の協力が、我々の経済回復の取り組みに重要なことは明らかになっている。中国はアフガニスタンとパキスタンにおける安全と安定を増進させた。そして、地球規模の不拡散体制に関与し、朝鮮半島の非核化の追求を支持している。

 だから、米国は中国の封じ込めは目指さない。また、中国との関係強化が、米国と他の国との同盟の弱体化につながることはない。逆に、強力で豊かな中国の興隆は、国際社会の強さの源となりうる。

 従って、北京でもどこでも、我々は米中間の戦略・経済対話を深め、軍同士の意思疎通を改善していく。もちろん、米中両国はすべての問題で合意することはないだろう。米国は、すべての人々の宗教と文化の尊重を含んだ、我々がいとおしむ基本的価値観を訴えることをためらいはしない。人権や人間の尊厳への支持が、米国に根付いているからだ。だが、我々は憎悪でなく、協力の精神で議論を進めていくことができるだろう。

 我々の2国間関係に加えて、多国間組織の発展で、この地域の安全保障と繁栄を前進させられると信じる。私は、米国が近年、こうした組織の多くと距離を置いてきたことを承知している。だから私ははっきり申し上げたい。そうした時代は過ぎた。アジア太平洋国家として、米国は、この地域の将来を形作る議論に加わり、適切な組織が発足・発展した際には全面的に参加できることを期待している(拍手)。

 それが、今回の旅で私が着手する作業だ。アジア太平洋経済協力会議(APEC)は、地域の通商や繁栄を推進していくもので、私は今夜からの会議参加を待望している。東南アジア諸国連合(ASEAN)は東南アジアでの対話や協力、安全保障を促進する触媒であり続けるし、私は10人のASEAN指導者すべてと会談する最初の米大統領となるのを楽しみにしている(拍手)。米国は、東アジアサミットが時代の課題に取り組む役割を担う中で、より正式に関与して行きたいと望んでいる。

 我々がこうした関与の深化や拡大化を追求するのは、我々すべての将来がここにかかっているためだ。ここで少し、我々の将来がどのようなものになり、我々が繁栄や安全保障、普遍的な価値観や希望を促進するために何を行うべきかを話したい。

 ◆経済

 まず最初に、我々は経済の回復を確かなものにし、バランスがとれて持続可能な成長を追求しなければならない。

 アジア太平洋諸国やその他各国が講じた、迅速で前例のない、調和のとれた行動によって、経済の破滅が回避され、過去数世代で最悪の経済危機からの脱却が可能となった。そして我々は、国際的な経済構造改革への歴史的一歩を踏み出しており、世界20か国・地域(G20)は、経済協力の最も重要な議論の場となっている。

 G20への移行と、国際的な金融機関でのアジア各国の発言力の高まりこそ、米国が21世紀に目指す、より幅広く包括的な参加の枠組みを実地に示すものだ。日本は、主要8か国(G8)の主要メンバーとして、国際的な金融の枠組みを形成していく中で、これまでと同様これからも重要な役割を担うことになるだろう(拍手)。

 今、我々は、経済回復の入り口に差しかかっており、その回復を持続可能なものにしなければならない。今回の世界的景気後退を招いた、急激な上昇と下降を繰り返す経済サイクルにただ戻るというわけにはいかないのだ。こうした不均衡な成長をもたらした政策を繰り返すことはできない。今回の景気後退の重要な教訓のひとつは、もっぱら米国の消費者とアジアの輸出に成長を依存することの限界だ。米国人が自分たちが大きすぎる負債と失業を抱えていると気付いた時、アジアからの産品への需要は急速に下がった。需要が激しく下降すれば、この地域からの輸出も一気に下がる。この地域の経済はあまりに輸出依存のため、成長が止まってしまった。そして世界的な景気後退は深まるばかりだった。

 我々は今、異なる道を取ることが出来るという、歴史的にも数少ない転換点にさしかかっているのだ。それは、我々が米ピッツバーグでのG20首脳会議で誓った、均衡のとれた経済成長のための新戦略を追求することから始めなければならない。

 シンガポール(APEC会議)でもっと詳しく話すが、米国では、この新戦略の意味は、貯蓄を増やし、支出を減らし、金融システムを改革し、長期的財政赤字や負債を削減することになる。そしてそれは、我々が建造、製造した物を世界中で売る、輸出がより重視されることも意味する。これは米国にとっては雇用戦略ともなる。輸出は、給与のいい数多くの雇用を米国民にもたらす。輸出を少し増やすだけでも、数百万の雇用をもたらす効果がある。こうした雇用で、風力タービンや太陽光パネルから、日常生活で使う技術製品までが製造されている。

 アジアにとっては、より良い均衡を達成することで、特筆すべき生産性向上により可能となっていた質の高い生活水準を労働者や消費者が満喫する機会が生まれる。住宅や社会基盤、サービス分野への投資も増加出来るようになる。均衡のとれた世界経済によって、繁栄はより遠くまで届き、より深みを増していく。

 過去数十年、米国は、世界で最も開かれた市場の一つを提供してきた。前世紀を通じて、開かれた市場は、この地域の多くの国々や他の国々の成功に寄与してきた。新しい時代に入り、世界中の他の市場を開放することが、米国だけでなく世界の繁栄にとっても重要となる。

 新戦略の重要な一部が、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)で、野心的で均衡の取れた合意を達成することだ。これは単なる合意ではなく、世界中の市場を開放して輸出を増やすものだ。その目標をタイミング良く達成するため、我々はアジアの関係国と協力していく準備があり、地域の貿易相手国を交渉のテーブルに招く所存だ。

 我々はまた、アジア地域での継続した経済統合が、すべての国の労働者、消費者、事業者の利益となることを確信している。我々は韓国の友人と共に、同国との貿易協定に必要な作業を続ける。米国はまた、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加する国々と共に、幅広い参加国の顔ぶれと21世紀の貿易協定にふさわしい高い水準を持つ地域協定を目指した取り組みを続ける。

 連携して取り組むことこそ、我々が経済回復を維持し、共通の繁栄を進める方法だ。だが、均衡のとれた成長を追求するだけでは十分ではない。我々には、我々の惑星と、そこで暮らす未来の世代にとっても持続可能な成長が必要だ。

 ◆気候変動対策

 米国は(私の就任以来)、気候変動に関して、これまでにない多くの対策を講じてきた(拍手)。最新の科学を取り入れ、新エネルギーに投資し、効率を上げ、新しい連携を作りだし、気候変動を巡る国際交渉にも関与してきた。米国は、この分野でもっとなすべきことがあるのを理解している。だが、責任を果たしており、今後もそうして行く。

 責任には、コペンハーゲン(12月の気候変動枠組み条約第15回締約国会議=COP15)での成功に向けた努力も含まれる。それが容易であるといった幻想は抱いていないが、進むべき道は明らかだ。すべての国々はその責任を受け入れなければならない。我が国も含め、主要排出国は、明確な削減目標を持たなければならない。発展途上国も、資金や技術面での支援を受けながら、排出削減に効果的な対策を講じることが必要になる。そして国内対策では、透明性や説明責任が必要とされる。

 我々一人一人が、我々の惑星の環境を破壊せずに経済を成長させるために出来ることをしなければならず、それを一緒に行わなければならない。良い知らせは、適正なルールを設け、動機付けを行うことができれば、最高の科学者や、技術者、起業家の創造力を発揮させられるということだ。それは、新たな雇用や事業、全く新しい産業へとつながっていく。そして日本はこの分野では先端にいる。この重要な地球規模の目標達成に向け、あなたたちの重要なパートナーとなることを楽しみにしている(拍手)。

 ◆ミャンマー

 自由と尊厳の希求は、すべての人の生き方を形作るものだ。人類には、考えを述べたり指導者を選んだりする自由や、情報に接する能力、望むような形で礼拝を行うこと、法の支配への信頼、公正な司法行政など、共有するいくつかの理想があるからだ。これらは安定を阻害するものではなく、安定の礎である。我々は常に、これら諸権利を求める人々の側に立つ。

 例えば、ビルマ(ミャンマー)に対する我々の新しいアプローチを導いているのもこうした真理だ。ミャンマーに対しては、米国による制裁、他の諸国による関与のいずれも国民の生活向上にはつながらなかった。そこで我々は今、(軍事政権の)指導部との直接協議に乗り出し、民主改革に向けた具体的な措置がない限りは現在の制裁は継続することを明確に伝えた。我々は、統一され、平和的で繁栄し、民主的なミャンマーを支援する。ミャンマーがこの方向に進めば、米国との良好な関係は可能だ。

 取るべき措置としては、(民主化指導者)アウン・サン・スー・チーさんを含む全政治犯の無条件解放、少数民族との紛争終結、政府と民主化勢力、少数民族が将来構想を共有するための真の対話がある。ミャンマー政府はこうした道をたどることで、国民のニーズに応え、国に真の安全と繁栄をもたらすことができる(拍手)。

 ◆結び

 米国はこうした措置を通じてアジア・太平洋での繁栄と安全、人間の尊厳を向上させていく。日本は常に、地域における米国の取り組みの基軸であり続け、米国は日本との緊密な友好関係を通じ行動する。私がきょう述べた関与の拡大を通じ、我々はパートナーとして行動する。米国は、この地域で人格の一部が形作られた大統領を持つ国であり、太平洋国家として行動する。米国は、50年近くにわたって日本国民との絆を導いた共通の目的意識を基に行動する。

 こうした絆の形成は、前世紀半ば、太平洋地域の戦火が鎮まったしばらく後にさかのぼる。日本がその後、世界が目にした中で最も速くて力強い経済成長、いわゆる「日本の奇跡」を果たしたのは、国民のめざましい回復力と勤勉さに加え、日本の安全と安定に対する米国の関与があったからだ。

 この奇跡はそれから数十年間の間に地域全体へと拡大し、たった1世代で数百万人の生活と運命が、永久に良い方向へと変わった。こうした進歩は、ようやく手にした平和によって支えられ、拡大を続けるこの巨大な地域の国々を束ねる、相互理解という新たな懸け橋によって、強化されてきた。

 米国は、今後もなさねばならない任務がまだあることを知っている。科学技術の急発展が、太平洋の両岸での雇用創出や地球温暖化からの安全保障につながるために。危険な兵器の拡大の流れを逆転させ、分断された半島の南側の人々を恐怖から解放し、そして北側の人々を欠乏と無縁に生きられるようにするために。若い女性が、その肉体ではなく精神によって評価され、あらゆる場所にいる若者たちが能力と意欲と選択次第でどこまでも伸びていけるように。

 いずれも簡単に実現できることではないし、挫折や苦難もあろう。だが、奇跡を果たしたこの地域の歴史は、(世界の)再生の時代において、こうしたことが可能であることを我々に示している。これこそが米国の基本方針であり、日本や地域の国々、国民との共通の目的なのだ。明確に述べておきたい。太平洋地域出身の初の米国大統領として、私は、この太平洋国家(である米国)が、死活的に重要なこの地域における指導力を強化し、持続させていくことを約束する。

 ありがとう(拍手)。
(2009年11月14日 読売新聞)

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11・8鳩山とオバマにモノ申す!普天間基地を即時閉鎖し、辺野古新基地を断念せよ!行動報告

 11・8鳩山とオバマにモノ申す! 普天間基地を即時閉鎖し、辺野古新基地を断念せよ!デモに参加した。

 とはいえ、地下鉄乗り越してしまい、着いた時は、もうデモが水谷橋公園を出たところだった。

 多種多様な人々、約500人が集まって、三線の演奏を先頭に、銀座の街を、日比谷公園入り口あたりまで、元気にデモ行進した。

 今、鳩山政権では、沖縄の普天間基地の辺野古移設問題をめぐって、内部でぎくしゃくしていて、周知のとおり、先日は、岡田外相が、普天間基地の嘉手納基地への移設案を口にして、それが沖縄からの反発を受けたばかりです。その沖縄では、米軍基地の県内移設反対などを要求する県民集会が開かれた。途中、入ってきた情報で、約2万1千名の参加である。

 デモ解散後、アメリカ大使館に申し入れ行動に向かった。しかし、そのはるか手前の舗道上で、警官隊に行く手を阻止され、少数代表の申し入れしか認められなかった。そこで、2時間ほど、リレートークをしながら待つことになった。

 13日のオバマ来日、日米首脳会談で、沖縄の基地問題は一つの焦点となる可能性が高いが、こうした異常対応は、日本政府のこの問題に対して神経質になっていることをうかがわせた。周囲は、機動隊・警官隊を乗せた装甲車両がずらりと並んでいた。4人ずつに分けられての申し入れで、時間がかかったようである。冬が近づく薄暗くなる中で、多くの行動者たちは、進路をふさぐ警察への怒りと沖縄に基地を集中して、アフガニスタンなどへの侵略戦争を続けるオバマ政権に対する怒りを合わせ、さらに、煮え切らない態度でぶれ続ける鳩山政権に対する不満を抱きつつ、申し入れ者たちの帰りを待ち続けた。そして、申し入れ団の到着と報告を受け、当日の行動を無事終了し、沖縄の2万1千の県民集会参加者と連帯して、さらなる闘いの決意を固めたのである。

 沖縄は、米ソ冷戦終了後も、ずっと、日米安保の負担を押しつけられている。民主党の県外移設案は、アメリカ側の強硬な反対にあって、挫折するかいなかの岐路にあって、どうなるのか難しいところに来ている。オバマ政権の東アジア安保政策には今のところ基本的な変化はなく、従来通り、沖縄をその要の位置に据えているのであって、そのため、普天間基地の辺野古移転も、基地機能強化が狙いであって、沖縄の軍事的負担軽減のためなどではないのである。それを変える気がないということは、先のゲーツ国防長官の来日の際の発言などで明らかになっている。民主党鳩山政権は、先の所信表明演説では、少しだけ、しかも極めて抽象的一般的に触れたにすぎない。態度がはっきりしないところに、危惧を感ぜざるをえないわけである。

 95年の沖縄県民大会に示された沖縄の意志は踏みにじられ続けている。それを本土側が放置し続けることは許されないという思いで、こうして、沖縄県民集会と連帯して、デモとアメリカ大使館申し入れ行動が取り組まれたのである。申請人数に対して、行動参加者が多いというのが、警察側の阻止の理由だった。しかし、公開で呼びかけたデモである。正確に数を規制するなどということは不可能である。このところ、各種集会デモは、主催者の予想を超えることが多くなってきており、しかも、土日となると、何本も重なることが多くなっている。これも、近年の変化である。沖縄問題については、さらに、大きな行動が予定されている。

 

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日本経済二番底に向かう?

 景気が落ち着いてきたと書いたら、今度は、また経済指標が下がり始めた。

 まず、アメリカでの自動車販売数が減少した。これは、政府が行っていた自動車減税の期限が切れたためである。

 それから、日本では株価が大幅に下落した。そして直近の有効求人倍率は、0・42ポイントで、求人一人につき、半分以下の求人しかないということが発表された。

 すでに、新聞で、榊原元財務官は、年末にかけて、二番底に向かう可能性があるので、民主・社民・国新の連立政権に、赤字国債を発行しての景気対策の準備をするように警告した。氏によると、国債市場にはまだ拡大の余地があるという。

 このところ、日本経団連のODA予算増額を求める提言もそうだが、需要拡大という需要サイドの対策を求める主張が、政府も含めて、目立ち始めた。小泉政権が採用した供給サイドの経済学とは異なる需要サイドの経済学が復活してきているようだ。

 そうなると、今、もめている前原国土交通省の進める八ツ場ダム建設中止をめぐる問題は、あたかも彼が供給サイドの経済政策を採っているように見える。しかし、民主党政権のやり方は、ダムに代わって、住民への直接的な保障を行うというものである。もともと、八ツ場ダムは、利根川治水を目的に建設が始められ、途中から首都圏での水不足解消などの名目を加えられた上で、中断をへつつも、数十年がかりで作られているものである。その間、費用は、膨れ上がっていった。少子高齢化、人口減少、省資源化などが進み、天候的な原因で水不足になる年以外は、このところ、特に、首都圏の水不足は起きていない。今後も、天候的な要因以外での水不足は考えにくい。おまけに、東京都へのオリンピック招致は失敗したから余計にそうだ。

 これは、民主党が掲げる政治主導の行方を示す象徴的な出来事である。ダムに群がって利権を食いつぶしてきた天下り官僚や財界や利益誘導型のオール与党議員たちなどに対する闘いの一コマである。おそらく、今日も、民主党本部には、陳情団が次から次と押し寄せているはずで、そこで、政策の優先順位をどうつけるのかが、民主党の悩みの種となっていることだろう。予算は限られている。これを整理し、精査するには、スタッフもいるし、時間もいる。そして、最後は政治判断になるわけで、つまりは、政治闘争になるわけだ。しかも、それは、国会でも行わねばならないのである。新人が多い民主党議員たちが、これをどれだけ押し進められるのかは、これからだが、あまり多くを期待しない方が無難だろう。始まったばかりなんだから。

 他方で、「在日の特権を許さない会」などの民間右翼の活動が活発化している。かれらは、とくに、在日外国人地方参政権付与に積極的な民主党政権の誕生に危機感を強めている。先の日曜日には、東京秋葉原で、公称400人の街頭行動を行ったというし、今後、大阪など地方都市でも行動を繰り返すことを明らかにしている。憲法で、国家権力の最高機関と規定されている議会のメンバーに、外国人を入れることには、そうとうな抵抗感があるようだ。地方でもだめだという。

 戦前には、旧植民地住民には、参政権が付与された。このときは、同じ臣民だということがあったわけだ。ところが、戦後、かれらは突如として、今日からあなたは外国人ですよと言い渡され、そして、旧帝国臣民として日本人が与えられていた権利を受けられなくなった。軍人恩給や被爆者援護法もそうだし、その他の社会保障もそうだ。昨日までは、同じ帝国臣民なのだからといって、徴兵され、最前線に日本軍兵士として従軍させられながら、外国籍となったら、他の外国人と同列扱いという目に遭ったのである。国籍がどうのこうのという以前に、無理矢理であれ、皇国兵士として戦友とした人々への感謝の念も示さないどころか、特権にあぐらをかくがごとき言い方で、権利剥奪を主張する「在特会」の妄言を許してはならない。逆だ。在日を、ずっと後になって、最初から外国人として入ってきた一般外国人と同じにあつかったら、具体的な歴史性を捨象したねつ造歴史観に基づく間違った政策をやってしまうことになるのだ。在日は歴史的に特別であり、それをとやかく言い、悪しき特権を持っているごとく言うのは、大間違いである。

 先に、入管法が改悪されたばかりで、3年後に、全面的な施行となるが、所管の法務大臣は、元社会党で、在日外国人参政権法案を民主党内で推進してきたプロジェクト・チームのメンバーである。定住外国人地方参政権法案には、民主、社民、共産、公明が賛成していて、しかも、法案はすでに二回提出され、廃案にされている。自民党の今の議員の中に法案反対派がどれだけいるかはわからない。世界22カ国に外国人の地方参政権を認めている国があるという。反対派の言い分には、日本国籍の取得が筋だとするものや相手国と相互に参政権を認めあうのではないとだめだというのもある。日本の場合、差別的な戸籍制度というものがあるし、歴史的な経緯もあって、日本国籍取得を積極的に進めにくいという事情もある。戸籍には、離婚を示すバツなどの記録が残され、それが差別の要因になったりする。それは、公的な家系図のようなものでもある。アイデンティティの問題は、感情・感覚が絡んで、微妙な問題でもある。それから、それは、いっさいの強制や圧力のない自由な意志で選択されるべきものだ。

 オバマ大統領が、11月に訪日する予定だという。先の日米首脳会談は挨拶程度のものだった。日米地位協定の改定問題(在日米軍人軍属こそ、特権が与えられている)、普天間移設問題、インド洋給油打ち切り問題など、日米間の懸案問題については、ここで話し合われることになるのかもしれない。ここは、鳩山政権の外交的な最初の大きな山場となろう。そして、榊原氏が指摘した景気後退、二番底への下落に対する景気対策。この二つが当面の政権の二大懸案となりそうだ。そして、八ツ場ダム問題は、象徴的な闘いということになろう。それから、鳩山首相は、国鉄問題で、四党合意推進、政治解決を約束しており、それの実現に向けた動きも始まるかもしれない。非正規雇用問題、派遣法見直しはどうなるのか。そして、今月の特別国会があり、新人議員を含めた党内人事、体制づくりがある。そして、新人議員などの教育も急速に進めなければならない。でも、陳情処理に追われて手一杯というのが現状だろう。

  榊原元財務官:国債10兆円増発でも長期金利は2%に届かず
                              
(9月9日ブルームバーグ)
      

  9月9日(ブルームバーグ):早稲田大学インド経済研究所所長の榊原英資元財務官は9日午後、都内で講演し、景気対策の財源に充てるための国債発行が 市場に与える影響について「10兆円くらいの新規発行は十分吸収できる状況だ」と述べた。また、鳩山由紀夫次期内閣は国債増発によって積極的な第2次補正 予算を組み、景気悪化の再来を未然に防ぐ必要があると強調した。

  榊原氏は、国内景気は自動車や家電の買い替え支援策による需要の一巡や政権交代に伴う省庁の予算執行停止などにより、「年末から年初にかけて二番底に陥る」恐れがあると指摘。「鳩山不況」と言われないためにも、政権発足後の「相当早い時期」に景気対策を打つべきだと語った。

  景気対策の財源に関し、国債増発を避けるべきという論議は「責任感の仮面を被った経済学の無理解だ」と非難。補正予算での「減額修正は極めて危険」であり、総需要を減らすべきでないと述べた。1400兆円超の家計の金融資産が国・地方の長期債務800兆円余りを上回っているため「財政危機に陥っている わけではない」と言明。10兆円増発しても10年物国債利回りは「2%に届かない」と予想した。 ただ、中長期的には「財政規律は大事だ」とも指摘。「無駄な歳出の削減には時間がかかる」ため、「4年くらい」の時間軸を念頭に取り組む必要があると語った。

        ドル基軸体制、20年は続く                

  榊原氏は、世界最大の外貨準備高を抱える中国などから揺さぶりがかかっているドル基軸体制について、今後「20年は変わらない。米国はそう簡単に崩壊しない」と言明。鳩山氏が掲げているアジア共通通貨構想については「長期的な課題」であり「早くても20-30年先の話だ。私も鳩山さんも死んだ後だと思っている」と述べた。

 国連貿易開発会議(UNCTAD)は7日発表した報告書で、国連加盟国は新たに世界準備通貨銀行を創設すべきだと提唱。同銀が通貨を発行し、加盟国が保有する通貨の為替水準を監視することに合意する必要があると呼び掛けた。

  ドルは1970年代以降、金に代えて石油価格の表示通貨(ペトロダラー)として優位を保ってきただけに、基軸通貨としてのドルの地位に黄色信号がちらついている。

インターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は8日に一時77.05と2008年9月以来の安値をつけた。対ユーロでは昨年12月以来初めて1ユーロ=1.45ドル台に、対円でも3日につけた約2カ月ぶりの円高・ドル安水準まであと9銭に迫る場面があった。

 榊原氏は、鳩山次期内閣での閣僚就任の有無については「話は全くない」と述べるにとどめた。

 榊原氏は1965年に大蔵省(現財務省)に入省。国際通貨基金(IMF)や米ハーバード大客員準教授などを経て、93年に国際金融局次長。円相場が1ドル=79円75銭と戦後最高値を記録した直後の95年6月に国際金融局長、アジア経済危機が発生した97年から財務官を務め、「ミスター円」の異名をとった。

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アフガニスタン増派要求の高まりなど、国際政治についての雑感

 現在、G20金融サミットや国連総会出席などのために、鳩山首相は、アメリカを訪れている。

 そのアメリカをめぐって、オバマ政権のアフガン駐留司令官が、対テロ戦争の最前線を移したアフガニスタンで、このままではアメリカ軍がタリバンに敗北するという悲観的な見通しを示したことが明らかになった。

 国連に世界各国の首脳が集まってくるタイミングで、テロを準備していたとして、イスラム系アメリカ人数名が米国内で治安当局によって拘束された。

 他方で、オバマ政権は、東アジア外交では、ブッシュ政権時に途絶えた「6カ国協議」の再開を提示したり、クリントン国務長官が、ビルマとの対話を開始することを表明するなど、アラブ・イスラム世界以外の地域での外交摩擦の軽減に努める姿勢を明確にした。

 その一方では、国連では、リビアのカダフィ大佐が、安保理常任理事会を、戦争家の集まりと非難したり、イラン大統領のイスラエル非難演説の際に、欧米各国代表が退席したりと摩擦も生じている。

 リーマンブラザーズの破綻に端を発した金融恐慌の衝撃は、なんとか、国際協調での各国政府と国際機関のなりふりかまわぬ経済救済策の効果が出て、安定化しつつある。金融恐慌の震源地アメリカでは、オバマ政権が、巨額の赤字国債発行で、ひねり出した財政資金を惜しげもなくばらまき、あるいは、住宅減税や自動車減税などの消費刺激策を取るなどして、ようやく、プラス成長に転じる見通しとなった。しかし、失業率は、10%超まで行ってピークとなると予想されている。

 他方、アフガン戦費やイラク戦費は巨額に上っている。直接の戦費に加えて、兵器に使用される電子機器や電子部品、ハリバートンのように、戦地での警備や雑用の類を請け負う民間会社の需要、NATO加盟を狙うグルジアのような国に、イスラエル経由で売却される武器、それにアメリカ製兵器で武装しているNATOはもちろん日本の自衛隊向けの軍需もある。自前の兵器で武装できる国は、アメリカ、ロシア、フランス、中国など、限られている。日本は技術的には自前武装は可能だが、自己規制している。しかし、アメリカ軍のハイテク部品には日本製のものが結構使われている。例えば、ピンポイント攻撃のミサイルの先端についている高感度カメラは、ソニー製だ。関連して言えば、軍事費には、日本政府が支出している「思いやり予算」などの民生関連費もある。それから、兵站もある。それと、軍事力は、生産力全体と密接に関連しているということも忘れてはならない。その水準を基礎にして、軍事力が作られるからである。例えば、高速増殖炉ができれば、プルトニウムが生産され、、それが核爆弾製造に転用される。人工衛星を打ち上げ、コントロールできる技術があれば、大陸間弾道弾を飛ばすことができる。ドイツが原発を持たないのは、核武装しないという意思表示だ。一方では、ドイツは、フランスの原発で発電された電気を買っているのである。そんなドイツで、緑の党などの反原発派が強いのは当たり前で、別にたいしたもんじゃないのである。

 ドイツの自動車メーカー大手のダイムラー・ベンツは、第二次大戦で、ヨーロッパ最強と言われたフランス陸軍が守る防御線、マジノ・ラインを、あっさりと突破し、迂回して背後から攻撃したドイツ機甲師団の車両を開発・生産した。当時最強と言われたパンター戦車の基本技術を開発したのは、ポルシェ博士である。フランス伝統の歩兵戦術は、ドイツが開発した高速走行車両兵器による新戦術の前に、ひとたまりもなく敗れた。同じことは、日本のノモンハン攻撃、対ソ戦での惨敗でも言える。それは、独ソ戦でも、ドイツ製パンター戦車(T6)対ソ連製T34戦車、北アフリカ戦線での、ドイツのティーガー戦車(T3、T4など)対アメリカのM4シャーマン戦車というかたちでも示された。アメリカのM4シャーマン戦車にディーゼルエンジンを提供したのは、ゼネラル・モータース(GM)である。この時、イギリス製の戦車は、奥深く迂回して背後から攻めるロンメル機甲軍団の格好の餌食になった。しかし、戦時統制経済体制をとって、技術、資源、労働力、資本を軍需に結び付けて、総動員体制を築いた上で開発した兵器を大量生産して、満を持して投入した米軍の圧倒的物量戦の前に、北アフリカ戦線のドイツ軍はひとたまりもなかったのである。独ソ戦の場合は、ドイツは次々と開発した新型兵器を次々と投入して、当初、優勢に立ったが、ウラル山脈以東に兵器工場を移転して備えていたソ連軍は、ドイツ軍の伸びきった兵站の弱点が明らかになるにつれて、攻勢に転じたのである。

 米独戦においては、ドイツが、Uボートによる海上輸送の妨害、制海権の制圧を行なったのに対して、アメリカは、航空機による制空権の制圧、そして、無線傍受、暗号解読技術、レーダーなどの情報戦での技術において、ドイツを圧倒した。

 しかし、戦争の勝敗が、こうした生産力の水準だけでは決まらないことは、歴史上の具体的な戦争の歴史が証明しているとおりである。例えば、第二次大戦の北アフリカ戦線では、アラブの石油資源の戦略的重要性を認識したイギリス軍が、大量の部隊を派遣して、対イタリア戦を進め、イタリア軍は大敗を喫して追い出される寸前まで行ったところで、ヒトラーは、ロンメル将軍を派遣した。砂漠の狐と呼ばれたロンメル将軍に対して、ヒトラーは、対ソ戦に全精力を傾け、北アフリカ戦線を軽視して、旧式のT3号戦車やT4号戦車や、わずか2個師団の兵力しかよこさなかったが、彼は、それを数倍する敵を次々と撃破し、あっというまに、エジプトのエル・アラメインに迫った。ここで、イギリスは、アメリカの参戦、レンダリース法(武器貸与法)による武器供給とモンゴメリー将軍指揮下の米軍の大量投入を得て、ようやくロンメル軍団を撃破することが出来たのである。

 ロンメル軍団は、武器、兵士、食糧・物資の兵站が、常に不足する状態で戦わざるを得なかった。そこで、ロンメル将軍は、敵の兵器を奪って使うというゲリラ戦法を使ったり、88ミリ高射砲を水平撃ちにして、対戦車砲とするなどして、劣勢を跳ね返した。敵も尊敬したロンメル将軍は、中産階級出身で、もともと技術者を目指した人物である。部隊の先頭で、装甲車などに乗って、最前線で指揮をとった。ロンメル軍団兵士は、この将軍を愛し、誇りを持って戦い、士気が高く、苦楽を共にし、よく耐えたのである。有名なエピソードの一つに、ロンメルは、戦闘後、イギリス軍の兵士が落としたイギリス軍のゴーグルを着けていたという話がある。敵の武器を奪ってそれを敵に向けるというゲリラ戦術を、このドイツ軍の正規軍の最高司令官の一人が、採用したことを、そのゴーグルが無言で示したのである。なお、彼は、大戦末期、ヒトラー暗殺未遂事件に連座したとして、服毒自殺を強要され、52年の生涯を閉じた。ナチス政府はそれを戦傷による死亡といつわって発表した。彼は、イギリスの首相チャーチルから、「ナポレオン以来の戦術家」と評された。彼は、ナチス党員にはならなかった。彼の日記の「ロンメル戦記」には、上層部への批判や不満がいっぱいつづられている。

 戦争が、結局は、政治ということになるというのは、すでに、中国の春秋戦国時代の兵法家の孫子も指摘している。孫子は、自国内の民が内政に満足し、統治者を心から支持しているかどうかも、他国との戦争に勝つための条件に入れている。現代では、例えば、イラクの場合、今は、ただ、大幅増派した米軍の数で、圧倒しているにすぎず、ただ、ふたをして、表面上の平和が保たれているに過ぎないから、これを戦争に勝った状態とは言えないのである。それは、イスラエルの圧倒的軍事力の下で、押さえつけられているパレスチナ人の場合もそうだ。パレスチナ人が、イスラエルの支配からの解放を求めていることは、去年暮れのイスラエル軍のガザ侵攻に抵抗し、それと闘ったことで明らかだ。アメリカは、アフガニスタンで、タリバンを倒した解放者として、アフガン人の多数が、アメリカ人を尊敬するようになるとでも思い上がったのかもしれない。しかし、それは甘かったということだ。アメリカはもはや世界標準ではないのだ。アメリカを真似しても別にいいこともないということが、この間、明らかになったのである。

 今、アメリカは、世界に対して腰を低くして、商売に精を出さないといけない状態なのである。赤字国債も買ってもらわないといけないし。アメリカ連邦準備理事会は、出口戦略として、長期国債買取を来年3月で打ち切ることを発表した。しかし、事実上のゼロ金利政策はそのまま続けるという。G20金融サミットが、どんな対策を打ち出すかも、その行方に影響を与えるだろう。しかし、世界経済は、戦後初めて縮小したのだし、アメリカは、マイナス成長で、経済規模が絶対的に縮小したのだから、それを取り戻すのは短期間では不可能だ。成長と後退を繰り返す19世紀のような資本主義経済になったということなのだろうか。

 

増派がなければ1年以内にタリバンに敗北、アフガン駐留米軍司令官

【9月22日 AFP】米ワシントン・ポスト(Washington Post)紙は21日、アフガニスタン駐留米軍のスタンリー・マクリスタル(Stanley McChrystal)司令官が、8年に及ぶイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)との戦闘についての非公開の評価報告書のなかで、「さらなる増派を行わなければ1年以内に敗北する可能性がある」とバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領に警告していると報じた。

 全66ページの報告書は、前月30日にロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官に提出され、ホワイトハウス(White House)が現在精査している。同紙が入手した報告書には、「新しい戦略が必要」「アフガニスタンの防衛能力が成熟したとしても、今後1年以内に戦闘のイニシアチブをとれず武装勢力の勢いを止めることができなければ、勝利の見込みが全くなくなってしまう危険性がある」などと書かれている。

 さらに、「人的資源が極端に足りない状態が現在も続いており、このことは、戦闘の長期化、犠牲者数の増加、コストの増大、そして究極的には政治的支援の欠如を招く。どのリスクをとっても、ミッションの失敗は免れないだろう」と強調している。

 北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organisation、NATO)主導の国際治安支援部隊(International Security Assistance Force、ISAF)司令官も兼務するマクリスタル司令官は、米政府に6万2000人規模の増派を公式に求めると見られている。(c)AFP

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鳩山連立政権成立

 総選挙から早くも半月がたち、鳩山連立政権が成立した。

 連立政権合意もでき、福島社民党党首の環境大臣、亀井国民党党首の郵政民営化担当大臣、国家戦略局担当管直人、外相岡田、などの閣僚人事も決まった。

 「脱官僚」は、連立政権の基本理念であり、その具体化として、事務次官会議の廃止がほぼ確実となっている。その他、連立合意の内容を見ると、「脱官僚」策がいくつか並んでおり、それらがほんとうに実現されれば、官僚の力が弱まるだろう。しかし、それには、まだ、支持率調査がないが、そこで、多数の人々の支持という圧力が必要となるだろう。

 連立合意は冒頭で、「国民は今回の総選挙で、新しい政権を求める歴史的審判を下した。その選択は、長きにわたり既得権益構造の上に座り、官僚支配を許してきた自民党政治を根底から転換し、政策を根本から改めることを求めるものである」と選挙結果を評価しているが、それは、必ずしも、人々の間から明確な声として聞こえてこないからである。

 むしろ、この間、景気悪化や相次ぐ負担増大に対して、「生活第一」という民主党の掲げたスローガンが、人々の期待を生んだのではないかと思われる。その文脈で言えば、この間の自民党政権が、官僚の利権を放置して、痛みを人々に押し付けたことに対して、もはや人々が堪え切れなくなったということが、政権交代を求めた理由であるように思われる。

 その点から言えば、民主党の経済政策は、アメリカのオバマ政権の景気対策に比べて、規模があまりにも小さすぎる。

 事実上、官僚が予算を作っているので、それを政治主導に変えるとなると、まずは、この間、財政再建路線を推進してきた財務省の改革が必要になる。そこで、誰が財務大臣に起用されるのかということが注目される。それから、厚生労働省は、連立合意が、福祉・労働政策を重視しているという点から言えば、すでに言われているように、厚生省と労働省に分離する必要があろう。

 外交的には、自主外交を掲げているが、もともと岡田は、田中角栄の流れを組む経世会に属していたから、対中政策が変化する可能性がある。外交的には、今月下旬に、G20金融サミット、国連総会、がある。そして、日米首脳会談がある。

 どうするの? という感じだ。

  民主・社民・国民新3党連立合意の全文(2009年9月9日朝日)

 【三党連立政権合意書】

 民主党、社会民主党、国民新党の三党は、第45回衆議院総選挙で国民が示した政権交代の審判を受け、新しい連立政権を樹立することとし、その発足に当たり、次の通り合意した。

 1 三党連立政権は、政権交代という民意に従い、国民の負託に応えることを確認する。

 2 三党は、連立政権樹立に当たり、別紙の政策合意に至ったことを確認する。

 3 調整が必要な政策は、三党党首クラスによる基本政策閣僚委員会において議論し、その結果を閣議に諮り、決していくことを確認する。

 【連立政権樹立に当たっての政策合意】

 国民は今回の総選挙で、新しい政権を求める歴史的審判を下した。その選択は、長きにわたり既得権益構造の上に座り、官僚支配を許してきた自民党政治を根底から転換し、政策を根本から改めることを求めるものである。

 民主党、社会民主党、国民新党は連立政権樹立に当たって、2009年8月14日の「衆議院選挙に当たっての共通政策」を踏まえ、以下の実施に全力を傾注していくことを確認する。

 小泉内閣が主導した競争至上主義の経済政策をはじめとした相次ぐ自公政権の失政によって、国民生活、地域経済は疲弊し、雇用不安が増大し、社会保障・教育のセーフティーネットはほころびを露呈している。

 国民からの負託は、税金のムダづかいを一掃し、国民生活を支援することを通じ、我が国の経済社会の安定と成長を促す政策の実施にある。

 連立政権は、家計に対する支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげる。また中小企業、農業など地域を支える経済基盤を強化し、年金・医療・介護など社会保障制度や雇用制度を信頼できる、持続可能な制度へと組み替えていく。さらに地球温暖化対策として、低炭素社会構築のための社会制度の改革、新産業の育成等を進め、雇用の確保を図る。こうした施策を展開することによって、日本経済を内需主導の経済へと転換を図り、安定した経済成長を実現し、国民生活の立て直しを図っていく。
1、速やかなインフルエンザ対策、災害対策、緊急雇用対策

 当面する懸案事項であるインフルエンザ対策について、予防、感染拡大防止、治療について、国民に情報を開示しつつ、強力に推し進める▽各地の豪雨被害、地震被害、また天候不順による被害に対し速やかに対応する▽深刻化する雇用情勢を踏まえ、速やかに緊急雇用対策を検討する。

 2、消費税率の据え置き

 現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない。

 3、郵政事業の抜本的見直し

 国民生活を確保し、地域社会を活性化すること等を目的に、郵政事業の抜本的な見直しに取り組む。「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式売却を凍結する法律を速やかに成立させる。日本郵政グループ各社のサービスと経営の実態を精査し、「郵政事業の4分社化」を見直し、郵便局のサービスを全国あまねく公平にかつ利用者本位の簡便な方法で利用できる仕組みを再構築する。

 郵便局で郵便、貯金、保険の一体的なサービスが受けられるようにする。株式保有を含む日本郵政グループ各社のあり方を検討し、国民の利便性を高める▽上記を踏まえ、郵政事業の抜本見直しの具体策を協議し、郵政改革基本法案を速やかに作成し、その成立を図る。

 4、子育て、仕事と家庭の両立への支援

 安心して子どもを産み、育て、さらに仕事と家庭を両立させることができる環境を整備する▽出産の経済的負担を軽減し、「子ども手当(仮称)」を創設する。保育所の増設を図り、質の高い保育の確保、待機児童の解消につとめる。学童保育についても拡充を図る▽「子どもの貧困」解消を図り、2009年度に廃止された生活保護の母子加算を復活する。母子家庭と同様に、父子家庭にも児童扶養手当を支給する▽高校教育を実質無償化する。

5、年金・医療・介護など社会保障制度の充実

 「社会保障費の自然増を年2200億円抑制する」との「経済財政運営の基本方針」(骨太方針)は廃止する▽「消えた年金」「消された年金」問題の解決に集中的に取り組みつつ、国民が信頼できる、一元的で公平な年金制度を確立する。「所得比例年金」「最低保障年金」を組み合わせることで、低年金、無年金問題を解決し、転職にも対応できる制度とする▽後期高齢者医療制度は廃止し、医療制度に対する国民の信頼を高め、国民皆保険を守る。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する。医療費(GDP〈国内総生産〉比)の先進国(OECD〈経済協力開発機構〉)並みの確保を目指す▽介護労働者の待遇改善で人材を確保し、安心できる介護制度を確立する▽「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくる。

 6、雇用対策の強化―労働者派遣法の抜本改正

 「日雇い派遣」「スポット派遣」の禁止のみならず、「登録型派遣」は原則禁止して安定した雇用とする。製造業派遣も原則的に禁止する。違法派遣の場合の「直接雇用みなし制度」の創設、マージン率の情報公開など、「派遣業法」から「派遣労働者保護法」にあらためる▽職業訓練期間中に手当を支給する「求職者支援制度」を創設する▽雇用保険のすべての労働者への適用、最低賃金の引き上げを進める▽男・女、正規・非正規間の均等待遇の実現を図る。

 7、地域の活性化

 国と地方の協議を法制化し、地方の声、現場の声を聞きながら、国と地方の役割を見直し、地方に権限を大幅に移譲する▽地方が自由に使えるお金を増やし、自治体が地域のニーズに適切に応えられるようにする▽生産に要する費用と販売価格との差額を基本とする戸別所得補償制度を販売農業者に対して実施し、農業を再生させる▽中小企業に対する支援を強化し、大企業による下請けいじめなど不公正な取引を禁止するための法整備、政府系金融機関による貸付制度や信用保証制度の拡充を図る▽中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」を成立させ、貸し付け債務の返済期限の延長、貸し付けの条件の変更を可能とする。個人の住宅ローンに関しても、返済期限の延長、貸し付け条件の変更を可能とする。

8、地球温暖化対策の推進

 温暖化ガス抑制の国際的枠組みに主要排出国の参加を求め、政府の中期目標を見直し、国際社会で日本の役割を果たす▽低炭素社会構築を国家戦略に組み込み、地球温暖化対策の基本法の速やかな制定を図る▽国内の地球温暖化対策を推進し、環境技術の研究開発・実用化を進め、既存技術を含めてその技術の普及を図るための仕組みを創設し、雇用を創出する新産業として育成を図る▽新エネルギーの開発・普及、省エネルギー推進等に、幅広い国民参加のもとで積極的に取り組む。

 9、自立した外交で、世界に貢献

 国際社会におけるわが国の役割を改めて認識し、主体的な国際貢献策を明らかにしつつ、世界の国々と協調しながら国際貢献を進めていく。個別的には、国連平和維持活動、災害時における国際協力活動、地球温暖化・生物多様性などの環境外交、貿易投資の自由化、感染症対策などで主体的役割を果たす▽主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。日米協力の推進によって未来志向の関係を築くことで、より強固な相互の信頼を醸成しつつ、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む▽中国、韓国をはじめ、アジア・太平洋地域の信頼関係と協力体制を確立し、東アジア共同体(仮称)の構築をめざす▽国際的な協調体制のもと、北朝鮮による核兵器やミサイルの開発をやめさせ、拉致問題の解決に全力をあげる▽包括的核実験禁止条約の早期発効、兵器用核分裂性物質生産禁止条約の早期実現に取り組み、核拡散防止条約再検討会議において主導的な役割を果たすなど、核軍縮・核兵器廃絶の先頭に立つ▽テロの温床を除去するために、アフガニスタンの実態を踏まえた支援策を検討し、「貧困の根絶」と「国家の再建」に主体的役割を果たす。

 10、憲法

 唯一の被爆国として、日本国憲法の「平和主義」をはじめ「国民主権」「基本的人権の尊重」の三原則の遵守(じゅんしゅ)を確認するとともに、憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる。

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総選挙雑感

 総選挙の結果で、経済的にまず影響が出たのは、円高の進行である。日本経済全体は明らかに、この間の政府の景気対策の効果がある程度出て、経済指標を見る限りでは、下げ止まりつつある。雇用情勢は悪化しているが、それは、他の経済指標に比べて、効果が及ぶのが遅れるからである。しかし、この間の大幅な経済規模の縮小の影響で、以前より縮小した規模での均衡、つまり、縮小均衡になることは明らかだから、絶対的に雇用規模は小さくなるだろう。それに対して、民主党は、日雇い派遣の禁止と派遣業種の縮小を政策として掲げている。しかし、それでも、請負、アルバイト・パートなどの有期雇用は残されるし、その場合でも、正社員の雇用はそれほど増大しないだろうし、それと、福祉制度がリンクしているので、これらはトータルに組み立てないと、有効に人々の生活を向上させるようなものにはならないだろう。特に、福祉制度は、これだけ、ぼろぼろになってしまっては、再建するのは困難である。一つには、大企業が、この間、社会に対して責任を果たすそうとせず、企業利益の増大を第一目標として、多国籍化し、海外に展開してきたということがある。そこで、企業の海外移転、国内産業空洞化を防ぐという名目で、企業の税負担は減らされてきたし、企業福祉の後退を容認し推進してきたのが自民党政府の政策である。

 それに対して、民主党がどれだけの政策を持っているかと言えば、それほどでもない。官僚は、そのまま残っているので、かれらは政策決定の主導権を簡単には引き渡そうとはしないだろう。しかし、それでも、三権分立の建前があり、さらに、憲法は、三権の中でも、立法権を最高権力と規定しているので、こうした法規定を縦にして、それと一応、闘うことはできるわけである。そして、それは、細川-羽田政権という連立の非自民政権が短命に終わったことを思えば、少なくとも、1年以上の政権持続が必要だろう。経済については、アメリカ経済はある程度持ち直しているものの、それも大規模な赤字国債を発行しての景気対策の効果であるし、雇用悪化は一服しているとはいうものの、10%弱という高い水準にある。それから、EUの経済は程度は弱まりつつあるものの、依然として悪いままだ。世界経済の成長率は戦後初めてのマイナスが予想されており、世界経済の規模が絶対的に縮小するのは戦後初めてである。この事態は、新自由主義が蔓延し世界経済の趨勢になる中で生じたのであり、グローバル化の中で発生したということが重要である。これをさらなるグローバル化によって解決しろと言う自由主義的経済学者がいるが、それは、あまりにも空想的である。まず、そうした連中は、数字に表れている現実を具体的に解明するのではなく、単に数を数式やグラフ上でいじって、それでことたれりとしてるのだ。連中は、経済体系の純粋さを守るために、政治の介入を余計なことと見なすのである。

 しかし、アダム・スミスの『国富論』をはじめ経済学の祖たちは、富を経済活動の目的として設定していたのであり、それは、人々全体の富の増進ということだった。驚くべきことに、このような経済学のイロハが、最近の経済学からは消えてしまっている。そして、政治からも消えていたのである。それに、おあえつらえむきに、現代思想においては、目的自体を否定することが解放とさえ言われていた。その思想の検証、時代的思想としての責任を追及することが必要な時代になったと言えるだろう。少なくとも、新自由主義という選択肢は消えたということは言える。

 今は、90年代ではない。そのことは、大きな物語の中で、あるいは、イデオロギーの構築の必要な時代であることを意味している。資本主義における支配的イデオロギーである実証主義、功利主義、プラグマティズムが、まさに、こうした時代の行き詰まりの中で、小さな物語の中に深く浸透し、それに対して、小さな物語が抵抗にも防壁にもなっていないからである。それは、一つには、対抗する大きな物語、抵抗を領導するイデオロギーがないからである。だから、大きな物語の浸透を対象化できず、その深みへの浸透に気づくことすら難しくなっているのである。その結果として、閉じた円環の世界の中で、地獄のような生、希望のない人生、わけもわからないまま、苦しくなるばかりの、空しさを感じる生、から抜け出せないのだ。民主党政権を大勝させた人々の、とにかく政権を交代をというような態度に示されているのに、ある種、ニヒリズムに近い心性を感じるゆえんであり、選挙分析をするテレビ・コメンテーターなどのコメントに現れた、そうした感想は、ある意味、そうでも言うほかはない、合理的な功利計算では捉えられない、あるいはその理解を超えたものが、人々の中に広まっているということである。

 西欧型社民主義を標榜するなら、政・労・資の協調体制を築く必要がある。これもまた一つの大きな物語である。それは、高福祉・高負担の道であるが、その代わり、老後の不安は少ないとか、失業の恐怖、飢えの恐怖は小さいということはある。そこにももちろん問題はある。アメリカン・ドリームのある世界ではないが、それでも安定した世界ではある。小さな物語的な相互扶助では、もはや、間に合わないほど、貧困の規模、非正規の規模は大きくなってしまった。景気は多少回復しても低成長しか望めない。富の大規模な再分配を実施しなければ、問題は深刻化するだけだろう。そして、一方では「希望は戦争だ」という声が高まり、同時に「希望は革命」という声が高まるだろう。国家独占資本主義は、社会主義の入り口であるというレーニンの言葉が、リアルに、新たに回帰するというシナリオが、一つの物語として甦ってくるということが起きつつあるとも言える。それは、新たなイデオロギーの構成、そして、新たな「我々」の構成、そして、再構成を必要としている。そうでなければ、どうして、マルクスが呼び戻されているのか、理解できないだろう。

 80年代後期から90年代初期までの、バブルの中で、その時代思想として一世を風靡したポスト・モダニズムは、今や、旧式の守旧的な思想になってしまった。これに、喪を行って、今日、そして、これからの時代の新思想を、マルクスの再帰を含めて、新たなマルクス主義イデオロギーを、大きな物語の構築として、描いていかなければならない。それが、90年代とは違う、今日の時代、この条件の中で、我々が追求しなければならないことだ。それが、「理論と実践の統一」の今日的な任務なのである。そうしないと、以下の記事に見られるロシアのように、スターリン物語への再帰を許すということになりかねないのである。

 民主党は、そうした課題を、もちろん、提起していない。福祉にも貧困にも労働に対しても、新たな理論を加えたわけではなく、したがって、その実践を革新することもない。しかし、人々は、左翼を求めたわけではないにしても、変化を求めたことは明らかである。その変化の方向は、まだ具体的でも明確ではない。何のために、何を、どのように、変化させていくのか、その核心をきちんと表現すれば、地殻変動が、下から起こるかもしれないのである。

 

ロイター調査:米失業、10年第1四半期までにピークとの見方(2009年09月5日、ロイター)

 [ニューヨーク 4日 ロイター] この日発表された8月米雇用統計を受けて、市場では、米失業が2010年第1・四半期までに天井を打つとの見方が大勢となっている。

 ロイターがプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)に行った調査によると、16社中14社が失業は10年第1・四半期中もしくはそれ以前にピークを迎えると予想。残り2社のシティグループとゴールドマン・サックスは今回の調査に回答しなかった。

 8月雇用統計は、非農業部門雇用者数が21万6000人減と、減少幅が市場予想を下回り、08年8月以来の低水準となった。一方、失業率は9.7%と26年ぶりの水準に悪化した。

 景気が短期間回復した後に再び落ち込む、いわゆる2番底に直面する確率は、平均で20%とみられている。

 米連邦準備理事会(FRB)が来年以降も政府機関債や政府機関保証のモーゲージ債

(エージェンシーMBS)の購入を続けると予想する向きは14社中11社。FRBは2010年中に利上げを開始するとの見方が大半となった。

 

ECB、ユーロ圏での二番底の可能性を除外せず=専務理事(2009年09月5日ロイター)

 [フランクフルト 4日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)のシュタルク専務理事は4日、ECBはユーロ圏が景気の二番底に直面する可能性を除外していないとの認識を示した。また、回復のペースは非常に緩やかになる見通しと述べた。 

 専務理事は記者団に対し、ECBスタッフの経済見通しが上方修正されたことについて、2009年第2・四半期の域内総生産(GDP)伸び率が予想よりも良かったことを大きく反映しており、その後の見通しはまだら模様との見方を示した。

 「非常に短期間で景気が一段と上向いた。これは今後の成長が非常に緩やかとなり、向こう数四半期にわたって成長がゼロ近辺で推移する可能性があることを意味している。若干ゼロを上回るペースで成長する四半期がある一方、1―2四半期にわたって再びマイナス成長に転じる可能性も除外できない」と話した。

 専務理事は「経済見通しについては慎重に楽観視している。予想よりも早い時期に経済成長がプラスに回復する公算が非常に大きいが、これは特に財政面での景気刺激策など一時的な要因に押し上げられたものだ」と説明。「最近見られる改善が本当に持続可能であるかどうかが大きな問題だ」と語った。

 またデフレの兆候はみられないとしたほか、インフレリスクは中期的に安定しているとの見方を示した。

 回復の歩みは遅いとの見通しは、緩和的政策の解除ペースが導入ペースよりも緩やかになる可能性を示しているかとの問いに対しては、ECBは事前にコミットしないと答えた。

 

ロシア:半世紀ぶり「スターリン礼賛」装飾 復権の動き(2009年9月5日、毎日)

 【モスクワ大前仁】モスクワ市内の地下鉄駅構内で、ソ連時代の独裁者スターリンをたたえる装飾が半世紀ぶりに登場し、議論を呼んでいる。ロシアでは最近、スターリンの名誉回復を求める訴訟も起きており、「スターリン復権」の動きが勢いを増している。

 先月25日に駅舎の一部改修を終えた地下鉄クルスカヤ駅。新たに作られた装飾の柱には、「スターリンの導きで人民への忠誠を学び、我らは労働と偉業へ進むのだ!」とのソ連国歌(1944年版)の一節が刻まれている。1950年の同駅開設時に設置されたが、スターリンの死後、57年に取り除かれていた。当時のソ連指導部が個人礼賛の風潮を取り締まったためだった。

 地下鉄側はこうした一節の再登場について「我々の祖父や父の世代が見た装飾と同じものを見せるため」と説明するが、一部野党やロシア正教会はスターリン礼賛になると批判する。一方、駅の利用客からは「かつての装飾を戻しただけなので問題ない」(55歳の男性)、「スターリンは過ちを犯したが、大きな功績もある」(61歳の女性)と問題視しない声も聞かれる。

 スターリンの孫にあたるエフゲーニー・ジュガシビリ氏(63)は、独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の別冊号が掲載した30年代の「大粛清」に関する記事が、祖父の名誉を傷つけたとして訴訟を起した。同紙に1000万ルーブル(約2900万円)の賠償を求めている。今月15日からモスクワの裁判所で審理が始まる予定だ。

 ロシアでは00年にプーチン前政権が発足して以来、スターリンが第二次大戦を勝利に導いた点などを取り上げ、再評価する動きが出ている。国営テレビが昨年末に実施した歴史上の指導者を評価する投票でも、スターリンが3位に入っていた。

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総選挙結果によせて

  総選挙の結果が出た。

 今度は、マスコミ各紙の予測はほぼ当たった。自民党・公明党は大惨敗した。自民党は、303議席から、119議席に半減以下に減らした。民主党は、106議席が、308議席への大躍進である。社民・共産は現有議席維持。公明党は、31議席を21議席に減らした。東京で太田代表が落選した。

 民主党、鳩山代表は、300を超える議席という大勝を、革命的と評価した。そのわけは、明治以来の官僚主導を政治主導に変わるからというのである。勝ったのに、鳩山を始め、党幹部は一様に厳しい表情をなかなか崩さなかった。それは、政権運営の責任の重さをリアルに感じたからだろう。党首インタビューでは、脱官僚、政官財の癒着の排除、市場主義を重視しつつも、その悪影響を除去、科学技術重視による経済成長、規制改革をバランスよく作り直す、直接的な所得保障、経済成長は必要だが、一人一人が幸福になることが重要、外交については、「対話と協調」、国家戦略局の設置などを主張した。

 選挙結果全体は、有権者の圧倒的な政権交代要求の強さを示した。前の小泉郵政選挙の時と同様である。そして、それに小選挙区制の効果が加わった大勝であった。連立を組むと見られる社民党は、一桁の7議席に終わった。それも、民主党候補が出なかった選挙区で民主党の支援を受けて可能になったところでの当選である。よく前回の議席を守ったなという感じだ。社民党が議席を取ったところは、比例で、東北、東京、九州、そして選挙区が、大阪、熊本、宮崎、沖縄である。

 これまでの自民党王国はことごとく崩壊した。小泉改革が自民党の基盤を壊したせいである。例えば、福島県では、小選挙区2つだけだった民主党が、5つすべてで勝利した。投票率は、64.24%で、前回を上回った。これについて、NHKの解説員は、反自民票であり、古い自民党の拒否であるとして、小泉ブームと同じ態度が続いていると解説した。

 経済政策その他は、自民党とそんなに変わらない。官の「合理化」によって、財源をひねり出して、それを民へ回すということである。自民党は、官と癒着していて、それができないから政権交代が必要だという理屈である。しかし、今問題になっているワーキングプアを生むもとになった1995年の財界の「新時代の日本的経営」で示した雇用形態の多様化による格差社会化、そして、企業内福利厚生体制、地縁・血縁、学閥、その他の相互扶助体制、公的福祉体制が解体、脆弱化してきているのに対して、どのように雇用・福祉体制を建設していくかという構造的な問題についての明確なビジョンはない。ただ、友愛という理念がスローガンとして掲げてあるだけだ。景気は、なりふり構わず、うち続けてきた景気対策の効果が現れたこともあって、やや持ち直しの気配を見せているが、それも息切れしかねないものでしかない。景気対策の効果を見せて実績を誇示して選挙戦を戦えば、なんとかなると麻生は思ったのかもしれない。でも、そうはならなかった。麻生政権の景気対策も、アメリカのオバマ政権誕生とその経済政策を見つつ行ってきたものだ。

 オバマの景気対策は、けっこう思い切ったもので、大きな財源を赤字国債でまかなうものであった。言うまでもなく、アメリカ経済の状態は、世界経済に大きな影響を与える。オバマが年初来進めてきた経済政策の効果が、多少効いてきて、踊り場らしいところに近づいているようである。しかし、経済全体の規模が縮小しているわけだから、絶対的な需要の縮小がある。日本の場合もそうなってることは、前の記事に載せたグラフを見れば明らかである。日本経済がバブル崩壊以後、成長率が低迷している間に相対的に高成長した国々があって、世界経済の中で日本経済が占める地位は低下し続けている。そして、高成長を続ける中国が、まもなく、アメリカに次いで世界2位になる。中国経済の成長率は低まっているとはいえ、高成長を続けているからである。日本の昨年のGDPマイナスが6%超ということは、これを取り戻すには、来年の予測成長率が1とか2%とかという低成長率では全然足りないわけだ。経済規模が縮小したところで、均衡する、つまり底に近づいたわけでである。しかし、田原総一郎が言うように、底割れして二番底に向かうというさらなる縮小の可能性もあるわけだ。

 そのきっかけは、もしかすると外から来るかもしれない。石油の値上がりなどの重要物資の急激な高騰という場合もありうる。90年代以降、日本経済の全体の動きは、マイナスと低成長を繰り返していて、高度成長時代とは異なる動きを示している。それに対して、遺憾ながら、日本のマルクス経済学では、きっちりと分析するということがなされていない。それには原因があるのだけれども、それでも、こんな状態が約20年も続いているのだから、いい加減に自己点検をしてみるべきだと思うのだが。例えば、宇野学派には国家独占資本主義になると恐慌は起きなくなるという人がいたりする。それは、1960年代という世界経済の右肩上がりの成長時代で、日本も高度成長時代だから、リアリティがあるように見えたというにすぎないと今の時点では言える。こうした具合だから、公認マルクス主義が信用を落としていったのも無理からぬことであった。

 このような現状を説明も出来ないものが、理論とされていたのは、それが学問という形式をとって、アカデミズムの世界の一角に地位を占めていたからだろう。むしろ、マルクスそのものに戻った方が、よっぽどリアルな現状認識を得られると思う。『資本論』に書いてあるとおり、貧しい労働者、ワーキングプアが今目の前にいるじゃないかと、概念と現実が一致し、明瞭な観念が得られるからである。目の前に明瞭に存在しているものを、理論がそんなものはないと頭で否定するというようなことを、マルクス学者がやっているわけだ。市民? 中流社会? そんなものが、現実の社会の大勢だと言うのか? そんなもの、どこにあるというのだ? それは今や縮小しつつある狭い一部の層にすぎない!

 鳩山代表は、官の無駄遣いを削って暮らしと福祉に再配分するという。すると、国家独占資本主義的政策がよみがえるわけである。枝野議員は、中長期的経済対策が必要だという。つまり、中長期経済計画が必要だというのだ。共産党は、軍事費削って暮らしと福祉というスローガンだから、削るところは別でも、防衛庁は官で、自衛隊は公務員だから、官を削って民に回すという再分配するというのは民主党と同じである。「在特会」の妄想によると、民主党政権の誕生は、左翼政権の誕生ということになるが、毎年、多くの民主党議員が靖国参拝しているということがある。民主党内には、自民党より右の元民社党系の右派議員がいる。中野寛成という元民社党の大物元議員が当選した。鳩山は中間派で、松下政経塾出身の右派議員が前原を担いで一派をなしている。イデオロギー闘争、権力闘争が続くことは明らかだ。宗教団体の幸福の科学が母胎の幸福実現党はほとんどの選挙区で立候補したが、問題外であった。とにかく、政権党には、すぐに、財界からの圧力と取り込みが強くあるのは間違いないところで、経済政策、景気対策を求める圧力が強まるだろう。官僚は当分、様子をうかがうのだろうか。しかし、ほんとの意味で社会や政治が変わるには、下の大量的な大衆的実践が必要である。まずは、自民党の解体過程が始まるだろう。それから、民主党の分裂過程進む可能性が高い。政治の混乱は、民間でのファシズム的な動きを活発化させるかもしれない。そういう可能性も考えておいた方がよさそうだ。                                           

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総選挙によせて

 今、総選挙の真っ最中である。

 新聞各紙は、軒並み民主党300議席を獲得する圧勝とする見通しを示している。新聞の選挙結果予測はよくはずれるのだが、今回ばかりは、程度はともかく、民主党勝利、自民党敗北は、確実だと思われる。

 これで、権力を握って、税の再配分権をもって政治を行ってきた自民党は、長期的に政権復帰が不可能となり、崩壊する可能性が高まったと言える。これで、社会党解体が先行したが、ついにいわゆる55年体制は、完全に終焉を迎えるわけである。最後の総理が、麻生というのも、惨めな幕引きである。彼は、最後を飾るには貧相なキャラクターであり、自民党の無内容さを象徴するような人物である。彼の下で、最後のばらまき政治が行われたわけだが、財界は、まだ、ばらまきが足りないと不平を漏らしている。

 Gurahu_2 今、日経平均株価が、年初来の高値を付けるかと言われるようになったが、それが、こうしたばらまきによる効果で、すぐに息切れするものでしかないことを、財界はわかっているのである。

 アメリカのオバマ政権の方は、数兆ドル規模で、財政赤字を増やし、これまでのその上限を大幅に引き上げることを決定した。赤字国債による需要喚起の先として、オバマは、自動車に対する環境基準を厳しくしようとしている。自動車メーカーは、技術開発投資、設備投資を余儀なくされるわけである。日本のトヨタは、世界に展開している生産設備の縮小・合理化計画を発表しており、採算の取れない国から撤退し、採算の取れるところだけで生産する体制にする予定だという。つまり、過剰生産になっているわけである。株価がちょっと回復したといっても、生産、需要の実態は、縮小傾向のままなのである。

 今週の「マガジン9条」の雨宮果凛のエッセイには、郷里の北海道で、知人から聞いたという、月給12万円で働く正社員の話が載っている。同僚の外国人労働者はさらに給料が低いという。これで、どうやって、景気が本格回復出来るというのか。故森島通夫ロンドン大学教授は、供給自らその需要を作るというセイの法則は成り立たなくなっており、反セイの世界になっているということを指摘していた。だから、ケインズは、有効需要の不足から、非自発的失業が発生すると主張したというのである。この場合の失業には、就労していても潜在的に失業している状態、つまり、事実上、遊休している労働力も含まれている。だから、有効需要に対して、労働力が過剰である状態の場合は、非自発的失業が発生していることになる。ところが、実際の労働者は、個別的な存在なので、失業者数と非自発的失業の数字は、一致しないのである。就労しているが、仕事がないとか、逆に、それまで二人でやっていた仕事を一人でやるようになるとか、そういうことがある。後の場合を、企業は、生産性が上がったと言う場合が多いのだが、ことはそう単純ではない。この場合、労働力の再生産が阻害されるとかの様々な問題が発生することになる。例えば、ATM現金自動預払機の場合、そこでの労働は、窓口業務として行員が行っていた分を、客がやるようになるというかたちで、負担増になるということがある。その分、手数料を引き下げられるというようなことがあるが、この間、いったん廃止されたり引き下げられた手数料が復活したり上げられたりしている※。 

 この間の不景気は、対処療法的なばらまきによって、支えられている面が大きく、基礎体力を回復させるに至っていないわけである。といっても、世界的に需要が後退している状況では、輸出主導型経済体質となっている日本経済の基本的な経済システムを復活させようがないのは明らかである。輸出主導型産業は、当面、縮小・後退せざるを得ないだろう。そこで、非自発的失業は増大していくだろう。その中で、それを内部に抱え込める体力が衰えてくるわけだから、失業者の数も増えざるを得ないだろう。その場合に、北欧社会民主主義国家のように、言ってみれば、安心して失業できるような雇用・福祉体制というものが築かれていない日本では、ほぼストレートに、それは貧困問題につながることになろう。

  北欧の場合、正規社員の賃金水準は、同一労働同一賃金のため、非正規労働者と変わらないようになっているので、低くなっている。もちろん、労働時間の差などによって正規社員の方が総収入では、非正規を上回っているだろうが、時間賃金は同じということになっている。政・労・資のネオ・コーポラティズム体制によって、解雇の際の、労働者の転職支援、技術訓練を、労組が請け負っている場合がある。これは、産別労組という国家的労組体制があるから出来ることである。日本の場合、産業報国会体制を継承したかたちの企業別労組の連合体としてのナショナルセンターのため、企業間を頻繁に労働者が移動するという体制にするには、いろいろと制度変更をしなければならない。はっきり言えば、ネオ・コーポラティズム体制を作り、法的にも、労組法を改正するなどして、産別化するということである。下からの産別化がうまくいかないのは、企業別組合を基本にしての企業内福利厚生体制が同時に作られてきたからだ。個別企業がそれを維持できなくなってきた時に、それに変わるものを作らなかったために、まるで、19世紀型資本主義に逆戻りしたかのように、貧困問題が深刻化してきたのである。それに対して、企業単位の福祉体制を維持しようとしているから、そうなるわけである。

 それによって、この体制そのものが根本的な変革に至るという道に行ってもいいわけだが、現在の経済体制を前提して、多少の改善の道が描けないわけではない。しかし、総選挙での各党の政策や結果予測を見る限りでは、こうした選択肢を掲げているところはないし、社会民主主義的な政策をやりそうな社民党や共産党は、民主党政権誕生を求め、政権交代を求める有権者の多数の声にかき消されそうな感じである。そうすると、オバマ的な道、財政赤字、官僚機構の合理化、技術開発、などの方策を使う景気対策中心の政治にシフトしそうである。それは、麻生政権がこの間やってきたことを継承するということを意味する。麻生自民党は、この間、愛国心を強調してきているが、それは、オバマが戦争を続けているように、「心」の動員によって、危機を乗り切ろうという誤魔化ししかなくなっていることを意味する。ところが、総選挙を前に、麻生自民党は、靖国問題を避けて通り、それに対して、右翼はあせりを強め、国会前での自殺未遂や反靖国デモの襲撃などの挙に打って出てきている。民主党政権の誕生は別に、左翼の勝利を意味するものではないが、社民党と連立を組む可能性があるので、それもまったくの杞憂というわけでもない。危惧を感じるのは、田母神発言に対して、自衛隊内や官僚や一般の人の中に、それを支持する空気がけっこうあるように見えることである。

 自衛隊や警察に対する批判や疑問の声が世間で小さくなった最近の大きなきっかけは、95年のオウム真理教事件と阪神大震災だったと思う。この時、自衛隊に対する信頼や警察を頼りにするという態度が広まったように思う。全国各地の災害現場で活躍する自衛隊の姿が報道されたり、9・11事件後でも、駅構内に制服警官が立っている姿が、ふつうになっている。この間、犯罪は単純な勧善懲悪物として描かれるようになり、ただ懲罰ばかりが問題視され、重刑化が進んだ。更正という観点は後退し、冤罪に対する批判の声も小さくなりがちだ。しかし、栃木で冤罪が明らかになったばかりである。マスメディアの批判力、洞察力の劣化は著しい。しかし、犯罪を単純な功利のバランス・ゲームとして捉えるのではなく、社会関係の中で、社会問題、人間問題として捉えようとしたドストエフスキーの復活があるということは、そうした風潮に対する社会的反省が始まったというふうにも思える。そこに希望を感じる。権力が犯罪を必要とし、それを作っているという面があるからである。それまで、犯罪ではなく、更正の対象であったような行為が新たに犯罪として加えられるということがある。謝れば済んだこと、反省すればすんだこと、始末書程度ですんだことが、刑罰の対象に次々と加えられている。病気がまるで犯罪ででもあるかのように刑罰的な対象にされつつある。それは健康幻想への暴走である。誰でも多少は病気なのであり、それがふつうなのだということを忘れて、過度に健康を追い求め、変な高い薬を買わされて痛い目にあうというようなこともある。

 だから、社会が考えることが必要なのであり、そうさせないようにしているものを、権力であれ、宗教であれ、マスメディアであれ、乗り越えて、考え抜いていくことである。実際、そうなってきているという兆候がいろいろ現れてきているし、今度の選挙でも、それが示されることが望ましい。そのためには、選択肢を狭める小選挙区制は不適当なことは明らかだと思う。

 ※企業部門では、原油価格等の下落で交易条件が改善し始めたが、リーマン・ショック以降、内外需要の減退で売上額は減少し、企業収益の大幅減少や赤字化が鮮明となってきた。1-3月期の法人企業統計によれば、企業収益の大幅減少で、労働分配率は大幅な上昇を示した。企業は今後、なり振り構わず労働コストの削減に走るであろう。実際に、GDP ベースでの労働分配率をみれば、4-6月期は52.9%と1-3月期の54%から5期ぶりに低下している。(関西経済社会研究所資料より)

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8・15「行動する保守」=右翼突撃隊による反靖国デモ襲撃に抗議する!

 「在日の特権を許さない市民の会」(在特会)のホームページに、以下のような記事が載っている。

 かれらは、他方では、総選挙での民主党政権の誕生が確実視されている中で、それを左翼政権の誕生と見ていることを明らかにしている。同時に、以下のように、「多くの国民」を代表して、8月15日の街頭行動を行ったと自己規定している。かれらは、政権は、左翼だが、靖国問題では、「国民」多数派代表であるという分裂した認識を持っているわけである。

 かれらは、そもそも「在日特権」なるものを妄想し、「慰安婦」問題は、捏造であると主張しているが、それもまたかれらの妄想であって、かれらは、それから醒めることを拒否しているのである。かかる妄想からの解放こそ、実にすっきりした体験であり、その上で、社会的責任、歴史的責任を果たしうるし、それこそが社会的幸福をもたらすのであるが、そうした体験を拒否し、夢の世界の幻と戯れ続けること、幻覚におぼれることを喜びとしているのである。

 まるで、三島由紀夫の『英霊の声』という幻の声を聞くという幻聴体験を本気にしているあの主人公たちのように。亡霊の声として聞こえるのは、今の「われわれ」の「国民」として構成された利害や意志や意欲の幻影であり表象である。それは、まさに、アメリカがずっと続けている戦争に参加すべしという、現在の国家官僚の国家意志の幻想的形態であり、その幻想的人格化されているのが英霊である。かかる幽霊信仰が、功利主義的な利害計算知性の持ち主たちであるはずの国家官僚に根付いているのである。それを、「在特会」などが、民間で代理しているのである。

 かれらが言うところの「犯罪左翼」が街頭で粉砕されたと「在特会」が強調するのを、戦勝の報を聞くごとくに喜んでいるのは、国家官僚である。

 しかし、他方では、かれらの見方では、まもなく、民主党政権ができそうだということは、全体の政治状況が、左傾化していることになる。それもまた、国家官僚の危機感を呼び起こしているだろうし、その不安も、「在特会」は反映しているわけである。

 今、出口のない不況が続いている中で、そして、非正規労働者が増大し、貧困化が進む中で、そして、中国が経済的・政治的に大国化してくる中で、日本の地位が相対的に低下している中で、国家官僚の自信喪失、そして、官僚に対する大衆の不満が高まりつつあり、財界もまた次の世界を明確に示せないということが、人々のアイデンティティを不安定なものにし、動揺させている。「私とは何者なのか?」という問いが、人々の頭に回帰し、そして、それに対する答えが容易に得られないという不安状態が広まっているようである。そして、マルクスが呼び戻され、ドストエフスキーが復活している。

 ポスト・モダンニズムは、80年代バブルのアイデンティティの戯れが、ゲームとして安易で手軽に楽しめた余裕のある時代の思想潮流であったが、今や、そのような戯れは危険性が大きくなっている。

 在特会は、以下のような幻想を、まるで事実であるかのように、物語として描く。かれらが、「今の日本に対する危機感の裏返しともいえるのかも知れません」と言うのは、かれらが現状に強い危機感を抱いているということであり、それによって、「反日デモ」は、「その警察官たちの後ろに隠れて逃げるように靖国神社下の九段下交差点を足早に通り過ぎて行」ったように描かれることになる。このようなシナリオ通りの動画が作られ、つまりは編集され、このような物語は、映像化されることになる。そして、かかる物語が、かれらにとっての事実として、かれらに理解されるのである。

 「われわれ」は、こうした物語に対して、物語を対置する必要があると思う。物語ること自体を完全否定することは、「われわれ」の「本性」を否定するという不可能事を対置することになると思う。そうではなく、エピクロスやスピノザのような唯物論者たちのように、そして弁証法が言うように、「両極端は相通ず」ということを踏まえて、認識の変革を図りつつ、物語ることが必要だと思う。

 「靖国神社」は、戦争によって人々を苦しめるために、国家官僚が必要とする施設であって、人々が親しかった肉親や友人の死者の思い出やその表象を幻想的に、物語的に交流して、幸福を得られる施設ではないということ。死者の記憶は、英霊性という一面に閉じこめられるものではなく、多様な側面を持つ社会性を持った人格表象であり、それとの幻想的交流は、国家官僚や支配階級によって妨げられ、一面化されると、不幸なものになってしまうのである。

 他方で、「在特会」は、こうして街頭を制圧することで、権力奪取を図ろうとしている。左翼が街頭を制圧していた1960年代の後は、街頭は、公共権力が握っており、つまりは警察=法務官僚、公安委員会が握っている。その場に登場して、「在特会」が行っているのは、警察でも簡単には手を出せない左翼に突撃し、この運動を街頭において破壊し、つまりは、公共空間の一つを制圧しようということである。警察は、中立を装いながら、実際には、かれらに味方している。

 かつて、ナチスの突撃隊による左翼への襲撃を許す中で、大衆全体が、ナチスにとらえられていったということがある。街頭の大衆の前で、ナチスは、次々と左翼デモを襲撃し、潰していった。そして、左翼や労組の事務所・拠点を襲撃していった。警察は、見て見ぬふりをし、事実上支援した。その結果、ナチス政権の成立、そしてクーデター、他党派の強制解散、非合法化、そして、ユダヤ人虐殺、他民族侵略、虐殺、世界戦争、という道へ踏み込んだ。そして、多くの人々が死に、不幸に陥った。1960年代の日本は逆であった。60年代末には、街頭は、左翼が制圧していた。

 「在特会」の描く物語が導くものは、こういう世界であるように思える。かれらが妄想する「在日特権」なるもの、そして、「慰安婦」=民間「売春婦」論に対して、スピノザ的な社会的知性は、それは物語であるという明瞭な観念を与える。

 告知 : 8月15日/行動する保守運動 vs 反日極左主催デモ隊 【動画紹介】

 8月15日、犯罪左翼によって「靖国神社解体」「天皇制粉砕」の反日デモ行進が行われました。左翼側参加者100名程度に対し、行動する保守の呼びかけに応じ犯罪左翼による反日デモに抗議の声を上げた方が500名近くに上りました。ここまで左翼を圧倒する大勢の人が抗議の声を上げたのは初めてのことです。

 これほど多くの国民の怒りを買っていることに犯罪左翼側は怯えきっていたようで、日ごろは官憲許すまじと威勢よく警察官を罵倒する彼らは、その警察官たちの後ろに隠れて逃げるように靖国神社下の九段下交差点を足早に通り過ぎて行きました。公式動画はまだ調整中ですが、当日参加された有志各位が次々動画をアップしています。当日ご参加いただけなかった皆さまには、ぜひこれらの動画をご覧いただき8月15日に何が起きたのかを確認していただければと思う次第です。

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在特会とファシズム

 8月1日に、文京区民センターで開かれる「ヘイトスピーチを許さない」集会の案内を転載した。

 在特会のひとつの特徴は、これまで、ネットなどで、匿名で流されていたヘイトスピーチの動きと違って、差別排外主義的ヘイトスピーチが、街頭で、顔をさらすかたちで、公然と、行われているということである。

 そして、大衆運動として組織され、しかも全国組織化を目指していることである。そして、かれらは、これまでの右翼のように、君が代万歳とか日の丸万歳とかという愛国主義的表現を流すよりも、明確に、他民族、その他を、攻撃するというかたちの宣伝を行っているということである。しかも、それが、在日外国人や左翼を、犯罪者、敵として憎悪を掻き立てているといる。

 これは、人種的偏見、民族差別を煽り立て、街頭を制圧しようとしたナチスやファシズムと似た特徴を持っているように見える。

 これは、それに対して、出口の見えない経済不況や貧困化、格差社会化の中で、希望ある未来ビジョンがないという時代の閉塞感が、一部の若者などを捉え始めている証だろう。

 広島の8月6日の原爆の日に、あの元防衛庁幹部の田母神の講演会が開かれ、千数百人が参加し、立ち見が出るほどだったという。

 こういう時代的雰囲気が、在特会のような動きを助長していると思われる。

 できるだけ早い時期に、こうした動きを押しとどめなければ、危うい社会になりかねない。大きく、広い、対抗勢力の結集が必要だと思う。

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